160.00のオプション防波堤と明日21:30「米CPI」が引くか実弾介入のトリガー

本日のテーマ

週末にイスラエルとイランの間で
ミサイル攻撃の応酬が発生し緊張が高まったものの、
イランが軍事作戦の終了を宣言したことでドル高の動きは一服。

しかし、ドル円の底堅さは変わりません。
160円の大台を割り込むとすかさず押し目買いが入り、
為替介入への警戒から上値には慎重ながらも、
着実に160円台の足場を固める動きが見られました。

今回は、昨晩のNYタイムで起きた「オプションの呪縛」のファクトを検証し、
今週ずらりと並ぶストライク、
そして明日に控えた最重要指標「米消費者物価指数(CPI)」と
実弾介入のリアルな関係について、クオンツの視点から紐解きます。

上野ひでのり本日の視点

11.8pipsに封印された160.00の攻防

昨日23時のNYオプションカットを迎えるまでの約3時間、
ドル円相場は極めて異様な動きを見せました。

安値159.914、高値160.032
値幅にしてわずか「11.8pips」という限界的な超狭レンジに、
完全に釘付け(ピン留め)にされていたのです。

先日のメルマガで警告した通り、
160.00円に存在していた巨額オプションの壁(ガンマ・ピン)が、
凄まじい引力で相場を拘束していた証拠です。

そして23時の期限が過ぎると、
まるで重力から解放されたかのように160.196までじり高となるなど、
市場に上昇バイアスがかかりやすい状況が続いています。

では、このままドル円は上値を一気に伸ばすのかと言えば、
そう簡単にはいきません。

オプション市場のオーダー状況を見ると、
本日9日(火)をはじめ、明日10日(水)に「大きめ」、
さらに11日(木)、来週15日(月)にいたるまで、
160.00のストライク(権利行使価格)には
今後もずらりと巨額のオーダーが並んでいます。

市場では「これだけ160円に肉薄しているのだから、
日本の通貨当局が再び実弾介入を行うのではないか」
と身構える声が多いですが、私の視点は異なります。

これだけ強固なオプションの防波堤が並び、
相場がしばらく160.00円付近にピン留めされることが分かっている環境で、
財務省がわざわざ貴重な実弾を消費する必要はありません。

民間のディール(ガンマ・ヘッジ)が勝手に160円を抑え込んでくれる間は、
当局は静観を決め込むのが最も合理的だからです。

11.7兆円を嘲笑うヘッジファンドの「円売り越し」

しかし、マクロのファンダメンタルズが
ドル高・円安を猛烈にプッシュしている事実に変わりはありません。

先週末に発表されたシカゴ投機筋のIMMポジションを見ると、
ヘッジファンドなどの円売り越し(ショート)残高が、
2024年7月以来の2年ぶり高水準に達していたことが明らかになりました。

日本政府が4月末から5月初めに
過去最大の11兆7,349億円もの巨額資金を投入したにもかかわらず、
投機筋はそれを嘲笑うかのように、
裏で冷徹に円ショートを積み上げていたのです。

彼らがここまで強気なのは、FRBの年内利上げ観測によるドル高
を背景としていると考えられます。

5日(金)の米雇用統計の絶好調を受けて、
現在、短期金融市場(FedWatch Tool)が織り込む
FRBの年内利上げ確率は、なんと71.3%まで急騰しています。

労働需要の改善と根強いインフレという米マクロ経済環境を背景に、
FRBは引き締め的な金融政策を維持せざるを得ず、
ドルは今後も上昇基調を続ける。

これが世界のグローバルマクロが下した現状での結論です。

東短リサーチによる日銀の6月16日(火)利上げ確率も
93%まで高まっています。

しかし、日銀が利上げしたところで、
この巨大なドル高のトレンドを変えることはできません。
円高に振れたとしても、
その効果は極めて限定的であるとの見方が根強い状況です。

日本の通貨当局の実弾介入の可能性

では、財務省が重い腰を上げて
「本物の実弾介入」に踏み切るケースとはいつか。

それは、明日10日(水)21:30に発表される
米消費者物価指数(CPI)が…

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