【ファンダメンタル分析が苦手と悩んでいる方へ】試読版もご用意しました。
為替はなぜ動くのか――中央銀行・金利・資金フローから読み解く世界のFX市場【2026年版】
目次
本日のテーマ
昨日のNY為替市場は、ロンドン時間の急落から一転してNY時間に下げを取り戻す、
神経質な往って来いの展開となりました。
ロンドン時間には、財務省の三村財務官による
「高市首相、片山財務相、米国からのメッセージは非常にクリアなもの。
市場が素直に受け止めてくれればいい」
という踏み込んだ発言が伝わり、ドル円は一時156.498円まで急落しました。
しかし、イラン情勢を巡る停戦交渉への期待後退やホルムズ海峡を巡る不透明感から、
有事の安全資産としてのドル需要が根強く、
NY時間にかけて再び157円近辺へと持ち直しています。
160円手前で日米当局が手ぐすねを引く中、
地政学リスクが下値を支えるという複雑な力学が働いていますが、
本日は日々の短期的なノイズを一段高い視座から見下ろすための
「特別なニュース」をお届けします。
上野ひでのり本日の視点
1.【新連載公開】上野ひでのり総研 第2弾『ソロス・チャート』の研究ハブを開設
先週末に公開した「IMMポジション週報」に続き、
上野ひでのり総研の第2の研究テーマとなる
『ソロス・チャート』の研究ハブページを完全無料公開いたしました。
本レポートは、単に計算結果を羅列したものではありません。
金融史やグローバル・マクロの知財としての面白さを凝縮させた読み物としても
完成度が高いと自負しています。
その筆頭が、「なぜ『ソロス・チャート』と呼ばれるのか?」という
歴史のミステリーです。
実は、このチャートはジョージ・ソロス本人が考案・発表したモデルではありません。
1996年1月、東京でソロスと“ミスター円”こと榊原英資氏が同じパネルに登壇し、
円相場の行方を議論した象徴的な出来事がありました。
二国間の中央銀行マネーの供給量を比較するこの手法は、
ソロスのマクロ投資哲学と極めて親和性が高かったことから、
日本の市場参加者が後から彼の名前を冠して定着させた経験則なのです。
さらに興味深いのは、2014年に経済学者の浜田宏一氏がソロス本人に直接尋ねた際、
ソロスは「そんなチャートは知らない」と答えたという逸話です。
そして、1992年にソロスのもとで英ポンド危機を仕掛け、
2013年にはアベノミクス初期の大規模な円売りトレードを主導した人物こそ、
現米財務長官のスコット・ベッセント氏です。
ソロスからベッセントへと受け継がれた「中央銀行のバランスシートの歪みを突く」
というグローバル・マクロの系譜が、
現在の為替相場の水面下でどのように息づいているのかを詳細に解き明かしています。
2.チャートの白眉:「実勢-理論値」の差分バーチャートと理論値100.46円の衝撃
今回の研究発表における最大の白眉は、
2007年以降の長期推移において、メインチャートの下段に
「実勢為替レート-ソロス理論値」の乖離幅をヒストグラム(差分バーチャート)
として完全可視化した点にあります。
日米の中央銀行マネタリーベース比率から算出した最新データ(9月1日号)において、
衝撃的な数値が示されています。
・ドル円 実勢レート:157.58円
・ソロス理論値:100.46円
・水準差:1.57倍(実勢 > 理論)
日銀の量的引き締め(QT)に伴うマネタリーベースの急減(前年比-13.82%)が
理論値を大きく押し下げる一方で、実勢相場は高止まりを続けており、
差分バーチャートは2007年以降で最も極端なプラス乖離(歴史的な過大評価領域)
に張り付いています。
もちろん、理論値は明日の到達目標価格を意味するものではありません。
しかし、中央銀行マネーの供給量という物理的な枠組みから見た場合、
現在のドル円がどれほど歪んだ高空飛行を続けているのかを、
この差分チャートは冷徹に物語っています。
本レポートは毎月1日に継続更新を行っていきますので、
明後日10月1日に更新される最新月報のデータもぜひ楽しみにお待ちください。
3.足元の相場観:表面的な金利差に隠された「国家権力の意思」
セルサイドのアナリスト陣は、
「日米金利差の縮小期待が後退したため、中期的にはドル円の上昇トレンドが続く」
という紋切り型の解説を今なお垂れ流しています。
しかし、足元で起きている事実を冷静に見つめる必要があります。
三村財務官の…
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