目次
本日のテーマ
昨日の金融市場は、まさに
「米国による圧倒的なメディア・コントロールと心理戦」のオンパレードでした。
足元のドル円は157円台後半から158円手前で揉み合っており、
一部の市場参加者は、
「介入の急落は一巡した。絶好の押し目買いのチャンスだ」と高を括り、
再び戻りを試そうとする動きを見せています。
しかし、米国当局が投機筋に敷いた「包囲網」は、
ここに来てさらに一段ギアを上げています。
本日は、メディアを通じて一斉に発信された米国の「3つの本音」と、
そこに仕掛けられた高度な心理戦をクオンツの視点で解き明かします。
上野ひでのり本日の視点
1.仕組まれた「To Doリスト」とベッセントの心理戦
今回、最も象徴的だったのは、
ベッセント米財務長官のCNBCインタビューでの一幕です。
同長官は、記者の肩越しから見えるメモ帳にわざと
「Buy Japanese Yen (JPY) $5-10 bil.(日本円を購入、50億-100億ドル)」
と記した「To Doリスト」をさらし、
後から「記者に通貨コードを教えたかっただけだ」とはぐらかしました。
これは単なる失言や偶然ではありません。
かつてジョージ・ソロスと共に英ポンド危機を仕掛けた
「元ヘッジファンドマネージャー」であるベッセント氏が、
アルゴリズムと投機筋を疑心暗鬼に陥れるために放った、
極めて高度で意図的なブラフ(心理戦)です。
「必要なことは何でも行う」という言葉とともに、
いつでも実弾を撃ち込めるという恐怖を市場に植え付けることに成功しています。
2.協調介入の裏に透ける米国の「3つの本音」
さらに昨日、ガイトナーやポールソンといった歴代の米財務長官が
相次いでメディアに登場し、
米国が異例の介入支援に踏み切った「冷徹な本音」を完全に暴露しました。
(1)米国債の投げ売り阻止(自己防衛)
昨日のメルマガで私が指摘した「FIMAレポの活用」について、
ベッセント氏自身が「米経済を守るため」と明言しました。
さらにポールソン元長官は、
「今の時期に日本に米国債を売却してもらうわけにはいかない」と発言。
日米協調は決して友情などではなく、
「日本の介入資金捻出による米国債の暴落と、米長期金利の暴騰を防ぐ」という、
米国のシビアな自己防衛であることが確定しました。
(2)アジア通貨危機ドミノの遮断
ベッセント氏は日経新聞に対し、
円安が韓国ウォンや人民元などアジア全域の通貨安を招くリスクに、
強い懸念を示しました。
1990年代のアジア通貨危機の惨状を当事者として知る同氏にとって、
「日本売りの放置」が世界的な金融危機へ連鎖するシステミック・リスクの芽を、
今のうちに摘み取っておく必要があったのです。
(3)高市政権・日銀への「対価」の要求
米国が自らユーロ円で介入し、FIMAレポの枠を広げてまで日本を助けた以上、
当然ながら強烈な「見返り」が要求されます。
米高官は高市政権の消費減税路線に対し、
「インフレ引き下げの努力を選ぶべき」と露骨に苦言を呈し、
ガイトナー元長官も「介入は政策と一致してこそ効果を発揮する」
と釘を刺しました。
つまり、
「我々が介入で時間を稼いでやったのだから、高市政権は財政バラマキをやめ、
日銀はさっさと利上げを進めろ」という強烈な外圧がかけられている構図です。
3.実践的戦略:200日線(158円)攻防と戻り売りの優位性
現在、ドル円相場はテクニカル上の超重要ポイントである
「200日移動平均線(158円ちょうど付近)」を巡る攻防の真っ只中にあります。
ファンダメンタルズ(日米金利差)だけを見れば、
ドル円は底堅く推移するはずです。
しかし、米当局は、
「ドル売り介入も排除しない」「G7への枠組み拡大」までちらつかせ、
160円を「鉄の天井」として徹底抗戦する構えを崩していません。
4.【結論】ベッセントに立ち向かっても勝ち目は薄い
「介入は終わった」と安易な押し目買い(ロング)に向かうのは…
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