米CPIとPPIでアルゴリズムが仕掛ける「なんちゃって介入」に要警戒

本日のテーマ

昨日のNY為替市場では、ドル円が160.441まで上昇しました。
日本の通貨当局による為替介入への警戒感から上値には慎重さが漂うものの、
着実に160円台の足場を固める堅調な展開が続いています。

NY時間に入ってドル指数が力強く上昇したことも、
ドル円の下値を大きくサポートしました。

しかし、米国債利回りの低下や、
米国とイランの停戦実現への期待感が広がる中、
今週の最重要インフレ指標を見極めようとするムードが強く、
市場の商いは非常に低調です。

現物の為替市場における取引量は直近平均の「約7割」に留まっており、
米預託証券決済公社(DTCC)のデータを見ても、
通貨オプションの取引量は通常の「約8割」に激減しています。

中東リスクの後退による原油高の一服と米金利低下(ドル売り要因)と、
FRBの根強いタカ派観測(ドル買い要因)が真っ向からぶつかり合い、
エネルギーが完全に拮抗して方向感をなくしている状態です。

こうした静寂の中、本日21:30に米消費者物価指数(CPI)、
そして明日21:30には米生産者物価指数(PPI)の発表が相次いで控えます。

本日は、この「インフレ指標ラッシュ」の直後に仕掛けられる、
アルゴリズム売買の罠についてクオンツの視点から解説します。

上野ひでのり本日の視点

指標直後は「無風」の想定、実弾介入の可能性も低めか

結論から申し上げます。
データを見る限り、本日および明日の指標発表の直後において、
ドル円相場にそれほど大きなトレンドを伴う変動は起きないと想定しています。

市場のオプション織り込み度を見ても、
ここからの大暴走は想定されていません。

当然、現在の160円台前半という水準であっても、
当局による実弾介入が発動する可能性は極めて低いと考えられます。

なぜなら、現在の相場はジリジリとした実需主導の動きであり、
財務省が重い腰を上げる大義名分である
「過度な変動や無秩序な動き」には程遠いからです。

しかし、「大きな変動がない」「介入がない」からといって、
無警戒でいいわけではありません。

商いが極端に薄くなっている今夜のようなタイミングこそ、
ヘッジファンドなどの「アルゴリズム売買」に最も狙われやすい、
非常に危険な時間帯だからです。

いわゆる「なんちゃって介入」です。

なぜ、数字が「上振れ」した時よりも「下振れ・無風」が危ないのか?

警戒ポイントは、
CPIやPPIの数字が予想を上振れした時(ドル高方向)ではありません。

むしろ、「予想の範囲内(無風)」に収まった時、
あるいは「予想を下回った(ドル安方向)」時の方が、
トリッキーな動きが起こる可能性が高いと見ています。

その理由は、市場に溜まったポジションの
「ストップ(損切り注文)」を巻き込んだ方が、
効率よく利益を出せるというアルゴリズムの
冷徹な防衛・攻撃ロジックにあります。

現在のドル円は160円台が定着しつつあり、
底堅い米経済を背景に「下がったら買いたい」という
押し目買いのロングポジションが下値にびっしりと並んでいます。

もし指標が「無風」か「やや弱い」数字だった場合、
アルゴリズムは一瞬の隙を突いて、
下位のストップロスを強引に巻き込みにいく
「ストップ狩り」を仕掛けてくる可能性があります。

具体的な動きとしては、
【30~100pips(30銭~1円)程度の瞬間的な急落】を引き起こし、
たまらず投げさせられた個人投資家の損切りを吸収した直後、
何事もなかったかのように一気に全戻し(猛烈な買い戻し)をしてくる。

これが、流動性が低下した薄商いの中で
アルゴリズムが頻発させる典型的な手口です。

アルゴリズムにどう立ち向かうか

今夜から明日にかけての戦い方は非常にシンプルです。
指標発表直後のハイスピードな乱高下に…

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