目次
本日のテーマ
昨夜のFOMCおよびウォーシュFRB議長の記者会見を経て、
外国為替市場では明確な「ドル安のトレンド」が始動しました。
ドル指数(DXY)は前日の101.640から一気に100.762まで急落し、
市場が勝手に膨らませていた過剰な利上げ織り込みのハシゴが
見事に外された格好です。
前日まで警告していた「ウォーシュ勅言による過剰織り込みの剥落」
というシナリオが、高い精度で現実化しました。
本日は、FOMCが残した構造的メッセージと、
ドル急落の中で「なぜ日本円の反応だけが鈍いのか」
というクロスアセットの力学について解説します。
上野ひでのり本日の視点
1.利上げを「手放した」FRBとウォーシュの真意
今回のFOMCは3.50-3.75%での据え置き(9対3)で可決されました。
0.25%の利上げを求めて反対票を投じた3名の地区連銀総裁の動きに対し、
ウォーシュ議長は会見で「彼ら自身が語るべき」と一蹴し、
意に介さない姿勢を貫きました。
市場を最も揺さぶったのは、
ウォーシュ氏がインフレ抑制について
「利上げ(金利手段)は唯一の手段ではない」と断言した点です。
【ウォーシュ戦略の本質】
(1)フォワードガイダンスの廃止:
あらかじめ答えを出さず、市場自身に予想させる。
(2)市場主導の引き締めを歓迎:
金融市場が自律的に実質金利を上昇させ、
ドル高・株安・ボラティリティ上昇を引き起こす状況を
FRBの「実績」として評価する。
つまり、
「市場が勝手に引き締めてくれる以上、
FRBが自ら手を汚して利上げを決定する必要はない」という、
巧妙な【引き締めの丸投げ(アウトソーシング)】です。
この冷徹なスタンスを受け、
FedWatch Toolが示す9月利上げ確率は直前の82%超から57.4%へ、
年内利上げ確率も83.2%へと大幅に低下しました。
ドル指数の下落バイアスは、今後しばらく継続すると見るのが自然です。
2.ドル急落の中で「日本円」が5位にとどまった理由
昨夜のNY市場において、全面安となったドルに対して
買われた主要通貨の騰落順位は以下の通りです。
1位 スイスフラン ・・・安全資産への流入と欧州金利動向の織り込み
2位 ユーロ ・・・原油価格とインフレ期待の相関が強く、ECBのタカ派維持を反映(対ドル1.1475)
3位 ポンド ・・・英中銀のインフレ警戒感に伴う金利差維持
4位 カナダドル ・・・資源国通貨としての底堅さ
5位 日本円 ・・・上値が重く、反応は限定的(対ドル・対クロス円での円安傾向が継続)
全般的なドル安が進行する一方で、
ユーロ円が187.478円へ上昇して年初来高値(187.954円)に迫るなど、
円売り・クロス円の上昇バイアスは維持されています。
この「円買いの遅れ」は、日本円の弱さというよりも、
明日31日(金)に控える
日銀金融政策決定会合と植田総裁の会見を見極めたいという、
市場のポジション控え(様子見)が主因と言えそうです。
3.明日の日銀金融政策決定会合と「介入の罠」
ドル全体の頭打ち(DXYの低下)という巨視的なトレンドが確定した今、
為替相場の最後のパズルは「明日の日銀」となります。
現在、短期金融市場における日銀の10月利上げ織り込みは77%に達しており、
6営業日後に公表される「主な意見」での政府出席者の発言を含め、
タカ派的な姿勢が期待されています。
明日の2大分岐シナリオ
(1)【日銀タカ派通過/円高加速】
植田総裁が追加利上げへ強い踏み込みを見せた場合、
他通貨に遅れていた「円買い」が一気に追いつき、
ドル円は160円台に向けた強烈な自律調整(ショートカバー)を開始するでしょう。
この場合は当局の介入なしにドルの下落が進みます。
(2)【日銀慎重/一時的な円安急騰(ボラティリティ・スパイク)】
市場の期待に届かず、
一瞬「金利差は縮小しない」との見方から164円~165円方向へ急騰した場合、
そこは「ドル安のマクロ背景」と「1.28兆ドルの外貨準備(FIMAレポ等)」
を背に負った日本の通貨当局が、
最も効率的に実弾介入を撃ち込めるチャンスとなります。
4.【結論】構造的ドル安への転換を見極める
ドル指数が100.7台まで下落したファクトが示す通り…
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