【イラン和平・日銀利上げ・新FRB】来週のマクロ3本柱を解剖する

本日のテーマ

今週の為替相場は、
週末にかけてもドル円が160円台での底堅い推移を維持しました。

米国とイランの紛争終結に向けた合意への期待が最高潮に達する中、
為替市場は嵐の前の静けさのような様子見ムードを続けています。

しかし、来週の相場環境は、これまでの膠着状態を完全に吹き飛ばす、
「歴史的な1週間」になるでしょう。

市場を動かす巨大な地殻変動は、
1.イラン情勢
2.日銀金融政策決定会合
3.FOMC(米連邦公開市場委員会)
の3本柱から一斉に押し寄せてくるからです。

今回は、最新の一次情報とクオンツデータに基づき、
来週の相場を深く読み解いていきます。

上野ひでのり本日の視点

【イラン情勢】和平調印が秒読み、それでもドルが下がらない「深層」

中東情勢は、いよいよ最終調整の段階に入りました。

米政府高官は12日(金)、
イランとの戦闘終結に向けた合意文書に調印する可能性について
「確率は85%程度」と明言しました。
早ければ14日(日)にもスイス・ジュネーブで覚書(MoU)
の署名式が行われるとの報道も飛び交っています。

この和平合意への期待を先んじて織り込み、
WTI原油先物は、終値で84.28ドル(一時83ドル台)まで急落しました。
封鎖されていたホルムズ海峡の即時開放への目途が立ちつつある以上、
原油安の流れは当然の帰結です。

しかし、ここで注目すべきは為替市場の反応です。
ドル円は一時160円を割り込む場面があったものの、
すぐさま強烈な押し目買いに支えられました。

世界のドル全体の強さを示すドル指数(DXY)の終値は99.806と、
原油安の環境下でも不気味な高止まりを続けています。

「中東が和平に向かえば原油が下がり、円高・ドル安になる」
という単純な理論は、現在のマクロ環境では通用しません。

イラン側がホルムズ海峡での「サービス料(手数料)」の徴収を主張するなど、
実際の合意履行にはまだ不透明感が残る上、
市場の関心はすでに「原油」から、
来週の「日米中銀の金利決戦」へと完全にシフトしているからです。

【日銀会合】利上げ確率98%と、内田副総裁が挑む「1.00%の壁」

来週16日(火)、いよいよ日銀の金融政策決定会合が開催されます。
東短リサーチのデータによると、日銀の利上げ確率は98%と、
市場は今回の追加利上げをほぼ100%織り込んでいます。

肝嚢胞感染症で入院した植田総裁は欠席となる異例の事態ですが、
政策金利が現在の0.75%から「1.00%」へと引き上げられることは
確実視されています。

最大の注目は、代理で記者会見の初陣に臨む内田真一副総裁の発言内容です。
植田総裁の煮え切らない質疑応答とは異なり、
海外メディアからも「ミスター日銀」として畏怖される
内田氏の歯切れのよいロジックとコメント力は、
市場の投機的な円売りを牽制する強い効果(円安防止効果)があると想定されます。

内田氏が「今後の連続利上げ」の可能性にどこまで踏み込むかが焦点です。

しかし、たとえ政策金利が1.00%になったとしても、
それで円安トレンドが完全に終わるわけではありません。

シカゴ投機筋のIMMポジションを見ると、日本円の売り越し残高は14.58万枚と、
介入が行われた2024年7月のピーク(18.42万枚)に迫る歴史的な高水準にあります。

ヘッジファンドたちは、
日銀が0.25%利上げした程度では
「円キャリー取引の優位性はビクともしない」と冷徹に計算し、
円ショートを大量に抱えたまま不敵に構えているのです。

【FOMC】現状維持の裏でうごめく「年内利上げ確率59.4%」の衝撃

日銀会合の翌17日(水)には、
ケビン・ウォーシュ新議長率いるFOMCの結果が公表されます。

今回の会合での政策金利の現状維持(3.5~3.75%)は確実視されていますが、
主戦場は、同時に公表される経済見通し(SEP)の「ドットチャート(金利見通し)」と、
ウォーシュ新議長の初の記者会見です。

先週の完璧な米雇用統計(NFP17.2万人)を受け、
FedWatch ToolによるFOMCでの年内利上げ確率は59.4%まで上昇しています。
世界の市場は「利下げ」の可能性を完全に消し去り、
むしろ「追加利上げ」の恐怖と戦い始めています。

新議長がこの底堅い米労働市場とインフレの現実に対して、
どのようなタカ派姿勢を強調してくるか。

FRBが3.75%以上の高金利を維持、あるいはさらに引き上げる姿勢を見せるのであれば、
日銀が1.00%に上げたところで日米金利差の絶対値は埋まりません。

来週のドル円相場の行方

来週のドル円相場は…

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