最新のソロス・チャート月報
なぜ「ソロス・チャート」と呼ばれるのか
「ソロス・チャート」という名前を聞けば、世界的な投資家ジョージ・ソロスが考案した為替モデルだと思うかもしれません。
しかし、その由来をたどると、もう少し複雑で興味深い歴史が見えてきます。
このチャートは、ジョージ・ソロス本人が公式な計算式として発表したものではありません。
むしろ、1990年代の円相場をめぐるソロスの発言や投資行動と、日本の市場参加者の間で使われてきた経験則が結びつき、後から「ソロス・チャート」と呼ばれるようになったと考えるのが自然です。
“ミスター円”榊原英資氏とジョージ・ソロス
この名称の背景を考えるうえで、非常に象徴的な出来事があります。
1996年1月、東京でジョージ・ソロスと“ミスター円”榊原英資氏が同じパネルに登壇し、円相場について語りました。
当時の米紙Washington Postによれば、両者はともに円は過大評価されており、今後さらに下落するとの見方を示し、その発言を受けて円相場も反応しました。
Washington Post「’MR. YEN’ AND THE CURRENCY OF POWER」(1997年)
なぜ“ミスター円”榊原英資氏と呼ばれたのか
“ミスター円”榊原英資氏は、1990年代に大蔵省で国際金融政策・為替政策の中心にいた人物です。
1995年から国際金融局長、のちに財務官を務め、その発言が実際の外国為替市場を大きく動かすほどの影響力を持っていました。
その市場への強い影響力から、海外の市場関係者やメディアは榊原氏を“Mr. Yen(ミスター円)”と呼ぶようになります。
つまり1996年の東京では、世界を代表する通貨投資家ジョージ・ソロスと、日本の為替政策を象徴する“ミスター円”榊原英資氏が向かい合い、同じ円相場について語っていたことになります。
円の供給量と為替レートという発想
その後、日本の市場では、日米のマネタリーベースの相対的な大きさとUSD/JPYを重ね合わせるチャートが広く知られるようになります。
背景にある発想はシンプルです。
二つの通貨の供給量を相対的に比較し、その変化と為替レートの関係を見るというものです。
ソロスが通貨・金融政策などを含む大きなマクロ環境から市場を捉える投資家だったことと、このチャートの考え方には強い親和性があります。
こうした背景から、日本の市場参加者の間で「ソロス・チャート」という呼び名が定着していったとみられます。2014年のBloomberg系報道でも、日本のトレーダーや投資家がこの指標を“Soros Chart”と呼んでいることが紹介されています。
InvestingLive「Soros chart shows EUR/JPY will surge to a six-year high」(2014年)
ところが、ソロス本人は「ソロス・チャート」を知らなかった
ここで、この名称の由来をさらに興味深くするエピソードがあります。
経済学者の浜田宏一氏は、2019年の寄稿で、一部のトレーダーがこのマネタリーベース比率を“Soros chart”と呼んでいると紹介しています。
ところが浜田氏が2014年にジョージ・ソロス本人へ尋ねたところ、ソロスはそのチャートについて何も知らないと答えたというのです。
World Economic Forum「Has monetary easing really run its course?」(2019年)
したがって、「ジョージ・ソロスがソロス・チャートという計算式を考案し、公表した」という説明は正確ではありません。
より実態に近いのは、ソロスが円相場とマクロ経済の関係について示した考え方や投資行動を背景に、日本の市場参加者がマネタリーベースと為替を比較するチャートへ後から彼の名前を付けた、という理解です。

ソロスからベッセントへ|グローバル・マクロと円相場
「ソロス・チャート」という名称の背景には、ジョージ・ソロスが得意としたグローバル・マクロという投資スタイルがあります。
個別企業だけを見るのではなく、中央銀行の金融政策、金利、通貨、債券、株式、国際的な資金移動を大きな構造として捉え、その変化から投資機会を探る考え方です。
1992年「イングランド銀行を破った男」
ジョージ・ソロスの名を世界に知らしめた象徴的な取引が、1992年9月の英国ポンド危機、いわゆるブラック・ウェンズデーです。
当時の英国は、欧州為替相場メカニズム(ERM)の枠内でポンドの為替レートを維持しようとしていました。
しかし市場では、その水準を維持することが困難だとの見方が強まり、Soros Fund Managementは大規模なポンド売りを行いました。
英国は最終的にERMから離脱し、ポンドは下落。
この取引によってソロスは巨額の利益を得たとされ、後に「イングランド銀行を破った男」と呼ばれるようになります。
重要なのは、単にポンドが下がると予想したことではありません。
中央銀行や政府が維持しようとする政策と、実際の経済・金融環境との間に生じた大きな不均衡を見抜き、通貨市場でポジションを取ったことです。
その現場にいたスコット・ベッセント
現在の米財務長官スコット・ベッセントも、このグローバル・マクロの歴史につながる人物です。
ベッセントは1991年から2000年までSoros Fund Managementのロンドン拠点でマネージング・パートナーを務め、1992年の英ポンド取引にも関わりました。
その後、Soros Fund Managementの最高投資責任者(CIO)も務めています。
U.S. Department of the Treasury「Scott Bessent」
そして約20年後、ベッセントは再び大きな通貨取引で注目されます。
2012年末から2013年にかけて、Soros Fund Managementは円売りと日本株買いのポジションを構築しました。
当時CIOだったベッセントが主導した取引で、報道では短期間に約12億ドルの利益を上げたとされています。
The Guardian「George Soros makes a billion-dollar bet against the yen」(2013年)
1992年のポンド、そして2013年の円。
対象となった通貨は違っても、政策転換と通貨の大きな変化を捉えるという点では、グローバル・マクロの典型的な取引でした。
なお、ベッセントが自身のグローバル・マクロファンドKey Square Capital Managementを創業したのは2015年です。
2013年の円売りは、Key SquareではなくSoros Fund Management在籍時の取引です。
グローバル・マクロの視点から円相場を見る
ジョージ・ソロスからスコット・ベッセントへ続く投資の歴史を見ると、円相場は単独の通貨ペアとしてだけでは捉えられていません。
中央銀行はどのような政策を採っているのか。
市場へ供給されるマネーはどう変化しているのか。
金利、債券、株式、為替の間で資金はどのように動いているのか。
こうした複数の市場を横断して大きな構造を見るのが、グローバル・マクロの基本的な視点です。
ソロス・チャートは、ジョージ・ソロス本人が作った公式モデルではありません。
しかし、二国間の中央銀行マネーを相対的に比較し、その変化と為替レートを長期的に観測するという発想は、グローバル・マクロの考え方と非常に親和性があります。
当サイトがソロス・チャートの中心にUSD/JPYを置くのも、この歴史的な背景と無関係ではありません。
次に、なぜドル円をこの研究の主役として扱うのかを整理します。
この研究の主役はUSD/JPYである
ここまで見てきた歴史からも分かるように、当サイトのソロス・チャート研究で中心に置くのはUSD/JPY(ドル円)です。
EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USDも同じ考え方を応用して分析しますが、それらは後から検証によって加えた派生研究です。
ソロス・チャートという名称の歴史、日本市場での利用、そして円相場との関係を考えれば、まずドル円を見るのが出発点になります。
円相場から始まったソロス・チャート
ソロス・チャートが日本の市場で広く知られるようになった背景には、日米のマネタリーベースの相対量とUSD/JPYを比較するという使い方がありました。
ドル円は、単に米ドルと日本円の交換レートではありません。
世界最大級の金融市場を持つ米国と、長年にわたり大規模な金融緩和を経験してきた日本という、二つの中央銀行政策の違いが直接向き合う通貨ペアでもあります。
FEDとBOJが供給する中央銀行マネーの量がどのように変化してきたのか。
その相対関係と、実際のドル円相場はどのように動いてきたのか。
ソロス・チャートは、その二つを長期の時間軸で重ねて見るための非常にシンプルな観測方法です。
ドル円の「適正価格」を求めるチャートではない
ここで最も重要なのは、ソロス理論値をドル円の適正価格や均衡為替レートと考えないことです。
為替相場は、中央銀行が供給するマネーだけで決まるものではありません。
金利、実質金利、物価、景気、国際的な資本移動、リスク選好、政策への期待など、数多くの要因が同時に作用しています。
したがって、実勢ドル円がソロス理論値から大きく離れているからといって、「割高」「割安」と判断したり、いずれ理論値へ戻ると考えたりすることはできません。
むしろ重要なのは、中央銀行マネーという一つの要因だけを取り出したとき、現在のドル円がどこに位置しているのかを確認することです。
円相場の今後を考えるための、もう一つの座標軸
ドル円については、日米金利差、実質金利、購買力平価、投機筋ポジション、貿易収支など、さまざまな分析方法があります。
ソロス・チャートは、それらを置き換えるものではありません。
日米の中央銀行マネーの相対量だけから見たドル円という、他の分析とは異なる一つの座標軸を加えるものです。
当サイトがこのチャートを継続して更新する目的も、ひとつの数値から将来のドル円を当てることではありません。
実勢為替とソロス理論値の水準差は拡大しているのか、縮小しているのか。
両者は同じ方向へ動いているのか、逆方向へ動いているのか。
FEDとBOJのマネタリーベースそのものは、どちらへ変化しているのか。
こうした関係を毎月同じ方法で観測し続けることで、円相場の今後を考えるための長期的な材料の一つとして使ってほしいと考えています。
EUR/USD・EUR/JPY・GBP/USDは派生研究
当サイトでは、USD/JPYで使われてきたマネタリーベース比率の考え方を、他の中央銀行と通貨ペアにも拡張しました。
そのうえで長期データを検証し、現在はUSD/JPYに加えて、
EUR/USD
EUR/JPY
GBP/USD
の3ペアを月次分析の対象としています。
これは単純に計算式を他の通貨へ当てはめただけではありません。
内部ではさらに多くの通貨ペアを計算し、実勢為替との関係を長期検証したうえで、分析に利用できる特徴が確認できたものだけを公開対象としています。
したがって、この研究の位置づけは、
USD/JPYを中核とし、検証によって3つの派生ペアへ拡張したソロス・チャート分析
というのが最も正確です。
次に、その「ソロス理論値」が実際にどのような計算で作られているのかを整理します。
当サイトにおけるソロス・チャートの定義
ここからは、当サイトで使用しているソロス・チャートの計算方法を明確にします。
基本的な考え方は非常にシンプルです。
二つの通貨を発行する中央銀行のマネタリーベースを同じ桁(兆単位など)でそろえ、その比率を計算することで、為替レートと比較するためのモデル値を作ります。
当サイトでは、このモデル値を「ソロス理論値」と呼びます。
基本式|QUOTE通貨のMB ÷ BASE通貨のMB
為替レートは通常、
BASE通貨 / QUOTE通貨
という形で表されます。
たとえばUSD/JPYなら、
BASE通貨=USD(米ドル)
QUOTE通貨=JPY(日本円)
です。
当サイトのソロス理論値は、次の式で計算します。
ソロス理論値 = QUOTE通貨のマネタリーベース ÷ BASE通貨のマネタリーベース
したがってUSD/JPYでは、
BOJのマネタリーベース ÷ FEDのマネタリーベース
となります。
USD/JPYなら「BOJ ÷ FED」
たとえば2026年7月のマネタリーベースは、
BOJ:554.9259兆円
FED:5.5239兆ドル
でした。
それぞれを「兆」単位で表したまま比率を取ると、
554.9259 ÷ 5.5239 = 100.459… ≒ 100.46
となります。
この100.46円が、2026年7月時点におけるUSD/JPYのソロス理論値です。
同じ月の実勢USD/JPYは157.58円でした。
ここで重要なのは、100.46円を「ドル円の適正価格」と解釈することではありません。
日米の中央銀行マネーだけを比較すると100.46という水準になる一方、実勢為替は157.58円だったという二つの事実を並べて観測することが、この分析の出発点です。
公開4通貨ペアの計算方法
同じ基本式を他の通貨ペアへ展開すると、現在公開している4ペアは次のようになります。
| 通貨ペア | BASE | QUOTE | ソロス理論値 |
|---|---|---|---|
| USD/JPY | USD | JPY | BOJ ÷ FED |
| EUR/USD | EUR | USD | FED ÷ ECB |
| EUR/JPY | EUR | JPY | BOJ ÷ ECB |
| GBP/USD | GBP | USD | FED ÷ BOE |
つまり、特別な計算式を通貨ペアごとに作っているわけではありません。
QUOTE通貨のマネタリーベース ÷ BASE通貨のマネタリーベース
という一つのルールを、各通貨ペアへ一貫して適用しています。
基準月を100とする指数ではない
ソロス・チャートについては、特定の基準月を100として指数化したチャートとして説明されることもあります。
しかし当サイトでは、USD/JPYについて実際の中央銀行データと既存のソロス・チャートを照合した結果、特定月を100とする補正を行わず、マネタリーベース比率そのものを使用する方法を採用しています。
つまり、2000年1月を100にする、あるいは任意の時点で実勢為替へ合わせる、といったアンカー調整は行いません。
毎月取得した中央銀行のマネタリーベースから、その時点の比率を直接計算します。
このため、実勢為替とソロス理論値が大きく離れる局面もあります。
その乖離を人工的に消すのではなく、離れていること自体を観測対象として残すのが当サイトの基本方針です。
マネタリーベースとは何か|なぜ為替と比較するのか
ソロス・チャートの土台になるのが、各国・地域の中央銀行が公表するマネタリーベースです。
マネタリーベースとは、簡単にいえば中央銀行が直接供給する基礎的なマネーです。
日本では日本銀行、米国ではFederal Reserve(FED)、ユーロ圏ではEuropean Central Bank(ECB)など、それぞれの中央銀行が統計を公表しています。
マネタリーベースは「中央銀行マネー」
一般にマネタリーベースには、流通している紙幣・硬貨や、民間銀行が中央銀行に保有する当座預金・準備預金などが含まれます。
したがって、銀行預金や企業・家計が保有するすべてのお金を表すものではありません。
M1やM2などのマネーストックが、民間経済全体に存在する通貨量を広く捉える統計であるのに対し、マネタリーベースは中央銀行が供給するマネーの土台を観測する統計です。
ソロス・チャートでは、この中央銀行マネーに焦点を絞ります。
重要なのは「絶対量」ではなく二国間の相対量
USD/JPYを考える場合、BOJのマネタリーベースが増えた、FEDのマネタリーベースが減った、という事実をそれぞれ単独で見るだけでは十分ではありません。
ドル円は、米ドルと日本円という二つの通貨の交換比率です。
そのためソロス・チャートでは、
日本円側の中央銀行マネーが、米ドル側の中央銀行マネーに対して相対的にどの程度存在するのか
を比率として観測します。
BOJのマネタリーベースだけが増えれば比率は上昇し、FED側だけが増えれば比率は低下します。
両方が同時に増えていても、その増加ペースが違えば比率は変化します。
つまり、重要なのは「どちらの中央銀行が多くお金を出したか」という単純な比較ではなく、二つの中央銀行マネーの相対関係がどう変化しているかです。
なぜ中央銀行マネーと為替レートを比較するのか
通貨の価格も、長い目で見れば需要と供給の影響を受けます。
一方の通貨の供給環境が、もう一方の通貨に対して大きく変化すれば、その相対関係が為替市場にも何らかの形で表れるのではないか。
ソロス・チャートの根底にあるのは、この非常にシンプルな発想です。
ただし、ここで注意しなければならないのは、マネタリーベースが増えれば、その通貨が必ず下落するという機械的な関係ではないことです。
中央銀行が供給したマネーが、実際にどのように金融市場や実体経済へ波及するかは、その時々の金融環境によって異なります。
また、為替市場では金利、実質金利、インフレ率、景気、国際資本移動、貿易、投資家のリスク選好など、多くの要因が同時に作用しています。
したがって、マネタリーベースだけで為替レート全体を説明することはできません。
あえて「一つの要因だけ」を取り出して見る
それでは、なぜマネタリーベースだけを使うのでしょうか。
理由は、複数の要因をすべて混ぜてしまうよりも、中央銀行マネーという一つの要因を独立して観測した方が、その影響と限界の両方が見えやすいからです。
金利差を入れ、物価を入れ、景気指標を入れ、市場ポジションまで加えれば、より複雑な為替モデルを作ることはできます。
しかし、それでは「中央銀行マネーだけで見た場合、為替はどこにいるのか」というソロス・チャート本来の特徴が失われます。
当サイトでは、Research Themeごとに分析対象を分けています。
ソロス・チャートでは、あえてマネタリーベース比率だけを使います。
そのうえで、実勢為替との一致だけでなく、乖離している局面も含めて長期的に観測します。
この単純さこそが、ソロス・チャートの最大の特徴です。
使用するデータ|5つの中央銀行と為替市場データ
ソロス・チャートでは、計算式そのものと同じくらい、どのデータを使うかが重要です。
当サイトでは、FED、BOJ、ECB、BOE、RBAの5つの中央銀行が公表するデータを継続して取得し、月次系列へ統一したうえでソロス理論値を計算しています。
為替についても月次の市場データを使用し、中央銀行データと同じ基準月で比較します。
5つの中央銀行を継続して観測する
現在、内部データベースでは次の5中央銀行を対象としています。
| 通貨 | 中央銀行 | 主な対象 | 役割 |
|---|---|---|---|
| USD | Federal Reserve | 米国マネタリーベース | 公開・内部分析 |
| JPY | Bank of Japan | 日本マネタリーベース | 公開・内部分析 |
| EUR | European Central Bank | ユーロ圏中央銀行マネー | 公開・内部分析 |
| GBP | Bank of England | 英国中央銀行マネー | 公開・内部分析 |
| AUD | Reserve Bank of Australia | 豪州マネタリーベース | 内部検証 |
USD/JPYだけを計算するのであればFEDとBOJだけで足ります。
それでも5中央銀行を継続して取得しているのは、ソロス・チャートの考え方を他の主要通貨へ展開し、同じルールがどこまで通用するのかを横断的に検証するためです。
中央銀行によって統計の定義は同じではない
「マネタリーベース」という名称で一括りにしても、各中央銀行が公表する統計制度や系列構成は完全には同じではありません。
FEDやBOJのように比較的明確な月次系列を利用できるケースもあれば、複数の構成項目から中央銀行マネーを組み立てる必要があるケースもあります。
ECBについては、銀行券、中央銀行当座預金、預金ファシリティなど、中央銀行バランスシート上の該当項目を用いて系列を構成しています。
BOEについても、長期データの途中で統計体系が変化しているため、単純に一つの系列を過去まで延長することはできません。
したがって当サイトでは、中央銀行ごとの統計制度の違いを確認したうえで、できるだけ一貫した意味を持つ中央銀行マネー系列として整備しています。
BOEは2006年5月を長期検証の起点とする
英国については、マネタリーベース統計の制度変更が長期比較上の重要な問題になります。
当サイトでは、旧系列と新系列の接続関係を確認したうえで長期データを整備していますが、公開する実証検証では2006年5月以降を共通の分析期間としています。
これは、見かけ上長いデータを作ることよりも、統計制度の違いによる歪みをできるだけ分析へ持ち込まないことを優先したためです。
この2006年5月という起点は、後に説明する8通貨ペアの長期検証でも共通して使用しています。
為替データも同じ月にそろえる
中央銀行データだけが最新で、為替データが前月のまま残っている状態では、正しい比較はできません。
そのため当サイトでは、中央銀行マネーと為替市場データについて、分析対象となる月が一致していることを確認してから計算を行います。
中央銀行はそれぞれ公表日や更新タイミングが異なるため、最新のカレンダー月をそのまま使うのではありません。
公開月報に必要な中央銀行データと為替データが共通してそろっている最新月を、その月報の分析対象月とします。
月報チャートに表示しているCOVERAGEは、この分析対象月を示しています。
取得した数字をそのまま使わない
データを取得できたことと、そのデータを分析に使用できることは別です。
当サイトでは、取得後にPythonで、
日付の整合性
欠損
重複
データの鮮度
単位
異常値
などを確認します。
さらに複数の通貨ペアを組み合わせたときに、計算上のクロス関係が矛盾していないかも検証します。
必要なデータがそろっていなければ、古い値を最新値として流用して月報を作るのではなく、分析対象月を進めません。
ソロス・チャートでは計算式が単純だからこそ、入力するデータの定義、時点、単位を正しくそろえることが分析の信頼性を左右します。
8通貨ペアを検証し、4通貨ペアを公開する理由
ソロス・チャートの基本式を使えば、複数の中央銀行を組み合わせてさまざまな通貨ペアの理論値を計算できます。
しかし、数式として計算できることと、実際の為替分析に利用できることは別問題です。
そこで当サイトでは、USD/JPYだけを前提に理論を組み立てるのではなく、5中央銀行のデータから8通貨ペアを作成し、実勢為替との関係を長期データで検証しました。
内部では8通貨ペアを継続して計算する
検証対象としたのは、次の8通貨ペアです。
| 通貨ペア | 組み合わせ | 現在の扱い |
|---|---|---|
| USD/JPY | FED × BOJ | 公開 |
| EUR/USD | ECB × FED | 公開 |
| EUR/JPY | ECB × BOJ | 公開 |
| GBP/USD | BOE × FED | 公開 |
| GBP/JPY | BOE × BOJ | 内部検証 |
| EUR/GBP | ECB × BOE | 内部検証 |
| AUD/USD | RBA × FED | 内部検証 |
| AUD/JPY | RBA × BOJ | 内部検証 |
8ペアはいずれも同じ基本式から計算しています。
また、USD/JPY、EUR/USD、EUR/JPYなどを相互に組み合わせたときに、計算上のクロス関係が矛盾しないことも確認しています。
つまり、数式としては8ペアすべて成立します。
問題は、その先です。
「計算できる」だけでは公開しない
為替市場では、通貨ごとに金融制度、中央銀行の政策手段、市場構造、資本移動の性質が異なります。
そのため、同じマネタリーベース比率を使っても、実勢為替との関係がすべての通貨ペアで同じように現れるとは限りません。
そこで当サイトでは、2006年5月から2026年7月までの共通期間を使い、8通貨ペアについて実勢為替との関係を検証しました。
確認したのは、単純な相関係数だけではありません。
長期的な水準の関係
12か月変化の相関
12か月の方向一致
60か月のローリング窓で見た関係の安定性
実勢値とソロス理論値の水準差
時期を分けたときの関係の変化
など、複数の角度から確認しています。
一つの指標が高かっただけで「使える」と判断するのではなく、どのような特徴を持つモデルなのかを通貨ペアごとに確認することを目的としました。
公開するのはUSD/JPY、EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USD
長期検証の結果、現在の月報で公開しているのは、
USD/JPY
EUR/USD
EUR/JPY
GBP/USD
の4通貨ペアです。
これは、8ペアを成績順に並べて上位4つを選んだという意味ではありません。
通貨ペアによって、長期水準との関係が比較的見やすいもの、変化方向に特徴があるもの、絶対水準より変化を見る方が適しているものなど、性質が異なります。
その違いを踏まえたうえで、月次で継続観測する意味があると判断した4ペアを公開対象としています。
中でもUSD/JPYは、ソロス・チャートの歴史的な出発点であり、この研究の中核です。
残る3ペアは、同じ考え方を一般化して検証した結果、公開分析へ加えた派生系列という位置づけです。
公開しない4ペアも捨ててはいない
GBP/JPY、EUR/GBP、AUD/USD、AUD/JPYは、現在の月報では公開していません。
しかし、これらの系列を削除したわけではありません。
内部では引き続き計算を行い、
クロスレートの整合性確認
データ異常の検出
モデルの安定性検証
将来の追加研究
などに使用しています。
したがって、当サイトのソロス・チャートは、
5中央銀行を観測し、8通貨ペアを内部検証し、そのうち4通貨ペアを公開分析する
という構造になっています。
公開する情報を増やすことよりも、検証結果に応じて分析対象を絞ることを優先しています。
長期検証から何が分かったのか
8通貨ペアの検証では、2006年5月から2026年7月までの243か月を共通期間として、実勢為替とソロス理論値の関係を確認しました。
ここで重要なのは、「ソロス理論値が為替をどれだけ正確に当てたか」を競うことではありません。
水準に関係があるのか、変化方向に関係があるのか、その関係が時期によって変わるのか。
こうした特徴を通貨ペアごとに分けて見ることが、今回の検証の目的です。
USD/JPY|ソロス・チャートの中核
USD/JPYは、今回検証した中でもソロス・チャートの特徴が最も分かりやすく現れた通貨ペアの一つです。
2006年5月から2026年7月までの実勢ドル円とソロス理論値について、対数水準の相関係数は0.700でした。
また、12か月変化率同士の相関係数は0.381、実勢為替とソロス理論値が12か月ベースで同じ方向へ動いた割合は64.9%でした。
一方で、この関係は常に一定ではありません。
60か月のローリング窓で相関を計算すると、その中央値は0.288で、正の相関となったのは、相関を算出できたローリング窓の77.2%でした。
つまり、長期では一定の関係が確認できる一方、局面によって結び付きの強さはかなり変化します。
さらに期間を分けてみると、2020年以降は12か月変化率の相関が0.509まで上昇した一方、方向一致率は50.7%でした。
「長期水準では関係が見える」「変化率にも一定の関係がある」「ただし短期的・局面的には大きく外れる」
というのが、USD/JPYについて確認できた特徴です。
このため当サイトでは、ドル円をソロス・チャートの中核としながらも、単純な予測モデルとしては扱いません。
EUR/USD|水準関係とその変化を観測する
EUR/USDでは、長期水準の相関はUSD/JPYほど強くありませんでした。
2006年5月以降の対数水準相関は0.270、12か月変化率の相関は0.212、12か月方向一致率は57.6%です。
ただし、期間別に見ると性格が変わっています。
2020年以降では、12か月変化率の相関が0.410、方向一致率が67.2%となりました。
一方で、それ以前の期間では関係が弱い局面もあります。
したがってEUR/USDは、長期間を通じて一定の関係が続くモデルというより、実勢為替とマネタリーベース比率の現在の関係や、その変化を観測する系列として扱う方が適しています。
月報でも、絶対的な水準だけで結論を出すのではなく、実勢値とソロス理論値の位置関係、水準差、その変化方向を中心に確認します。
EUR/JPY|もう一つの円相場を見る
EUR/JPYは、USD/JPYとは異なる組み合わせで円を見ることができます。
USD/JPYがFEDとBOJの相対関係であるのに対し、EUR/JPYはECBとBOJのマネタリーベースを比較します。
全期間では、対数水準の相関は0.241でしたが、12か月変化率の相関は0.473となりました。
一方、12か月方向一致率は51.5%です。
さらに期間別に見ると、2020年以降の12か月変化率相関は0.043まで低下しており、近年は方向関係が弱くなっています。
この結果から、EUR/JPYについては短期的な方向を読むモデルとして使うのではなく、BOJとECBの中央銀行マネーから見た円の位置を、USD/JPYとは別の角度から観測することに意味があると考えています。
同じ円相場でも、相手通貨がドルなのかユーロなのかによって、見えてくる構造は異なります。
GBP/USD|水準ではなく変化に特徴がある
GBP/USDは、今回の検証で最も特徴的な結果となった通貨ペアです。
生のマネタリーベース比率と実勢GBP/USDは、絶対的な表示水準が大きく異なります。
全期間で見ると、実勢と生のソロス理論値の水準差は非常に大きく、そのままでは両者を同じチャート上で比較することが実用的ではありませんでした。
ところが、変化方向を期間別に見ると別の特徴が現れます。
2013年から2019年では12か月変化率の相関が0.414、方向一致率は72.2%。
2020年から2026年7月では、相関が0.674、方向一致率は80.3%でした。
つまりGBP/USDでは、絶対的な水準そのものより、マネタリーベース比率がどちらへ変化しているかを見る方が有用という特徴が確認できました。
このため公開チャートでは、生の計算値を変更するのではなく、長期的な変化を比較しやすくするための固定係数による水準調整を行っています。
その方法は次の章で詳しく説明します。
4ペアは同じ性格のモデルではない
長期検証から最も重要だったのは、同じ計算式を使っても、通貨ペアによって実勢為替との関係はかなり異なるという点です。
USD/JPYは、長期水準と変化の両面から見る中核系列。
EUR/USDは、水準関係とその変化を観測する系列。
EUR/JPYは、ECBとBOJという別の組み合わせから円を見る系列。
GBP/USDは、絶対水準より長期的な変化方向を重視する系列。
当サイトでは、この違いを無理に一つの評価尺度へまとめません。
ソロス・チャートを一つの万能モデルとして扱うのではなく、通貨ペアごとに何が観測でき、何が観測できないのかを区別して使うことを基本としています。
GBP/USDだけ水準調整する理由
GBP/USDは、公開している4通貨ペアの中で唯一、ソロス理論値に固定係数による水準調整を行っています。
これは、モデルを実勢為替へ毎月合わせ込むためではありません。
また、英国と米国の経済規模そのものを補正しているわけでもありません。
目的は、生のマネタリーベース比率と実勢GBP/USDの表示水準が大きく離れているため、長期的な変化を同じチャート上で比較しやすくすることです。
生のMB比率は実勢GBP/USDと水準が大きく異なる
GBP/USDについて基本式をそのまま適用すると、
FEDのマネタリーベース ÷ BOEのマネタリーベース
によって生のソロス理論値が計算されます。
しかし、この生の比率は実勢GBP/USDと絶対的な表示水準が大きく異なります。
2026年7月では、生のソロス理論値は約7.23、実勢GBP/USDは1.3482でした。
この二つをそのまま同じチャートへ重ねても、長期的な変化方向を視覚的に比較しにくくなります。
一方、前章で見たように、特に2013年以降では12か月変化率の相関や方向一致に一定の特徴が確認されました。
そこで、生の計算値そのものは保存したまま、表示用系列だけを固定係数で調整しています。
固定係数は一度だけ決める
水準調整に使用する係数は、
2006年5月から2026年7月までの243か月
を固定した校正期間として算出しました。
各月について、
実勢GBP/USD ÷ 生のソロス理論値
を計算し、その中央値を固定係数としています。
算出された係数は、
0.177929314522
です。
公開チャートでは、
水準調整後ソロス理論値 = 生のソロス理論値 × 0.177929314522
として表示します。
毎月の実勢為替には合わせ直さない
ここが最も重要です。
固定係数は、2026年7月までの校正期間で一度決定した後、将来の実勢GBP/USDに合わせて変更しません。
月報を更新するたびに、新しい為替レートへ近づくよう係数を再計算することもしません。
したがって、この調整は「今月の為替に理論値を合わせる」処理ではありません。
一度決めた表示倍率を固定することで、以後のチャートでは、
実勢GBP/USDとマネタリーベース比率が、その後どのように別々に変化していくか
をそのまま観測できます。
調整しても変化率は変わらない
一定の固定係数をすべての時点に掛けても、系列の形や変化率は変わりません。
たとえば、生のソロス理論値が前年から10%上昇すれば、水準調整後の系列も10%上昇します。
つまり、固定水準調整によって変更されるのはチャート上の縦方向の表示位置だけです。
長期的な上昇・低下、前年比、変化方向といった分析対象は、生のマネタリーベース比率と同じ情報を保っています。
このためGBP/USDでは、絶対的な理論値の水準そのものよりも、実勢為替とソロス理論値がどの方向へ変化しているかを重視します。
2026年7月ではどう見えるか
2026年7月の生のソロス理論値は7.233549でした。
これに固定係数を適用すると、7.233549 × 0.177929314522 ≒ 1.287060 → 1.2871となります。これが水準調整後のソロス理論値です。
同月の実勢GBP/USDは1.3482です。
この近さだけを見て、「モデルが実勢為替を正確に説明している」と判断することはありません。
現在の水準が近いのは一時点の結果にすぎず、当サイトが重視するのは、固定した同じ尺度の上で今後も両系列を継続して観測できることです。
GBP/USDは、4ペアの中でも特に「水準」より「変化」を読む系列として扱います。
「水準差」はどう読むのか
ソロス・チャート月報では、実勢為替とソロス理論値がどの程度離れているかを示すために、「水準差」という倍率を使用します。
水準差は、実勢値とソロス理論値の差額そのものではありません。
通貨ペアによって為替レートの桁や水準が大きく異なるため、どのペアでも同じ考え方で比較できるよう、常に1倍以上になる対称的な倍率として表示しています。
水準差は「大きい方 ÷ 小さい方」
計算方法はシンプルです。
水準差 = 実勢値とソロス理論値の大きい方 ÷ 小さい方
したがって、
1.00倍
= 実勢値とソロス理論値が同じ水準
1.20倍
= 大きい方が小さい方の1.20倍
1.50倍
= 大きい方が小さい方の1.50倍
という意味になります。
この方法を使うことで、USD/JPYでもEUR/USDでもGBP/USDでも、同じ「何倍離れているか」という尺度で水準差を確認できます。
倍率だけでは、どちらが上かは分からない
水準差は常に1倍以上で表示するため、倍率だけを見ても、実勢為替とソロス理論値のどちらが高いのかは分かりません。
そのため月報では、水準差とあわせて、
実勢 > 理論
または、
実勢 < 理論
という位置関係を必ず確認します。
たとえば2026年7月のUSD/JPYは、
実勢値 157.58円
ソロス理論値 100.46円
でした。
この場合、
157.58 ÷ 100.46 ≒ 1.57倍
となり、
水準差 1.57倍|実勢 > 理論
と表示します。
一方、同じ2026年7月のEUR/USDは、
実勢値 1.1528
ソロス理論値 1.3947
でした。
こちらはソロス理論値の方が大きいため、
1.3947 ÷ 1.1528 ≒ 1.21倍
となり、
水準差 1.21倍|実勢 < 理論
と表示します。
同じ「1.2倍前後」という水準差でも、実勢と理論の上下関係は逆になることがあります。
水準差の拡大・縮小も毎月確認する
月報では、現在の水準差だけでなく、前月からその倍率がどのように変化したかも確認します。
たとえば、
前月 1.60倍 → 今月 1.57倍
であれば、水準差は縮小。
前月 1.18倍 → 今月 1.21倍
であれば、水準差は拡大です。
この変化量は、
今月の水準差倍率 - 前月の水準差倍率
として計算します。
これは百分率の変化ではなく、倍率そのものの単純な差です。
1か月の変化だけで「転換」とは判断しない
水準差が前月から縮小したからといって、「長期的な縮小局面へ転じた」と判断することはできません。
同様に、前月から拡大しただけで「乖離拡大が続いている」と判断することもできません。
1か月分の水準差変化から確認できるのは、
前月より拡大した
または、
前月より縮小した
という事実までです。
より長いトレンドを判断するには、複数月の推移を確認する必要があります。
当サイトでは、単月データだけを根拠に「転換した」「継続している」といった表現を自動的に使わないことを基本としています。
水準差は「割高・割安」を意味しない
水準差が大きいからといって、実勢為替が「割高」あるいは「割安」だという意味ではありません。
たとえばUSD/JPYで実勢為替がソロス理論値を大きく上回っていても、それだけを根拠にドル円が将来理論値まで低下すると考えることはできません。
水準差が示しているのは、
中央銀行マネーだけから計算したモデル値と、実際の為替市場が現在どの程度離れているか
という事実です。
当サイトでは、水準差を「適正価格との差」ではなく、モデルと市場の現在の位置関係を観測するための指標として使用します。
ソロス・チャート月報の読み方
ソロス・チャート月報では、単に「実勢為替が理論値より高いか、低いか」だけを見るわけではありません。
当サイトでは、毎月のチャートを読む際に、
① 実勢値とソロス理論値の位置関係
② 水準差
③ 12か月の変化方向
④ 中央銀行マネタリーベースの変化
⑤ 前月からの水準差変化
という5つの視点を確認します。
① 実勢値とソロス理論値の位置関係
最初に確認するのは、現在の実勢為替とソロス理論値のどちらが上にあるかです。
月報では、
実勢 > 理論
または、
実勢 < 理論
という形で表示します。
これはあくまで現在の位置関係を示すものであり、どちらが「正しい価格」なのかを意味するものではありません。
まずは、中央銀行マネーから計算したモデル値に対して、実際の為替市場がどこに位置しているのかを確認します。
② 水準差|どの程度離れているか
次に、その二つがどの程度離れているかを水準差で確認します。
前章で説明したように、水準差は常に、
大きい方 ÷ 小さい方
で計算します。
1.00倍に近ければ両者の水準は近く、倍率が大きくなるほど離れていることを示します。
ただし、水準差が大きいこと自体を「異常」「割高」「割安」と評価するわけではありません。
重要なのは、その距離が現在どの程度あり、時間とともにどう変化しているかです。
③ 12か月変化|LEVELとDIRECTIONを分けて見る
ソロス・チャートでは、現在の水準だけでなく、実勢為替とソロス理論値が過去12か月でどちらへ動いたかも確認します。
たとえば、
実勢為替:上昇
ソロス理論値:上昇
であれば、12か月の変化方向は一致しています。
一方、
実勢為替:上昇
ソロス理論値:低下
であれば、方向は逆です。
ここで重要なのは、
LEVEL(水準)とDIRECTION(方向)は別の情報
という点です。
現在の水準が大きく離れていても、両者が同じ方向へ動いていることはあります。
逆に、水準が近くても、直近12か月では逆方向へ動いていることがあります。
当サイトでは、この二つを混同しません。
④ FED・BOJなどのマネタリーベース前年比を見る
ソロス理論値だけを見るのではなく、その背景にある各中央銀行のマネタリーベースも確認します。
USD/JPYなら、
FEDのマネタリーベース前年比
BOJのマネタリーベース前年比
を並べます。
EUR/USDならECBとFED、EUR/JPYならECBとBOJ、GBP/USDならBOEとFEDです。
これにより、ソロス理論値が上昇・低下した背景に、
どちら側の中央銀行マネーが、どの程度変化しているのか
を確認できます。
ソロス理論値だけを見れば一つの数字ですが、その内側では二つの中央銀行マネーが別々に動いています。
⑤ 前月から水準差が拡大したか、縮小したか
最後に、前月と比べて実勢為替とソロス理論値の距離がどう変化したかを確認します。
前月より倍率が大きい → 水準差拡大
前月より倍率が小さい → 水準差縮小
です。
これは、その月にモデルと市場の距離がどちらへ動いたかを確認するための指標です。
ただし、一か月の変化だけから長期的なトレンド転換を判断することはありません。
月報では、
「前月から拡大した」
「前月から縮小した」
という事実までを記述します。
5つの視点を組み合わせて読む
たとえば、
実勢 > 理論
という事実だけでは、ソロス・チャートから読み取れる情報はまだ限定的です。
そこに、
水準差は1.57倍
12か月では実勢上昇・理論低下
FEDとBOJのマネタリーベースはそれぞれどう変化したか
前月から水準差は拡大したのか、縮小したのか
を重ねることで、初めて現在の構造が見えてきます。
ソロス・チャート月報は、一つの数字から結論を出すためのレポートではありません。
水準、方向、中央銀行マネー、その変化を同じ形式で毎月観測し続けることに意味があります。
研究の基本的な考え方
ソロス・チャートは、実勢為替を説明するための唯一のモデルではありません。
また、ソロス理論値と実勢為替が一致することを前提にした研究でもありません。
当サイトでは、中央銀行マネーという一つの要因を独立して観測し、それが実際の為替市場とどのような関係を持っているのかを継続的に検証することを基本としています。
理論値に一致することを前提にしない
モデルを作ると、つい「実勢価格は理論値へ近づくはずだ」と考えたくなります。
しかし、ソロス・チャートではその前提を置きません。
実勢為替とソロス理論値が近づく局面もあれば、大きく離れる局面もあります。
同じ方向へ動く時期もあれば、逆方向へ動く時期もあります。
当サイトでは、そのどちらも観測結果として扱います。
一致したことだけをモデルの成功として取り上げ、乖離した時期を除外することはしません。
むしろ、モデルと市場がなぜ離れているのかを考えること自体が、ソロス・チャートを見る意味の一つです。
モデルが機能しない期間も重要なデータ
前章までに見たように、ソロス理論値と実勢為替の関係は、時期によってかなり変化します。
ある期間では高い相関が見られても、別の期間ではほとんど関係が見られないことがあります。
これは、モデルの「失敗」として捨てるべき情報ではありません。
為替市場では、その時代ごとに金利、インフレ、資本移動、金融政策、市場参加者の行動など、支配的な要因が変化します。
マネタリーベースだけでは説明できない時期があること自体が、この一因子モデルの限界を示す重要な観測結果です。
当サイトでは、モデルに都合のよい期間だけを選ばず、関係が弱くなった期間も含めて検証します。
単一の数字から相場観を決めない
ソロス理論値が100円で、実勢ドル円が150円だったとしても、その差だけから将来のドル円を判断することはできません。
同じように、水準差が縮小したからといって、その動きが今後も続くとは限りません。
当サイトでは、
現在の水準
12か月の変化方向
前月からの水準差変化
中央銀行マネタリーベースの変化
を分けて確認します。
一つの指標から結論を導くのではなく、複数の観測結果が現在どのような組み合わせになっているかを見ることを重視します。
Research Themeを意図的に分ける
為替市場を分析する材料は、マネタリーベースだけではありません。
金利差、実質金利、投機筋ポジション、為替需給、物価、市場価格など、さまざまな観測方法があります。
しかし、すべての材料を一つのモデルへ詰め込んでしまうと、「何がその結果を生んでいるのか」が分かりにくくなります。
そこで上野ひでのり総研では、分析テーマを分けて研究します。
Research Theme 01では、CFTCのポジションデータから市場参加者の現在地と変化を観測します。
Research Theme 02であるソロス・チャートでは、中央銀行のマネタリーベース比率だけを観測します。
金利差など別の要因は、それぞれ独立したResearch Themeで検証します。
テーマごとに一度分析対象を分離し、必要に応じて最後に市場全体を考える。
この方法によって、一つひとつのデータが何を示し、何を示していないのかを明確にすることを目指しています。
結論を先に決めず、データから観測する
ソロス・チャートを使う目的は、「円高になる」「円安になる」という結論をあらかじめ正当化することではありません。
モデルが自分の相場観と一致していても、一致していなくても、その結果をそのまま残します。
新しい月次データが入れば同じ計算を行い、同じ基準で比較し、結果を更新します。
仮説にデータを合わせるのではなく、データによって仮説を検証する。
これが、当サイトにおけるソロス・チャート研究の基本姿勢です。
データ取得・計算・検証の仕組み
ソロス・チャート月報は、中央銀行データを取得して、そのまま文章生成AIへ渡しているわけではありません。
当サイトでは、
データ取得 → 正規化 → 計算 → 検証 → 構造化 → 文章化 → 最終監修
という工程を分けています。
特に重要なのは、数値計算とデータ検証をLLMに任せないことです。
一次データと市場データを取得する
分析の出発点は、FED、BOJ、ECB、BOE、RBAなどが公表する中央銀行データです。
これにUSD/JPY、EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USDなどの為替市場データを組み合わせます。
取得したデータは、元の系列を可能な限り保持した状態で保存します。
これにより、後から計算方法やデータの接続方法を検証する必要が生じた場合でも、元データまでさかのぼることができます。
Pythonで月次系列へ正規化する
中央銀行によって、データの単位、頻度、更新方法、統計体系は異なります。
そこでPythonを使い、
月次への統一
単位の統一
系列の接続
対象月の整合
などを行います。
この工程で、5中央銀行のデータを同じ時間軸で比較できる状態へ整えます。
為替データについても同様に月次系列へ整理し、中央銀行データと同じ分析対象月にそろえます。
ソロス理論値と分析指標をPythonで計算する
正規化したデータから、各通貨ペアのソロス理論値を計算します。
基本式は、
QUOTE通貨のマネタリーベース ÷ BASE通貨のマネタリーベース
です。
さらに月報で使用する、
実勢値
ソロス理論値
水準差
実勢と理論の上下関係
前月からの水準差変化
実勢為替の前年比
ソロス理論値の前年比
各中央銀行マネタリーベースの前年比
などもPython側で計算します。
文章生成段階で、これらの数字をLLMに再計算させることは基本的にありません。
日付・欠損・重複・鮮度・異常値を検証する
取得できたデータが、そのまま分析に使用できるとは限りません。
そこで計算前後に、
日付が正しいか
必要な月が欠けていないか
重複データがないか
古い値が残っていないか
単位が正しいか
異常な値が混入していないか
を確認します。
中央銀行データだけが最新で、為替データが古いまま残っている場合なども、最新月として処理を進めません。
必要なデータがそろった共通月だけを分析対象とします。
クロスレートの整合性も確認する
複数通貨を扱う場合、個別の計算値だけでなく、通貨ペア同士の関係も重要です。
たとえば、
EUR/USD × USD/JPY ≒ EUR/JPY
という市場のクロス関係と同様に、マネタリーベース比率から作ったソロス理論値についても、同じ代数的関係が成立する必要があります。
当サイトでは、8通貨ペアを内部で計算することで、こうしたクロス関係に矛盾がないことも検証しています。
これは、単なる分析対象の拡張だけでなく、データ処理そのものの監査としても機能します。
検証済みデータをJSONに固定する
すべての計算と検証を通過した結果は、構造化されたJSONデータへまとめます。
このJSONには、その月の分析に必要な数値、方向判定、通貨ペアごとの役割、チャート情報などを格納します。
月報を文章化する際には、この検証済みJSONを唯一の数値根拠とします。
これによって、文章生成の途中で数字が変わったり、存在しない数値が補完されたりすることを防ぎます。
LLMは「計算」ではなく「文章化」を担当する
LLMは、検証済みデータを読み、人間が読みやすい月報へ変換するための文章化支援に使用します。
数値の再計算や、外部ニュース、金利、政治材料などを勝手に追加することはさせません。
Theme 02の月報では、あくまでマネタリーベース比率から確認できる事実だけを文章化します。
どの数値を見るか、どの通貨ペアを公開するか、どの表現を許可するかといった研究設計は、あらかじめ人間が定義します。
最終的な監修と文責は人間が担う
自動計算やLLMを利用していても、公開までを完全自動化しているわけではありません。
生成されたチャート、数値、文章について最終確認を行い、本サイトで公開する分析内容の最終的な監修および文責は上野ひでのりが負います。
AIを使う目的は、判断そのものを委ねることではなく、継続的なデータ処理と文章化の再現性を高めることです。
人間が研究設計を行い、Pythonが計算と検証を担い、LLMが文章化を支援し、最後に人間が確認する。
この役割分担を、上野ひでのり総研のResearch Theme共通の基本設計としています。
データ更新と月報の公開
ソロス・チャートは月次データを使用しますが、5つの中央銀行が同じ日に統計を公表するわけではありません。
そのため当サイトでは、「今月になったから前月分を作る」というカレンダー基準ではなく、分析に必要な中央銀行データと為替データがそろったことを確認してから月報を更新します。
新しいデータが入るたびに洗い替える
月報の更新では、前月の計算結果へ新しい数字を一行だけ追加するわけではありません。
新しい中央銀行データと為替データを取得した後、分析対象系列を更新し、必要な指標を再計算します。
ソロス理論値
前年比
水準差
前月からの水準差変化
12か月の変化方向
クロスレートの整合性
などを、その時点のデータを使って改めて確認します。
これにより、過去の処理結果を無条件に引き継ぐのではなく、毎月最新のデータセットを基準に分析を洗い替える運用としています。
中央銀行ごとに公表タイミングが異なる
FED、BOJ、ECB、BOE、RBAでは、統計の公表日や更新頻度が異なります。
ある中央銀行では最新月まで更新されていても、別の中央銀行ではまだ前月までしか公表されていないことがあります。
その状態で無理に最新月を計算すると、異なる時点のデータを比較することになります。
当サイトではこれを避けるため、必要なデータが共通してそろっている最新月を分析対象とします。
したがって、月報を公開した日と、チャートが分析している月が一致するとは限りません。
COVERAGE|何月のデータを分析しているのか
チャート上のCOVERAGEは、分析対象となっているデータの基準月を示します。
たとえば、
COVERAGE|2026年7月版
と表示されている場合、そのチャートで比較している中央銀行マネタリーベースと為替市場データは、2026年7月を基準としています。
月報を見る際には、まずこのCOVERAGEを確認することで、何月時点の市場構造を分析しているのかが分かります。
UPDATE DATE|チャートを生成した日
UPDATE DATEは、そのデータを使ってチャートや分析用データを更新した日です。
COVERAGEとは意味が異なります。
たとえば、
UPDATE DATE|2026.09.01
COVERAGE|2026年7月版
であれば、
「2026年7月までの必要データを使い、2026年9月1日に分析・チャート生成を行った」
という意味になります。
データの基準月と、分析を更新した日を分けて表示することで、どの時点の情報を使った分析なのかを明確にしています。
Webページの公開日・更新日は別の情報
WordPressの記事には、チャートとは別に公開日と更新日があります。
公開日は、その月報をWeb上で公開した日。
更新日は、公開後に文章、注記、レイアウトなどを修正した場合の最終更新日です。
したがって、
COVERAGE
=分析対象となるデータの基準月
UPDATE DATE
=チャート・分析データを生成した日
公開日
=月報をWeb上で公開した日
更新日
=Web記事を後から修正した日
という4つは、それぞれ意味が異なります。
この区別によって、後から過去の月報を読み返した場合でも、どの時点のデータを、いつ分析したレポートなのかを確認できます。
データがそろわなければ分析対象月を進めない
月報では、最新に見えることよりも時点の整合性を優先します。
必要な中央銀行データや為替データが更新されていない場合、古い値を新しい月のデータとして流用することはありません。
公開月報に必要な中央銀行データと為替データについて所定の確認が完了してから、COVERAGEを次の月へ進めます。
ソロス・チャートは長期的な構造を観測するための月次分析です。
そのため、数日早く公開することよりも、同じ条件で比較できるデータを継続して積み重ねることを優先しています。
ソロス・チャートを見る際の注意点
ソロス・チャートは、中央銀行マネーという一つの視点から為替市場を観測するためのモデルです。
シンプルだからこそ長期比較に向いていますが、同時に、このモデルだけでは説明できないことも明確です。
ソロス理論値は「適正価格」ではない
当サイトでは、マネタリーベース比率から計算したモデル値を「ソロス理論値」と呼んでいます。
ただし、これは為替の適正価格、均衡為替レート、本来あるべき価格を意味するものではありません。
実勢為替がソロス理論値より上にあっても「割高」、下にあっても「割安」とは判断しません。
中央銀行マネーだけから計算したモデル値として扱います。
実勢為替が理論値へ収束するとは限らない
実勢為替とソロス理論値の間に大きな水準差があっても、その差が将来縮小する保証はありません。
水準差がさらに拡大することもあれば、長期間大きく離れた状態が続くこともあります。
したがって、
「現在これだけ離れているから、いずれ理論値へ戻る」
という使い方はしません。
水準差は将来の到達価格を示すものではなく、現在の市場とモデルの位置関係を示しています。
マネタリーベースだけで為替は決まらない
為替市場には、金利、実質金利、物価、景気、資本移動、貿易、市場ポジション、リスク選好など、多くの要因が影響します。
ソロス・チャートは、それらをすべて説明するモデルではありません。
あえてマネタリーベースという一つの要因だけを取り出すことで、その相対関係を長期的に観測しています。
他の要因を含めないことは、このモデルの限界であると同時に、特徴でもあります。
通貨ペアによって関係は異なる
同じ計算式を使っても、実勢為替との関係は通貨ペアごとに異なります。
USD/JPY、EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USDについても、長期水準、変化方向、時期別の安定性にはそれぞれ違いがあります。
そのため、4ペアを同じ尺度で一律に評価することはしません。
通貨ペアごとの特性を踏まえて読むことが重要です。
GBP/USDは固定係数による水準調整後の系列
GBP/USDについては、生のマネタリーベース比率と実勢為替の表示水準が大きく異なるため、公開チャートでは固定係数による水準調整を行っています。
この係数は2006年5月から2026年7月までの期間で一度決定し、その後は固定します。
毎月の実勢為替へ合わせて再調整するものではありません。
したがってGBP/USDでは、絶対水準そのものよりも、長期的な変化方向や実勢為替との関係の変化を重視します。
過去の関係が将来も続くとは限らない
長期検証によって一定の関係が確認されたとしても、それが将来も同じ強さで続くとは限りません。
金融政策の枠組み、市場構造、中央銀行の制度、資本移動のあり方は時間とともに変化します。
そのため当サイトでは、過去の検証結果を固定的な法則として扱わず、新しいデータが加わるたびに同じ方法で継続観測することを重視しています。
ソロス・チャートは、将来を一つの数字で予測するための道具ではありません。
中央銀行マネーという長期的な視点から、為替市場の現在地を考えるための観測ツールとして利用します。
よくある質問
ソロス・チャートは、ジョージ・ソロス本人が考案したものですか?
当サイトで確認した範囲では、ジョージ・ソロス本人が「ソロス・チャート」という名称や現在広く使われている計算式を公式モデルとして公表した一次資料は確認できません。
むしろ、1990年代の円相場をめぐるソロスの発言や投資行動を背景に、日本の市場参加者がマネタリーベース比率と為替を比較するチャートへ後から彼の名前を付けた、と考えるのが自然です。
なぜ「ソロス」という名前が付いているのですか?
背景には、ジョージ・ソロスが円相場をグローバル・マクロの視点から捉えていたことがあります。
1996年には東京で“ミスター円”榊原英資氏と同じパネルに登壇し、円相場について議論しました。
その後、日本の市場参加者の間で、日米のマネタリーベースの相対量とUSD/JPYを比較するチャートが「ソロス・チャート」と呼ばれるようになったとみられます。
“ミスター円”榊原英資氏とは誰ですか?
“ミスター円”榊原英資氏は、1990年代に大蔵省で国際金融政策・為替政策の中心にいた人物です。
市場に対する発言の影響力が非常に大きかったことから、海外の市場関係者やメディアから“Mr. Yen(ミスター円)”と呼ばれるようになりました。
ソロスと“ミスター円”が実際に東京で円相場について語ったという事実は、ソロス・チャートの名称を考えるうえでも重要な背景です。
ソロス理論値は、ドル円の適正価格ですか?
いいえ。
当サイトでいうソロス理論値は、日米など二国間の中央銀行マネタリーベースの比率から計算したモデル値です。
適正価格、均衡為替レート、本来あるべき価格を示すものではありません。
実勢ドル円はいずれソロス理論値へ戻るのですか?
そのような前提は置いていません。
実勢為替とソロス理論値の水準差が縮小することもあれば、拡大することもあります。
当サイトでは、理論値への収束を前提とせず、実勢為替と中央銀行マネーから計算したモデル値の関係を継続的に観測します。
なぜUSD/JPYを最も重視するのですか?
ソロス・チャートは、日本市場では主に日米のマネタリーベース比率とUSD/JPYを比較するチャートとして広まりました。
ソロスと円相場の歴史的な関係、長期検証結果、モデルの利用実績を考えても、USD/JPYがこの研究の中核です。
EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USDは、同じ考え方を他の通貨ペアへ拡張し、長期検証した結果公開対象に加えた派生系列です。
なぜUSD/JPYではBOJをFEDで割るのですか?
USD/JPYでは、
BASE通貨=USD
QUOTE通貨=JPY
だからです。
当サイトでは、
QUOTE通貨のマネタリーベース ÷ BASE通貨のマネタリーベース
という共通式を使用しています。
したがってUSD/JPYでは、
BOJのマネタリーベース ÷ FEDのマネタリーベース
となります。
なぜ8通貨ペアすべてを公開しないのですか?
数式として計算できることと、実際の為替分析に利用できることは別だからです。
当サイトでは5中央銀行から8通貨ペアを内部で計算し、2006年5月以降の長期データを使って実勢為替との関係を検証しました。
その結果、現在はUSD/JPY、EUR/USD、EUR/JPY、GBP/USDの4ペアを月次公開しています。
公開していない4ペアも、データ監査、クロス整合性確認、追加研究のために継続して計算しています。
なぜGBP/USDだけ水準調整するのですか?
GBP/USDでは、生のマネタリーベース比率と実勢為替の表示水準が大きく異なるためです。
そのままでは長期的な変化を同じチャート上で比較しにくいため、2006年5月から2026年7月までのデータから一度だけ固定係数を算出し、表示用系列に適用しています。
この係数は毎月の実勢為替に合わせて再計算しません。
水準だけを固定的に調整するため、系列の形や変化率は変わりません。
「水準差1.5倍」とは何を意味しますか?
実勢値とソロス理論値のうち、
大きい方 ÷ 小さい方 = 1.5
という意味です。
水準差は常に1倍以上で表示します。
ただし、実勢値と理論値のどちらが上なのかは倍率だけでは分からないため、月報では、
実勢 > 理論
または、
実勢 < 理論
という位置関係もあわせて表示します。
ソロス・チャートだけで為替を予測できますか?
ソロス・チャートは、将来の為替レートを機械的に予測するモデルとして使用していません。
為替市場には、金利、実質金利、物価、景気、資本移動、市場ポジションなど多くの要因が影響します。
当サイトでは、ソロス・チャートを中央銀行マネーという一つの観測軸として利用します。
月報はいつ更新されますか?
固定した日に必ず更新する方式ではありません。
公開月報に必要な中央銀行データと為替データが共通してそろったことを確認してから更新します。
そのため、最新のカレンダー月とCOVERAGEが一致しない場合があります。
COVERAGEとUPDATE DATEは何が違うのですか?
COVERAGEは、分析対象となっているデータの基準月です。
UPDATE DATEは、そのデータを使ってチャートや分析用データを生成した日です。
さらにWordPressには、記事そのものの公開日と更新日があります。
それぞれ意味を分けて表示することで、どの時点のデータを、いつ分析したレポートなのかを確認できるようにしています。
