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3月16日(水)のFOMCで0.25%の利上げを示唆
異例の0.25%指値
3月2日(水)24時(日本時間)から、パウエルFRB議長は、下院の金融サービス委員会で、半期に一度の議会証言を行った。
2月10日(木)に発表された1月分の消費者物価指数(CPI)が、40年ぶりの高水準(前年同月比+7.5%)になり、インフレ率の高進が止まらない状況の中、3月16日(水)27時(日本時間)に発表されるFOMCの金融政策発表を迎える。
3月10日(木)に2月分のCPI発表になるが、その結果に関わらず、0.25%を指値するという異例の対応なった。
5日(土)からブラックアウト期間入りし、FOMC関係者の金融政策に関する発言が禁止されることから、その前の最後の機会として議会証言が注目された。
初回0.50%の大幅利上げの可能性を否定
パウエル議長は質疑応答で、次回のFOMC会合について「25bp(0.25%)の利上げを提案し、支持する方向に傾いている」と発言し、利上げ開始の初回0.50%という大幅利上げの可能性を否定した。
これにより、金利先物市場における0.50%の利上げ織り込みは先週の24.0%から0%となった。
不透明感一掃で株価上昇、米国債利回り上昇(債券売り)
初回に0.50%の大幅利上げの議論は、1月分のCPIが発表された直後のブラード・セントルイス連銀総裁発言(7/1までに1.00%までの利上げ、初回は0.50%が望ましい)から始まっている。
その後、金融先物市場では、6割以上が初回0.50%を織り込む流れとなり、米国金利が軒並み上昇、金利の上昇に敏感なナスダックを中心に株式相場が急落となった。
予想外のウクライナ開戦で0.50%の大幅利上げ観測が急速に後退する中、パウエル議長から0.25%の言質が取れたことで、不透明感払拭で米国株主要3指数は揃って大幅反発となった。
ウクライナ情勢悪化のリスクオフで米国債利回り下落(安全資産の債券買い)となっていたが、一転して急反発となった。
インフレ率高止まりなら、0.50%の利上げを複数回行う可能性を示唆
パウエル議長は、「インフレ率が高止まり、過度に進行した場合には、1回もしくは複数回の会合にわたり0.50%の利上げを行い、積極的に対応する」と発言した。
10日(木)の消費者物価指数の予想値は+7.3%
前回の+7.5%から低下予想
金融関連各社の事前予想はまだ出揃っておらず、まだコンセンサスではないが、Investing.com(インベスティング・ドットコム)では前年同月比+7.3%と予想している。
大幅な上振れの場合どうなるか?
筆者の個人的な見解であるが、1月の生産者物価指数(PPI)の高止まりの状況もあり、2月のCPIは前回の+7.5%を上回る可能性が高いと考えている。
下振れや前回と同程度予想が、大幅に上振れした場合には、次回5月4日以降、今年6回残る会合での複数回0.50%の大幅利上げを覚悟しなければならないだろう。
発表された瞬間に米国債利回りが急上昇、連れて大幅なドル高が進行する可能性が高いと考える。
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パウエル発言による為替相場への影響はまだら模様
米国債利回り急上昇もドル高とはならず
ドル円のみ上昇したが、他のドルストレートは、概ねドル安方向に傾いている。
ドル円
株価上昇リスクオンによる円安と米国債利回り上昇によるドル高で上昇となったが、115.500~750レベルでの保ち合いが続きそうで、116円台乗せは難しそうである。
ユーロドル
ウクライナ情勢の悪化による債券買いで再びマイナス圏に沈んだドイツ債利回りも、米国債利回りの上昇に連れ高し、ユーロドルは年初来安値1.10575から急反発となった。
ウクライナ情勢に左右される展開が続くが、今回の戻りは絶好の売り場の可能性が高い。
ポンドドル
ドイツ債利回りより英国債利回りの急反発が勝り、ドルに対しては強含む展開で急反発、前日から続く下落トレンドから一気に反転した。
豪ドル米ドル
豪州債利回りも米国債利回りに連れ高し、豪ドル米ドルは上昇トレンドを維持。
ドルカナダ
カナダ債利回りも反発、かつ原油高により、ドルカナダは大幅下落(カナダドル急騰)となった。
【結論】パウエル発言はリスクオフ緩和効果があった
米国以外の債券利回りは連れ高(リスクオンの債券売り)
インフレ率が高止まりすれば、大幅利上げも辞さずというところが本来の主旨と思うが、目先の初回利上げが0.25%と指値してくれた安ど感から、ウクライナ情勢の悪化によるリスクオフムードが晴れた効果はあった。
しかし、賞味期限は短く、再びリスクオフ(株安、ドル高、円高)に傾く可能性は高いだろう。
10日(木)のCPIでインフレ率のさらなる高進が確認された場合には、米国債利回りが急騰、株価急反落の可能性が高い。