【上野式サヤ取り】確率論に基づいた優位性とは?

前回の【サルでも分かる】サヤ取りの基礎中の基礎で、サヤ取りのユニークな考え方を理解していただけたと思います。
2銘柄ペアを同時に「空売り-買い」で仕掛けて、同時に手仕舞いすることから、この手法を「両外しサヤ取り」と呼びます。

「両外しサヤ取り」の要点を再確認しよう


前回の図解を再掲します。
図解中にも明記している通り、「相関係数が高い2銘柄間」で行うことが絶対条件です。相関係数が高いことで、「銘柄B-銘柄A」の乖離幅(サヤ)が一定のレンジに収まる期待値が高くなります。「サヤチャート」の値動きを参考にしてください。

しかし、サヤの「一定のレンジ」について、前回例のように、最大値が500円、最小値が0円と毎度決まっている訳ではありません。最小値がマイナスになることだってあり得る訳です。数年分のサヤチャートを確認すれば、ある程度、確からしいレンジを想定できると思います。

例えば「過去2年分のサヤの値を計算し、その分布状況を確率論に落とし込んでみてはどうか?」このような気づきから、確率論に基づいた「上野式サヤ取り」の優位性が証明されることになりました。

「上野式サヤ取り」の優位性の仮説とは、「相関係数が高い2銘柄間のサヤは正規分布する」ということです。TOPIX100(日本株の時価総額ランキング上位100銘柄)を対象に、様々な組み合わせ(相関係数+0.9以上の2銘柄)で検証作業(トレード)を続けましたが、80%以上の確率で仮説が正しいと証明されたので、2006年に「上野式サヤ取り」を発表するに至りました

「上野式サヤ取り」と正規分布


前回の繰り返しになりますが、トレードの対象とするのは、純粋にサヤの値のみになります。売買両建ての2銘柄の値動きはサヤの値に収れんされるからです。

2年間のサヤの値は、上記のような正規分布のチャートにプロットされます。データのばらつき具合を表す単位が「σ(シグマ)=標準偏差」です。
平均値(AVG)を挟んで、±1σの中にデータが収まる確率が68.3%±2σの中にデータが収まる確率が95.4%です。したがって、±2σを外れる確率は4.6%であり、マイナス方向に外れる確率、プラス方向に外れる確率はいずれも2.25%となる訳です。
東証は1年に245日程度の営業日があります。2.25%の確率は5.5日ということになり、この期間内に平均値への回帰を狙って仕掛ければ良いということになります。

予めこのような確率分布が想定できれば、下記のようなトレードが可能になります。
1.サヤの値が-2σを下回ったら、一年に5.5日限りのチャンスであり、拡大狙いのサヤ取りを仕掛ける
2.サヤの値が+2σを上回ったら、一年に5.5日限りのチャンスであり、縮小狙いのサヤ取りを仕掛ける

これで「上野式サヤ取り」の概念は理解できたと思いますが、この正規分布チャートに現在値をプロットしただけでトレードが可能になるでしょうか?
結論としては、ちょっと困難だと思います。当日のサヤの位置が把握できても、それ以前のサヤはどのような動きであったかが全く分からないからです。そこで、サヤの移動平均をチャート化し、±1σ、±2σのラインで挟み併記する発想になりました

「上野式サヤ取りチャート」はボリンジャーバンドの逆張り利用である


「上野式サヤ取りチャート」はいわゆるボリンジャーバンドと同じ、移動平均線と標準偏差を組み合わせたテクニカル指標です。しかし利用方法は真逆です。「上野式サヤ取り」では平均への回帰を狙う逆張り利用であり、通常のボリンジャーバンドは「大きなトレンドの発生=±2σを外れる」ところから、さらに大きなトレンドが加速することを期待して確率の小さい方向へ順張りする手法で使用されます。

「上野式サヤ取り」で平均への回帰を狙う理由は、相関係数が+0.9以上の高い相関係数の2銘柄のサヤをトレードの対象としているからです。「ボリンジャーバンド」では、単一の銘柄の巨大トレンド発生を追いかけることを目標として開発されましたので、同じテクニカル指標でも利用方法は真逆になるのです。

「上野式サヤ取りチャート」の赤い折れ線が、日々のサヤの値動きです。概ね±2σを外れることなく推移し、外れた場合にはすぐに移動平均方向に回帰していることが確認できますね。このチャートを利用すれば、仕掛けのチャンスを逃すことはなく、非常に高い確率で利益を得ることが可能になります。

このチャートは、MS Excelなどのスプレッドシートを利用すれば、どなたにも再現可能になります。次回は、その具体的な方法をお知らせしますので、お楽しみに。

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