【タカ派FOMCの余波続く】全面ドル高のボラティリティ・ブレイクアウト発生

本日のテーマ

足元の為替市場では、
各国の金融政策スタンスの明確なコントラストを背景に、
「全面ドル高」の波が市場を席巻しています。

ユーロドルはついに1.14の防衛線を割り込んで年初来安値を更新し、
ポンドドルも1.32割れへと下値模索を続けています。

ドルインデックス(DXY)は、
2025年5月以来となる101.587という歴史的高値圏へと再浮上しました。

しかし、この強烈なドル高の裏で、
金利市場の織り込みと実体経済(原油安)の間に、
極めて不自然な「マクロの歪み」が拡大しつつあります。

今回は、足元で起きている通貨ごとのディストーション(歪み)と、
強すぎるドル相場が迎えるであろう「次なる局面」について解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.ECBのハト派転換と、DXY(ドル指数)急騰のカラクリ

現在起きているドル全面高の主因は、
米国の強さというよりも「欧州の弱さ(ハト派転換)」にあります。

イラン情勢の落ち着きに伴う原油相場の急落を受け、
ECBのラガルド総裁は、
「イラン紛争への強い追加対応を取る必要はない」と明言しました。

これにより欧州の追加利上げ期待は急速に後退。

先週のFOMCでタカ派シフトを見せたFRBとの
「中央銀行のスタンスの差」が鮮明になり、
ユーロドルを1.14割れへと引きずり下ろしたのです。

早期に1.14台を回復できなければ、
1.10を目指す真空地帯への転落も警戒されるフェーズに入りました。

2.「ベッセントの蓋」が生み出した、いびつな円最強相場

極めて興味深いのは、昨日の通貨強弱です。
強い順に
円>ドル>スイスフラン>ポンド>カナダドル>ユーロ>NZドル>豪ドル
という序列になりました。

全面ドル高の環境下で、なぜ「円が最強」だったのか?
答えは明確です。

日銀の政策云々ではなく、
ベッセント米財務長官によってドル円の上値(162円)に
「人為的な強固な蓋」をされたからです。

昨日のドル円はロンドンタイム入り直後に
強い売り圧力で急落する場面もありましたが、
下値では押し目買いが入り、結果的に161円台半ばでの振幅に終始しました。

他通貨がドルに対して総崩れする中、
ドル円だけが、
「上値はベッセントの神通力で叩かれ、下値は日米金利差で支えられる」
という膠着状態に陥った結果、相対的な計算式として
「円が最強」といういびつなデータが弾き出されたのです。

3.「WTI原油急落 vs タカ派FOMC」。タカ派の幻影と賞味期限

市場の最大の矛盾(歪み)は、
インフレの源泉と金利予測のズレにあります。

「ホルムズ海峡封鎖」のヘッドラインがメディアから消え去った現在、
WTI原油先物は72.07ドルまで急落しました。

不測の事態がなければ、70ドル割れも時間の問題です。
原油高によるインフレ圧力が明確に解消へ向かっているにもかかわらず、
市場は未だにFOMCの「タカ派な印象」に過度に引きずられています。

FedWatch Toolのデータは異常とも言える水準です。

9月16日会合での利上げを70.5%織り込み、年内利上げ確率は実に85.7%。
さらに2027年前半の追加利上げまでをも織り込んでいます。

ウォーシュ新議長がどうであれ、
他の18人の委員が「過去の高インフレのトラウマ」に怯えていることは事実です。

しかし、原油価格が今後70ドルを割るような実体経済において、
本当に9月利上げなどあり得るのでしょうか。

私は、この強すぎるドル相場が調整局面(ドル安)に入るタイミングは、
市場の想定よりもずっと早いのではないかと睨んでいます。

4.足元の防衛線:AUD/USDとGOLDのボラティリティ・ブレイク

とは言え、クオンツとして戦う上で
「足元の現実(価格のブレイク)」に逆らうことは…

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