WTI原油が13.5%の急落!インフレ加速回避の見込み

9月16日と18日に下記の記事で、原油高により国内の円安物価高の加速を警告しました。

WTI原油91ドルまで高騰。史上最高値147ドル到達の可能性
ロシア・中東・中国の蜜月が原油相場の暴騰を招く

ドル円の150円到達もほぼ確実視されていたこともあり、暖房シーズン入りの灯油価格の高騰が寒冷地の家計を痛めつける見込みであるとも警告しました。
しかし、WTI原油先物は、9月28日がピークで、その後5営業日で13.5%の急落となりました。その原因分析と今後の相場の見通しをお知らせします。朗報と言える内容なのでご安心くださいね。

WTI原油先物の年初来高値は9月28日の94.17ドル


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ローソク足がWTI原油先物(CFD)の日足、黒い太線が米国RBOBガソリンのチャートです。WTI原油先物(CFD)の高値は94.99ドルと表示されていますが、原資産(NYMEX上場の当限価格)は94.17ドルです。

米国ガソリン価格がドライブシーズン終了で急落

米国のドライブシーズンは、5月最終月曜日のメモリアルデーから、9月第1月曜日のレイバーデーまでの3か月強とされます。
日本のレギュラーガソリンの給油所小売価格は、2023年9月4日(月)時点で2週連続の史上最高値更新で186.5円を記録しましたが、当日はレイバーデーでした。

その後は当然のこと、最需要期のドライブシーズン終了でガソリン相場が下落するのですが、年初来高値2.9859ドル(8月11日)⇒直近安値2.1709ドル(10月5日)で27.2%もの暴落となり、年初来安値更新となりました。このような大幅な需要減退は今年特有の現象であり、米国の経済活動が鈍る兆候かもしれません。

10月4日発表の米国ガソリン在庫が大幅増加

毎週火曜日に発表になる米国週間原油在庫について、総量としての在庫は大幅に減少していました。この結果はWTI原油先物価格の押し上げ要因となるのが通常ですが、ガソリン在庫だけが突出した大幅増加となっていたのです。ドライブシーズン終了から1か月を経て急激な在庫増ということで、著しく需要が鈍っているということになります。

ガソリン価格の暴落によりWTI原油先物の調整色が強まった

サウジアラビアとロシアを中心としたOPECプラスの減産継続による需給面のひっ迫により、WTI原油価格が100ドル超を目指す流れになりましたが、ガソリン価格は例年より早い8月11日でピークアウトしていました。
ガソリン価格はピークアウト後であったものの、これから暖房シーズン入りし灯油価格が上昇しますので、原油価格はさらなる高値を目指すと思われ、9月に2本の警報記事となった訳です。

その後もガソリン価格の急落が止まらず年初来安値を更新するのは想定外でした。大幅な需要減は景気減速のサインになるかもしれませんが、原油高はコストプッシュ型の悪いインフレ原因になるので、それを回避できたことは良かったと思います。

日本の家計には朗報

「OPECプラスの減産継続+米国景気拡大による原油需要増加+円安ドル高」により、政府補助金を除いたガソリン価格が史上最高値をさらに更新する可能性が高かったのですが、WTI原油価格が直近5日で13.5%の急落ということで、こちらもピークアウトした可能性が高くなりました。
10月6日(金)15:00時点で、レギュラーガソリンの小売価格は166.4円です。9月4日(月)の史上最高値186.5円から、20.1円、10.8%の下落となりました。

円安ドル高も10月3日(月)のドル円151.94でピークを打ったとすれば、原油価格が80ドル近辺で安定推移するという前提で、暖房シーズンの灯油価格も昨年より割高なものの、何とか耐えられる水準で留まると期待されます。

今後の相場の見通し


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ローソク足が米国10年債利回り(長期金利)、黒い太線が米国2年債利回り(短期金利)です。

米国のガソリン需要減退は米国経済減速の兆候である可能性が高く、長短金利の上昇も早晩ピークアウトとなると思います。
したがって、ドル全面高も同期してピークアウトし、ドル円相場も下落に向かうでしょう。

日本がさらなる猛烈なコストプッシュ型インフレに襲われる可能性は低くなったと想定しています。