【サヤ取りの応用】NT倍率・コモディティ・株式ロングショート

個別株式の「両外しサヤ取り」から発展して、「AUD/NZD」というFXのサヤ取りまで紹介しましたが、有意に相関係数が高い銘柄間であれば、その他の金融商品においても売買両建てのサヤ取りが可能であるという話をします。

「有意に相関係数が高い」とは、有料のスクリーニングツールで相関係数が+0.9以上であったとしても、その時期たまたま偶然に相関が高まったようなケースは排除するということです。高い相関係数が継続するようなファンダメンタルズに支えられているのが条件と言えます。
個別株のサヤ取りで同業種を選ぶこと、経済的に相互補完関係にある豪州とNZの通貨を対象とすることなどがファンダメンタル的な銘柄選択となります。

NT倍率のサヤ取り


NT倍率とは、日経225(日経平均株価)をTOPIX(東証株価指数)で割ったものです。
どちらも日本を代表とする株価指数ですが、対象銘柄や計算方法が異なります。前者は日本経済新聞社が選定した225銘柄でファーストリテイリング、ソフトバンクグループなどの特定銘柄の影響を受けやすく、後者のほうはもっと幅広い銘柄で指数化して網羅性が高い特徴があります。

相関係数は+0.9を超え常に高値であるものの、この20年間チャートをご覧いただければ分かる通り、年々倍率は上昇しています。したがって、押し目が入ったところで拡大狙いを仕掛けるのが基本戦略となります
また、年々変動率が上昇しているので、「上野式サヤ取り」的には標準偏差(σ)が大きくなり、サヤ取りの値幅(リターン)の期待値が上昇しています。日足ベースでボリンジャーバンドを表示すれば、拡大狙い(TOPIX売り-日経225買い)のチャンスであることが分かります。

株価指数の売買については、先物、CFD、ETFで行う方法など様々ありますが、個別株式の両外しサヤ取りと全く同じ方法でできるETFで行うのがおすすめです
詳細については、下記のページを参照してください。
株式サヤ取り(鞘取り)の応用。NT倍率取引の実例と収益

コモディティ(商品先物)のサヤ取り


サヤ取りは300年の歴史があります。ユダヤ系ドイツ人のロスチャイルド家は、18~19世紀の昔より銅山を経営しており、銅の現物価格の変動リスクをヘッジするために、銅の先物市場で、先物を売って早めに利益を確定していました。現物と先物間のサヤ取りです。

私が2005年に「両外しサヤ取り」デビューで対象としたのは、東京トウモロコシ、東京大豆、東京アラビカコーヒー、東京ロブスタコーヒーなど穀物系の商品先物でした。米国産地のお天気相場的なところもあり、需給関係のファンダメンタルな観点を加えてサヤ取りを行いました。
「東京トウモロコシ-東京大豆」のような銘柄間サヤ取りだけでなく、「東京トウモロコシ6番限-3番限」などの限月間サヤ取りの優位性が高かったです。

私は、日本の商品先物のサヤ取りで大きな資産を築き、投資助言業としての独立にもつながる訳ですが、商品先物業界の乱暴な営業スタイルが社会問題化し飛び込み営業ができなくなった影響から業界が縮小し、マーケット自体が消滅してしまいました。私は外務員とは一切話をせず、完全オンライントレードだったので最高の環境でしたが、理想的なサヤ取りマーケットがなくなったことはとても残念です

穀物系は全滅しましたが、石油・貴金属・ゴムなどの工業系の商品先物は産業界での利用もあり、取引高は減少したものの、いまだ健在です。
具体的な商品先物のサヤ取りの手法については下記のページを参照してください。
商品先物の限月間サヤ取りと石油のクラック・スプレッド

上野式株式ロングショート


個別株の「両外しサヤ取り」について、相関係数の高さでバインドされた5ペアを同時に仕掛けて、同時に手仕舞いするという「上野式株式ロングショート」という手法をオリジナル開発し、投資助言業として毎週具体的な仕掛けの提案を行っていました。

画像は2019月4月1日(月)~4月5日(金)の5営業日の運用実績表になりますが、要点をまとめると下記の通りです。
トレードルールは、月曜日の始値で仕掛ける(寄付き成行注文)、金曜日の終値で手仕舞いする(大引け成行注文)です。
5ペアなので、空売り5銘柄、買い5銘柄、10銘柄全て同時に約定させます。

結果、5ペアとも全てプラスになっており4.66%の運用益です。ただし、「両外しサヤ取り」は売買両建てのため投資総額に対しては2.33%の利益率です。
100万円×10銘柄=1,000万円の仕掛けの場合、233,000円の利益です。
この週は特別成績が良かった訳ではなく、平均的な結果でした。

詳細については、下記のページを参照してください。
ヘッジファンド手法【株式ロングショート】個人でも再現可能【サヤ取り】応用編

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SBI証券と楽天証券は、2023年9月30日と10月1日から、それぞれ日本株の売買手数料を無料にすると発表しました。
大手証券会社で外務員を通した支店取引の場合、片道1%(税別)の手数料が相場でしたが、ネット証券はついに無料時代に突入しました。隔世の感がありますね。

株式は外務員からすすめられて買うものではなく、自身の判断のみで能動的に取り組む投資対象になりました。
それに相応しい投資手法として、「上野式サヤ取り」をぜひ習得してください。

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