市場・日本政府・日銀を完全包囲する「ベッセントの圧力」

本日のテーマ

昨日のNY市場から本日の東京タイム前場にかけて、
ドル円は157円台での膠着状態が続いています。

一時164円寸前まで暴騰した相場を完全に157円台に張り付け、
200日移動平均線(158円ちょうど付近)を重くしている現状を見れば、
日米通貨当局の「160円を鉄の天井にする」という作戦は、
現時点において成功していると評価すべきです。

しかし、市場には特有の正常性バイアスが働き、
「過去の例を見ても、単発の介入効果はどうせ一時的だ」
「絶好の押し目買いのチャンスだ」といった楽観論が漂い始めています。

本日は、このステレオタイプな経験則を打ち破る「マクロの力学」と、
ベッセント米財務長官が投機筋だけでなく、
日本の政府・日銀に対しても強烈な包囲網を敷いているという
状況を解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.ステレオタイプな誤解:過去の介入とは「異質」である理由

市場参加者の多くは、
今回の急落を「過去の日本単独介入」と同じ延長線上で捉えています。
しかし、それは誤りだと考えます。

今回の介入は、日本の防衛戦ではなく、
「米国の国益(米国債市場の保護)」を賭けた
ベッセント米財務長官主導の防衛戦だからです。

海外の有力コラムでも指摘されている通り、
米国にとっての真の恐怖は、
日本の介入資金捻出による「米国債の投げ売り」です。

トランプ政権にとって、中間選挙を控え、中東情勢の緊張が続く中で、
「米10年債利回り5%突破」は絶対に許容できない悪夢(レッドライン)です。

日本に米国債を投げ売りされて自国の金利が暴騰するくらいなら、
米国自らがドルを供給し、徹底的に円安を叩き潰す。
今回の介入の裏には、
そうした強烈な「米国の自己防衛の動機」が存在していると考えられます。

2.市場、そして「政府・日銀」を完全包囲する米国の圧力

そして、このベッセント長官からの強烈な圧力は、
投機筋に対してのみ向けられているわけではありません。
霞が関(政府)と本石町(日銀)もまた、完全に包囲されています。

国内債券市場に目を向けると、
日銀の「9月利上げ確率」がOIS市場等で57%まで上昇し、
日銀がインフレ対応に後れを取る懸念(ビハインド・ザ・カーブ)が
一時的に和らいでいます。

しかしその一方で、
高市政権は「財源なき消費税1%への減税」を閣議決定しました。
これは財政悪化懸念という強烈な長期金利上昇圧力を生み、
日本国債のボラティリティを極端に高めています。

米国からのメッセージは極めて冷酷かつ明白です。
「我々が米国債の枠を広げ、自らユーロ円を売って時間を稼いでやったのだから、
日銀はさっさと利上げを進め、高市政権は財政を悪化させるバラマキを控えろ」
という突き上げです。

日米協調という美しい言葉の裏で、
日本は金融政策と財政政策の両面において、
米国から強烈に首根っこを掴まれているのが実態と言えるでしょう。

3.明日の「米雇用統計」に向けた実践的戦術

明日7日(金)には、米金融政策の行方を左右する
7月米雇用統計の発表を控えており、
本日は様子見ムードから動意に欠ける展開が予想されます。

仮に明日の雇用統計が予想以上に強く、
アルゴリズムの買い戻しによって一時的に200日線(158円ちょうど)を
上抜ける場面があったとしましょう。

投機筋はそこで「やはり円安トレンド回帰だ」と飛び乗るかもしれません。
しかし、160円台への本格的な上昇は、
自国の金利暴騰を恐れる米国が許さないでしょう。

4.【結論】まだゲームは継続中で要警戒

オプション市場でも上下の警戒感が…

この続きは、有料メルマガでお読みください。
「上野ひでのり本日の視点」の続き、「相場概況」「本日のおすすめトレード」の記事が掲載されています。