トランプ発言「二転三転」の裏にある焦燥感。ドル円160円割れの攻防

本日のテーマ

昨日のNY為替市場は、後半にかけてドル安の圧力が強まりました。

堅い防波堤と思われていた「160.00」の節目をあっさりと割り込み、
ドル円は一時159.537まで下落する荒っぽい展開となりました。

この急落の直接的なトリガーとなったのは、経済指標でも日銀の動向でもありません。
トランプ大統領の「二転三転」するSNS投稿という、極めて政治的なノイズです。

本日は、この大統領の支離滅裂な発言に対して、
英語圏の主要金融メディアがリアルタイムでどう評価し、
それが今後の相場にどう影響するのかをクオンツの視点で紐解きます。

上野ひでのり本日の視点

わずか数時間での「攻撃予告」から「和平合意」への急旋回

昨晩のトランプ大統領の言動は、
まさに「Whiplash(むち打ち症になるほどの急展開)」と
海外メディアに揶揄されるほど迷走しました。

まず、自身のSNS(Truth Social)で
「今夜、イランを非常に激しく攻撃する」と物騒な投稿を行い、
カーグ島などの石油インフラ接収まで示唆しました。

しかし、その数時間後には一転して攻撃の中止を発表。
突如として
「イランとの間で、核兵器を持たないこと(概念的な合意)を含む
素晴らしい和平合意(Great Settlement)がまとまった」と宣言したのです。

さらに、合意の署名は週末にもヨーロッパで行われ
(自身ではなくバンス副大統領が代理出席)、
成立次第、封鎖されているホルムズ海峡は再開されるとまで踏み込みました。

海外メディアの冷徹な分析:「インフレへの焦り」が生むノイズ

この劇的な「ディールの演出」に対し、
NPRやReutersをはじめとする英語版の主要メディアは、
驚くほど冷めた視線を送っています。

海外メディアの分析の論点は共通しています。
それは、
「トランプは、歴史的なインフレとガソリン価格の高騰によって
国内の支持率が急落しており、
何としてでも(力技で爆撃してでも)イランを屈服させ、
戦争を終わらせたがっている焦りの裏返しである」という点です。

あるメディアは
「彼が望む現実を無理やり捏造しようとしている(manufacture reality)」
とまで酷評しています。

事実、イラン外務省の報道官はすぐさま
「大部分はまとまっているが、最終結論には至っていない」と声明を出し、
トランプの前のめりな発言に冷や水を浴びせています。

文字通りに受け取るには不確定要素が多すぎますが、
少なくとも「戦局がこれ以上悪化するフェーズではない」
という市場の安堵感を誘い、
原油価格は一時4%下落しました。これが昨晩のドル売りの正体です。

マクロの「重力」は変わっていない

では、このトランプ発言による160円割れで、
ドル円の上昇トレンドは完全に崩れたのでしょうか…

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