予想通り0.25%の利上げでもNZドルが上昇した理由とは?【利上げフェイズで相場は下がるが常識】

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予想通り0.25%の利上げでもNZドルが上昇した理由とは?【利上げフェイズで相場は下がるが常識】
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通貨は初回の利上げ期待が高まる時期に最も買われる

そもそも利上げの目的とは?

主要国のインフレターゲットは2%程度に設定されているが、消費者物価指数(CPI)のコア指数(エネルギー、食品など変動の大きい品目を除いたもの)がこれを上回り、雇用統計(雇用者増、失業率低下、賃金増)、GDP成長率が整合的に伸びていれば、景気の過熱を抑えるために利上げが行われる。

量的緩和(QE)が行われているのであれば、その規模を徐々に縮小(テーパリング)し、量的引き締め(QT)のフェイズに移行していく。
QTは、中銀のバランスシートの縮小とも表現する。

利上げとQT合わせて、金融引き締めである。

景気指標が上昇すれば利上げ期待も高まる

したがって、上記の指標が重要であり、予想より高い数字が出てくれば、長期金利(10年債利回り)が上昇し、当該通貨が上昇の反応を見せる。
市場参加者にとって、金融引き締めの可能性と規模は、その材料が出た時点で織り込みにいくのである。
経済指標だけでなく、各国の中央銀行の金融政策決定会合の結果、前後の要人発言も重要な材料となる。

RBNZが予想通りの利上げでも、NZドルが上昇した理由は?

2月23日(水)10:00に、RBNZ(NZ中銀)が金融政策を発表し、11:00からオアRBNZ総裁の定例会見が行われた。
結果は0.75%から0.25%の利上げで、政策金利は1.00%となった。

市場では、この結果は100%織り込まれていたため、通常は無反応になるか、「噂で買って事実で売る」の下落になることが多い。

利上げペースの加速とQTについても言及

  1. プレスリリースのタイトルは「More tightening needed」(さらなる引き締めが必要)
  2. 利上げの幅について0.25%か0.50%か議論があった
  3. 今後は0.50%の利上げも否定せず
  4. 政策金利のピーク予想は2.6%⇒3.35%に引き上げる
  5. 保有国債について7月から売却を開始する
想定よりも、かなりタカ派な内容だったため、NZドル米ドルは、いったん0.67270まで売られた後、0.67770まで50pipsの急騰となった。
とは言え、たった50pipsのため、既に利上げフェイズに入った通貨の伸びしろは小さいことが明らかである。

利上げ開始済の国の通貨

NZドル

政策金利 1.00%
0.25%をボトムとして、2021年8月に0.50%、同年11月に0.75%、2022年2月に1.00%へ3回の利上げ実施済

ポンド

政策金利 0.50%
0.10%をボトムとして、2021年12月に0.25%、2022年2月に0.50%へ2回の利上げ実施済

近々に初回利上げ開始の国の通貨

米ドル

政策金利 0.00-0.25%
3月16日のFOMCで、0.25%幅の利上げ確実(0.50%幅の議論もある)
金融先物市場では、今年残り7回の会合で、5回以上の利上げを90%の以上の確率で織り込む。
【2024年度版】FRBボードメンバー・FOMC利下げ予測と声明文・経済見通し・議事録まとめ

カナダドル

政策金利 0.25%
3月2日の会合で0.25%幅の利上げで0.50%とする見通し

今年中に利上げ開始が見込まれる国の通貨

ユーロ

政策金利 0.00%
中銀預金金利 -0.50%
今年中に中銀預金金利を0.00%に引き上げる見通し
ドイツ長期金利が衝撃のプラ転。「マダムインフレ」ラガルドECB総裁もタカ派に豹変!

豪ドル

政策金利 0.10%
金融先物市場では、今年中に0.75%までの政策金利の引き上げを織り込んでいる。
【RBA(豪州中銀)結果速報】インフレ率2.6%でも一時的で利上げは時期尚早。豪ドル失望売り

今年の利上げ可能性が非常に低い国の通貨

政策金利 -0.10%
長期金利(10年債利回り)の上限を0.25%に抑える指値オペを無制限に行うと通告しており、現状では今年の利上げの確率はゼロに近い。

中長期タームで優位性が高いトレード

利上げ開始済の通貨売り × 利上げ期待が高まる通貨買い

今後有望なトレードシナリオは下記の通りである。

  1. AUD/NZD買い
  2. EUR/GBP買い
  3. EUR/USD買い
  4. AUD/USD買い