【2024年度版】FRBボードメンバー・FOMC利下げ予測と声明文・経済見通し・議事録まとめ



2023年の2月、3月、5月、7月の会合で0.25%の利上げ(6月は現状維持)を行い、政策金利は5.25-5.50%に達しました。その後は、9月、11月、12月、2024年1月、3月の5会合連続で利上げを見送り、現状の5.25-5.50%がターミナルレート(利上げの最終到達点)になることが確実です。
2024年3月20日会合での四半期に一度の「経済見通し」の政策金利ドットチャートの中央値で、2024年末の予想4.6%(3回利下げ)を維持し、2回に減少するとの市場の不安を打ち消しました。
足元の金利動向はトレードを行う上で最大のリスクになりますので、最新情報を確実に押さえておきましょう。

2022年~2023年のFOMCでの金融引き締め実績と2024年の緩和見通し

政策金利(FF金利)利上げ実績と今後の見通し

2024年3月20日のFOMC結果発表直後

  1. 2022年 3月(0.25%済)、5月(0.50%済)、6月(0.75%済)、7月(0.75%済)、9月(0.75%済)、11月(0.75%済)、12月(0.50%済)
  2. 2023年 2月(0.25%済)、3月(0.25%済)、5月(0.25%済)、6月(現状維持)、7月(0.25%済)、9月(現状維持)、11月(現状維持)、12月(現状維持)・・・現在の政策金利5.25-5.50%(ターミナルレート)
  3. 2024年 1月(現状維持)、3月(現状維持)・・・6月12日の会合から利下げを開始。年内0.25%の利下げ3回で、政策金利4.50-4.75%に達する見込み
2024年3月20日発表の「経済見通し」のドットチャートが示す2024年末の政策金利は4.6%で、前回2023年12月から据え置きでした。0.25%の利下げを3回(0.75%)行うという意味です。
一方、CME FedWatch Toolでも年内3回の利下げを織り込んでおり整合的です。

記者会見したパウエルFRB議長は、直近の物価指標(CPIおよびPPI)の上振れに関してはあまり心配していない様子で、雇用環境のほうを重視する姿勢を見せています。

過去30年で3回あった利上げ局面では、最後の利上げから平均8.8か月で利下げに転じていますが、2024年6月12日会合での利下げとなれば、2023年7月26日から11か月弱ということになり、前例と比して整合的と言えるでしょう。

これを受け、CME FedWatch Toolでは、2024年6月12日会合からの利下げ開始確率は70.8%(パウエル議長記者会見終了時点)まで上昇、年内3回利下げ開始を織り込んでいます
リアルタイムの市場の織り込み度合については、下記のサイトで確認してください。
参考 CME FedWatch ToolCME Group

量的引き締め(QT)について

  • 2022年6月から月間475億ドルのQT開始、同年9月にはフルサイズの月間950億ドル(米国債600億ドル・住宅ローン担保証券350億ドル)のQTまで拡大
  • 以後、フルサイズの月間950億ドルのQTを継続中
月間600億ドルの米国債の持ち高を減らし「債券価格の下落=利回り上昇」を招いています。つまり政策金利(短期金利)および債券利回り(長期金利)の両面で高金利を続けていることになります。
FRBのバランスシート縮小のペースは非常に速く、米国の財政悪化の一因になっています。

QT開始前に9兆ドル弱だったFRBの総資産は1年半で1.3兆ドル減少しました。前回(2017年10月〜2019年7月)の2倍近いペースで進めており、ダラス連銀のローガン総裁は2024年1月6日の講演で圧縮ペースの減速に言及しました。
しかし、パウエル議長は記者会見で「より確かな自信を得るまで」QTの規模を継続すると述べるとともに、継続議論することを明言しました。

FOMCでの投票権の有無とタカ派・ハト派スタンスの違い

FRBのボードメンバー

FRB執行部(7名)

役職氏名投票権スタンス
議長ジェローム・パウエルあり
副議長(金融政策)フィリップ・ジェファーソンあり
副議長(銀行監督)マイケル・バーあり
理事ミシェル・ボウマンありタカ派
理事クリストファー・ウォラーありタカ派
理事リサ・クックあり
理事アドリアナ・クーグラーあり

12地区連銀総裁

地区名氏名2024年投票権スタンス
ニューヨークジョン・ウィリアムズあり(常任)
ボストンスーザン・コリンズ
フィラデルフィアパトリック・ハーカー
クリーブランドロレッタ・メスターあり
リッチモンドトーマス・バーキンありタカ派
アトランタラファエル・ボスティックあり
シカゴオースタン・グールズビーハト派
セントルイスキャサリン・パーゼ(暫定)
ミネアポリスニール・カシュカリタカ派
カンザスシティエスター・ジョージ
ダラスローリー・ローガン
サンフランシスコメアリー・デイリーあり

FOMCの投票権を持つのは、議長1名・副議長2名・理事4名(FRB執行部7名)と常任のNY連銀総裁・輪番の4連銀総裁(5連銀総裁)で、計12名となります。
2023年9月13日にジェファーソン理事が副議長に、空席の理事にクーグラー氏が新たに就任しました。

2022年~2024年FOMC開催スケジュール

スケジュールと発表内容(声明文・経済見通し・議事録)まとめ

2022年日程声明文経済見通し議事録
1月25日~26日原文 和訳原文
3月15日~16日原文 和訳原文原文
5月3日~4日原文 和訳原文
6月14日~15日原文 和訳原文原文
7月26日~27日原文 和訳原文
9月20日~21日原文 和訳原文原文
11月1日~2日原文 和訳原文
12月13日~14日原文 和訳原文原文
2023年日程声明文経済見通し議事録
1月31日~2月1日原文 和訳原文
3月21日~22日原文 和訳原文原文
5月2日~3日原文 和訳原文
6月13日~14日原文 和訳原文原文
7月25日~26日原文 和訳原文
9月19日~20日原文 和訳原文原文
10月31日~11月1日原文 和訳原文
12月12日~13日原文 和訳原文原文
2024年日程声明文経済見通し議事録
1月30日~31日原文 和訳原文
3月19日~20日原文 和訳原文原文
4月30日~5月1日原文 和訳原文
6月11日~12日原文 和訳原文原文
7月30日~31日原文 和訳原文
9月17日~18日原文 和訳原文原文
11月6日~7日原文 和訳原文
12月17日~18日原文 和訳原文原文

FRBは米国の中央銀行の最高意思決定機関

FRBとは、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)の略で、米国の中央銀行にあたるFRS(Federal Reserve System)の最高意思決定機関です。

デュアル・マンデート(2大責務)とは?

FRBの責務は「雇用の最大化」と「物価の安定」であり、これを「デュアル・マンデート(Dual Mandate)」といいます。
FRBのデュアル・マンデート(2大責務)とFOMCで決定される金融政策の関係【基礎編】