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本日のテーマ
中東情勢の緊迫化を脱したのも束の間、
現在の為替市場は、FRBのタカ派スタンスに翻弄される様相を呈しています。
昨日のドル円は、ドル高の動きが一服していたにもかかわらず、
海外時間に入ると再び162円台を試す展開となり、
高値は161.835円まで上昇しました。
162円の節目を突破すれば、1980年代以来、
実に約40年ぶりの歴史的な円安・ドル高水準へ突入することになります。
足元では162円付近での実弾介入への警戒感が上値を極限まで抑える一方、
FRBの利上げ期待が下値を強力にサポートする神経質な展開が続いています。
しかし、この膠着を破る「円売り」の主導権は、
今や完全に日本の夜間(海外市場)へとシフトしています。
本日はその深層にある需給構造と、
迫り来るドル高の終着点について解説します。
上野ひでのり本日の視点
1.なぜ円は「夜」に売られるのか? 株高ヘッジと欧米勢の冷徹な計算
直近の為替市場における最大の特徴は、
日中(9~17時)の膠着感とは対照的に、
22時半以降の夜間市場で円安が加速する現象です。
6月は夜間に円が下落した日数がすでに13日に達しており、
これには海外投資家による2つの明確な動機があります。
(1)圧倒的な日米金利差(キャリートレード)
FOMCでのタカ派シフトを受け、
欧米のヘッジファンド勢が低金利の円を売って高金利のドルで運用する
キャリートレードを海外時間(彼らの日中)に活発化させていること。
(2)日本株高に伴う「為替ヘッジの円売り」
日経平均株価は4月下旬に初の6万円台に乗せると、6月中旬には7万円台へ上昇。
22日には7万2000円台という驚異的な過去最高値を更新しました。
海外勢にとって、日本株の上昇で膨れ上がった円建て資産は、
そのまま「円高になった際の潜在的な損失リスク」を意味します。
この為替リスクを相殺(ヘッジ)するため、
彼らは機械的な「円売り・ドル買い」を夜間市場で大量に執行しているのです。
国内市場が為替介入の恐怖で身動きが取れなくなっているのに対し、
海外市場では「米利上げ観測や株高ヘッジ」
という実需のドル高要因が圧倒的に重要視されているため、
夜間になるほど円売りが出やすくなる構造が完成しています。
2.原油69ドル台突入と利上げ確率83.1%の「ねじれ」
一方で、この猛烈なドル高の背景にある「FRBの利上げ期待」には、
明らかな過熱感(バブル)が見られます。
現在、FedWatch Toolでは年内利上げ確率が83.1%
という非常に高い水準を維持しています。
しかし、マクロの実体経済データを見渡すと、
これ以上利上げ期待を押し上げる要因はどこにも見当たりません。
象徴的なのが原油価格です。
中東リスクの消失により、WTI原油先物はついに70ドルの大台を割り込み、
69.05ドルへと下落しました。
平常レンジの範囲内に引き戻されているのです。
2月から5月にかけての短期間の原油高がインフレに与える影響は限定的であり、
冷静に考えれば、FRBの政策金利は景気を抑制する中立金利の範囲にあります。
仮に年末までにFRBが利上げを強行したとしても、
それはすでに83%以上織り込み済みです。
ここからドルがさらに上値を追うには、
市場の想定を遥かに超える積極的な連続利上げが必要ですが、
原油が69ドル台にある現状ではその大義名分はありません。
FRBは実際には、長期間にわたって金利を据え置く可能性が極めて高く、
ドル相場のピークアウト(反転)の足音は確実に近づいています。
3.結論:ドル高最終章の「もう一段の上昇」を警戒せよ
マクロ構造的にはドル高の終焉が近い(そろそろドルは弱含む)と考えますが、
目先の需給の…
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