実質金利の国際比較月報 2026/11/01

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2026年9月を対象月とする主要8地域の実質金利比較では、日本の短期実質金利は−0.950%で低い方から1位、長期実質金利は+0.851%でスイスの+0.069%に次ぐ2位となった。日本を除く7地域平均との差は、短期で−1.354%ポイント、長期で−0.928%ポイントといずれも日本が下回っている。

日本の期間別変化をみると、前月比(2026年8月から2026年9月)では短期が−0.350%ポイント、長期が−0.490%ポイントとともに低下した。一方、12か月変化では短期が−0.150%ポイント、長期が+0.503%ポイント、24か月変化では短期が+0.500%ポイント、長期が+1.686%ポイント、60か月変化では短期が−1.650%ポイント、長期が−0.014%ポイントと、比較する起点と終点の取り方によって方向と幅が異なっている。

1|主要8地域の名目金利

2026年9月時点の主要8地域の名目金利は、政策金利がスイスの0.000%から豪州の4.600%まで、10年国債利回りがスイスの0.569%から英国の5.436%まで分布している。日本の政策金利は1.250%、10年国債利回りは3.051%であり、いずれもスイスに次いで2番目に低い水準にある。

政策金利の前月差は、日本、米国、ユーロ圏、豪州、ニュージーランドの5地域で+25.0bpとなり、英国、カナダ、スイスの3地域では+0.0bpであった。なお、政策金利は月末時点の状態(米国は目標レンジの中間値)を使用しており、月末の値が前月と同じであっても、当該月における会合の有無や据え置き判断を直接意味するものではない。

10年国債利回り(ユーロ圏はドイツ国債を代表ベンチマークとして採用)の前月差は、主要8地域すべてでプラスとなった。上昇幅は米国の+53.5bpや英国の+35.8bp、ニュージーランドの+32.2bpが大きく、日本は+11.0bp、スイスは+14.5bpであった。

地域政策金利(%)政策金利前月差(bp)10年国債利回り(%)10年国債利回り前月差(bp)
日本1.250+25.03.051+11.0
米国3.875+25.05.289+53.5
ユーロ圏2.500+25.03.582+25.9
英国3.750+0.05.436+35.8
豪州4.600+25.05.380+27.2
ニュージーランド2.750+25.05.095+32.2
カナダ2.250+0.03.999+26.0
スイス0.000+0.00.569+14.5

2|主要8地域のコアCPI

2026年9月のコアCPI前年比は、スイスの0.500%から豪州の3.580%まで分布している。日本は2.2%(前月差+0.600%ポイント)であり、スイス(0.500%)とカナダ(2.059%)に次いで低い方から3番目に位置する。

コアCPI前年比の前月差は、カナダが−0.063%ポイントと低下した一方、他の7地域では上昇した。日本の前月差は+0.600%ポイントで8地域の中で最も大きく、英国が+0.220%ポイント、ニュージーランドが+0.133%ポイント、米国が+0.118%ポイントで続いている。

日本のコアCPIには、総務省『食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合』の公式公表前年比を無補正で採用しており、日本で一般的に「コアCPI(生鮮食品を除く総合)」と呼ばれる系列とは異なる。また、各地域の採用公式系列は完全な共通バスケットではなく定義は同一ではないが、本研究では各地域の採用公式系列を無補正で使用している。2026年9月時点の値の区分は、日本が「公式公表前年比」、他の7地域がすべて「公式系列」である。

地域コアCPI前年比(%)コアCPI前月差(%ポイント)値の区分
日本2.2+0.600公式公表前年比
米国2.564+0.118公式系列
ユーロ圏2.500+0.096公式系列
英国2.790+0.220公式系列
豪州3.580+0.049公式系列
ニュージーランド2.900+0.133公式系列
カナダ2.059−0.063公式系列
スイス0.500+0.100公式系列

3|本研究の短期・長期実質金利


本研究モデルの短期・長期実質金利・2026-09

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本研究では、主要8地域の政策金利、10年国債利回り、採用コアCPI前年比の対象月を揃え、次の2つの計算式によって短期および長期の実質金利を算出している。

政策金利 − コアCPI前年比 = 短期実質金利
10年国債利回り − コアCPI前年比 = 長期実質金利

これらの指標は、各時点の名目金利から同時点のコアCPI前年比を差し引いて求める実務上の代理指標(プロキシ)である。市場や家計の期待インフレ率を用いる厳密な事前的実質金利ではなく、中立金利を直接計測するものでもない。また、10年国債利回りと現在のコアCPI前年比は対象期間が一致しないため、長期実質金利は満期までの実質収益率を直接示すものではない点に留意する必要がある。

4|短期実質金利の国際比較


短期実質金利比較・2026-09

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2026年9月の短期実質金利は、日本が−0.950%で主要8地域の低い方から1位となった。スイスが−0.500%で2位、ニュージーランドが−0.150%で3位、ユーロ圏が+0.000%(丸め前の値はマイナス)で4位となり、これら4地域がマイナス圏(丸め前基準)にある。

一方、プラス圏にあるのは5位のカナダ(+0.191%)、6位の英国(+0.960%)、7位の豪州(+1.020%)、8位の米国(+1.311%)である。8地域全体の単純平均は0.235%、日本を除く他7地域の単純平均は0.404%であり、日本の短期実質金利は他7地域平均を−1.354%ポイント下回っている(8地域平均との差は−1.185%ポイント)。

各地域に対する日本の差(日本−当該地域)をみると、最も高い米国との差が−2.261%ポイント、豪州との差が−1.970%ポイント、英国との差が−1.910%ポイントとなっている。2位のスイスとの差は−0.450%ポイント、3位のニュージーランドとの差は−0.800%ポイントである。

なお、掲載チャートの時系列(2021年10月~2026年9月)に関して、米国の掲載時系列では、2025年10月が欠測です。値を補わず、チャートの線を途切れさせています。豪州の掲載時系列では、2021年10月~2025年2月のうち、公式四半期値をアンカーとする中間月に補間値を使用しています。ニュージーランドの掲載時系列では、2021年10月~2026年8月のうち、公式四半期値をアンカーとする中間月に補間値を使用しています。

地域短期実質金利(%)順位(低い順)他7地域平均との差(%ポイント)日本との差[日本−当該地域](%ポイント)
日本−0.9501−1.354+0.000
米国+1.3118+1.229−2.261
ユーロ圏+0.0004−0.269−0.950
英国+0.9606+0.828−1.910
豪州+1.0207+0.897−1.970
ニュージーランド−0.1503−0.440−0.800
カナダ+0.1915−0.051−1.141
スイス−0.5002−0.840−0.450

5|長期実質金利の国際比較


長期実質金利比較・2026-09

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2026年9月の長期実質金利は、主要8地域すべてでプラス圏となった。低い方からの順位では、スイスが+0.069%で1位、日本が+0.851%で2位、ユーロ圏が+1.081%で3位、豪州が+1.800%で4位となっている。

5位以降はカナダ(+1.940%)、6位がニュージーランド(+2.195%)、7位が英国(+2.646%)、8位が米国(+2.725%)の順である。8地域全体の単純平均は1.663%、日本を除く他7地域の単純平均は1.779%であり、日本の長期実質金利は他7地域平均を−0.928%ポイント下回っている(8地域平均との差は−0.812%ポイント)。

短期実質金利と比較すると、日本は短期で1位(−0.950%)であったのに対し、長期ではスイス(+0.069%)を+0.782%ポイント上回って2位(+0.851%)に位置している。日本の長短実質金利差(長期実質金利−短期実質金利)は+1.801%ポイントであり、ニュージーランド(+2.345%ポイント)に次いで8地域で2番目に大きい。また、豪州は短期で7位(+1.020%)だが長期では4位(+1.800%)、ニュージーランドは短期で3位(−0.150%)だが長期では6位(+2.195%)と、短期と長期で順位の入れ替わりがみられる。

地域長期実質金利(%)順位(低い順)他7地域平均との差(%ポイント)日本との差[日本−当該地域](%ポイント)長短実質金利差[長期−短期](%ポイント)
日本+0.8512−0.928+0.000+1.801
米国+2.7258+1.213−1.874+1.414
ユーロ圏+1.0813−0.665−0.230+1.082
英国+2.6467+1.123−1.795+1.686
豪州+1.8004+0.156−0.949+0.780
ニュージーランド+2.1956+0.608−1.344+2.345
カナダ+1.9405+0.316−1.089+1.749
スイス+0.0691−1.822+0.782+0.569

6|日本の実質金利はどう変化したか


実質金利の期間別変化・2026-09

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日本の実質金利について、2026年9月を終点とする12か月、24か月、60か月の端点比較と算術上の内訳を確認する。これらの比較はいずれも指定した起点と終点の差であり、その間の毎月の推移が一方向であったことを示すものではない。また、算術分解は定義式に沿って名目金利側の変化とコアCPI側の変化(コアCPI前年比の変化にマイナスを付した算術上の寄与)に分けた内訳であり、経済的な因果関係を推定したものではない。日本の各期間における起点(2025年9月、2024年9月、2021年9月および前月2026年8月)と終点(2026年9月)のコアCPIは、すべて「公式公表前年比」である。

12か月変化(起点2025年9月~終点2026年9月)では、日本の短期実質金利は−0.150%ポイント低下し、長期実質金利は+0.503%ポイント上昇した。算術上の内訳をみると、コアCPI前年比が1.3%から2.2%へ+0.900%ポイント上昇(実質金利に対するコアCPI寄与は−0.900%ポイント)したのに対し、政策金利寄与は+0.750%ポイント、10年国債利回り寄与は+1.403%ポイントであった。短期ではコアCPI寄与のマイナス幅が政策金利寄与のプラス幅を上回り、長期では10年国債利回り寄与のプラス幅がコアCPI寄与のマイナス幅を上回っている。

24か月変化(起点2024年9月~終点2026年9月)では、短期実質金利が+0.500%ポイント、長期実質金利が+1.686%ポイントと、短期・長期ともに上昇した。コアCPI前年比が1.7%から2.2%へ+0.500%ポイント上昇(コアCPI寄与−0.500%ポイント)した一方、政策金利寄与が+1.000%ポイント、10年国債利回り寄与が+2.186%ポイントと、短期・長期ともに名目金利側のプラス寄与が上回った。

60か月変化(起点2021年9月~終点2026年9月)では、短期実質金利が−1.650%ポイント低下し、長期実質金利は−0.014%ポイントと小幅な低下にとどまった。この5年間ではコアCPI前年比が−0.8%から2.2%へ+3.000%ポイント変化(コアCPI寄与−3.000%ポイント)しており、政策金利寄与(+1.350%ポイント)との差から短期はマイナスとなった一方、10年国債利回り寄与(+2.986%ポイント)はコアCPI寄与のマイナス幅とほぼ同規模であった。なお、補足として1か月変化(起点2026年8月~終点2026年9月)をみると、コアCPI前年比が1.6%から2.2%へ+0.600%ポイント上昇(コアCPI寄与−0.600%ポイント)し、政策金利寄与(+0.250%ポイント)および10年国債利回り寄与(+0.110%ポイント)との差し引きで、短期実質金利は−0.350%ポイント、長期実質金利は−0.490%ポイントの変化となった。

日本の実質金利の期間別変化と算術分解

比較期間(起点~終点)短期実質金利変化(%ポイント)長期実質金利変化(%ポイント)政策金利寄与(%ポイント)10年国債利回り寄与(%ポイント)コアCPI変化(%ポイント)コアCPI寄与(%ポイント)
1か月(2026-08~2026-09)−0.350−0.490+0.250+0.110+0.600−0.600
12か月(2025-09~2026-09)−0.150+0.503+0.750+1.403+0.900−0.900
24か月(2024-09~2026-09)+0.500+1.686+1.000+2.186+0.500−0.500
60か月(2021-09~2026-09)−1.650−0.014+1.350+2.986+3.000−3.000

主要8地域の12か月、24か月、60か月の端点比較では、12か月変化および24か月変化の長期実質金利が8地域すべてで上昇した。60か月変化では、日本を除く7地域で短期・長期ともにプラスとなった一方、日本は短期が−1.650%ポイント、長期が−0.014%ポイントとなっている。なお、12か月・24か月・60か月の各比較における起点(2025年9月、2024年9月、2021年9月)と終点(2026年9月)のコアCPIの区分は、日本が「公式公表前年比」、他の7地域はすべて「公式系列」である(1か月変化の起点である2026年8月のみ、ニュージーランドのコアCPI区分が補間値となっている)。

主要8地域の実質金利の期間別変化(12・24・60か月)

地域12か月短期変化(%ポイント)12か月長期変化(%ポイント)24か月短期変化(%ポイント)24か月長期変化(%ポイント)60か月短期変化(%ポイント)60か月長期変化(%ポイント)
日本−0.150+0.503+0.500+1.686−1.650−0.014
米国+0.205+1.594−0.253+2.250+5.211+5.258
ユーロ圏+0.356+0.725−0.831+1.619+2.372+3.145
英国+0.455+1.440−0.824+1.854+3.777+4.541
豪州+0.375+0.431+0.370+1.534+3.820+3.219
ニュージーランド−0.650+0.486−2.300+1.036+4.400+4.972
カナダ+0.130+1.194−1.698+1.347+3.201+3.692
スイス+0.100+0.412−0.500+0.706+0.750+0.739

7|今月のまとめ

2026年9月の日本の実質金利は、政策金利1.250%、10年国債利回り3.051%、コアCPI前年比2.2%のもとで、短期が−0.950%(低い方から1位)、長期が+0.851%(同2位)となった。他7地域平均との差は短期が−1.354%ポイント、長期が−0.928%ポイントであり、最高順位(8位)の米国(短期+1.311%、長期+2.725%)とは短期で−2.261%ポイント、長期で−1.874%ポイントの差がある。

日本の期間別変化では、1か月変化で短期(−0.350%ポイント)・長期(−0.490%ポイント)ともに低下し、12か月変化では短期が−0.150%ポイント、長期が+0.503%ポイントと方向が分かれた。24か月変化では短期(+0.500%ポイント)・長期(+1.686%ポイント)ともに上昇し、60か月変化では短期が−1.650%ポイント、長期が−0.014%ポイントとなっている。

研究上の留意点

各国のコアCPIの定義は完全には同一ではありません。本研究では各地域の採用公式系列を無補正で使用します。

短期・長期実質金利は、現在のコアCPI前年比を差し引く実務上の代理指標です。期待インフレ率を使う厳密な事前的実質金利ではなく、中立金利を直接測るものでもありません。

10年国債利回りと現在のコアCPI前年比は対象期間が一致しません。長期実質金利は、満期までの実質収益率を直接示すものではありません。

期間別変化は指定した起点と終点の差です。その間の毎月の動きや、一方向の推移を示すものではありません。

日本の算術分解は、名目金利の変化とコアCPI前年比の変化を計算式に沿って分けた内訳です。経済的な原因を推定したものではありません。

データ・算出方法

日本のコアCPIには、総務省『食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合』の公式公表前年比を使用します。

政策金利は月末時点の状態を使用し、米国は目標レンジの中間値を採用します。10年国債利回りは採用月次系列の終値を使用し、ユーロ圏はドイツ国債を代表ベンチマークとします。

国際比較は、政策金利・10年国債利回り・採用コアCPIの対象月を主要8地域で揃えて行います。統計の公表時期が異なるため、対象月はカレンダー上の最新確定月より遅れる場合があります。

順位は丸め前の値に基づきます。表示値が同じでも順位が異なる場合があります。水準は%、差と寄与は%ポイント、名目金利の前月差はbpで表示します。

米国の掲載時系列では、2025年10月が欠測です。値を補わず、チャートの線を途切れさせています。

豪州の掲載時系列では、2021年10月~2025年2月のうち、公式四半期値をアンカーとする中間月に補間値を使用しています。

ニュージーランドの掲載時系列では、2021年10月~2026年8月のうち、公式四半期値をアンカーとする中間月に補間値を使用しています。


最終監修・文責:上野ひでのり
数値計算と検証はPythonで行い、検証済みデータをもとにLLMを文章化支援に使用しています。