目次
ECB理事会とは?
欧州中央銀行(ECB)の最高意思決定機関
欧州中央銀行(European Central Bank)
金融政策に関する理事会は、年8回木曜日の定時に行われる。
最重要目標は、ユーロ圏の物価安定つまり消費者物価指数(CPI)の上昇率を一定範囲内に抑えることである。
FOMCのデュアル・マンデート(雇用の最大化と物価の安定の2大責務)に対し、シングル・マンデートである。
FRBのデュアル・マンデート(2大責務)とFOMCで決定される金融政策の関係【基礎編】
日本時間の21:45(夏時間20:45)に結果発表
「Monetary policy decisions(金融政策決定)」プレスリリース公表
22:30(夏時間21:30)から総裁の記者会見
総裁、副総裁、4名の常任理事と15か国の中銀総裁の多数決で決定
ルイス・デギンドス ECB副総裁
ファビオ・パネッタ ECB常任理事
イザベル・シュナーベル ECB常任理事
フィリップ・レーン ECB常任理事
フランク・エルデルソン ECB常任理事
15か国の中銀総裁(加盟19か国の中銀総裁の輪番制)
前回2021年12月16日のECB理事会の決定事項
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じた資産購入を2022年3月末に終了する
PEPPを通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、これまでの2023年末から、少なくとも2024年末まで延長する。
PEPPの代わりに、通常の債券・国債の購入プログラム(APP)を拡大、継続する
規模に差はあれど、量的緩和継続である。
主要政策金利の緩和効果を高めるために、主要金利の引き上げ開始前まで継続する。
ユーロ圏内の経済成長予測をわずかに修正
2021年の実質GDP成長率を前回(2021年9月)予測値の5.0%から5.1%にわずかに上方修正した。
2022年については4.6%から4.2%、2023年については2.1%から2.9%にそれぞれ修正した。
また、2024年は新たに1.6%と予測した。
消費者物価指数(CPI)上昇率について
2021年は前回予測の2.2%から2.6%に上方修正し、2022年は1.7%から3.2%に大幅に上方修正。
2023年は1.5%から1.8%に上方修正し、2024年は1.8%との予測を示した。
2/3(木)のECB理事会の結果予想
ドイツの消費者物価指数(CPI)【1月速報値】は前年同月比+5.1%
1月31日(月)に発表されたEU基準のHICP消費者物価指数について
昨年12月の+5.7%は下回ったものの、市場予想の+4.7%を上回り、利上げに向けてポジティブな材料となっている。
ECB理事会の前日2日(水)19:00にはユーロ圏の消費者物価指数(CPI)が発表になるため、注目されている。
【結果】コアCPI+2.7%(予想+1.9%、前回+2.6%)・・・かなり強い数字
総合CPI+5.1%(予想+4.4% 前回+5.0%)
金融市場の織り込み
ECBが7月までに10bp(0.10%)の利上げを実施する確率を90%織り込んだ。
9月までに約15bp(0.15%)の利上げ、12月までに25bp(0.25%)超の利上げの可能性も織り込まれている。
(ブルームバーグ)
2/3(木)のECB理事会で、インフレに関する文言を変えるか?
可能性はある。ECBは既に少しずつ文言を変えており、今後もそうする可能性がある。
ECBのレーン専務理事兼主任エコノミストは先週、インフレ率が目標(2%)を上回る水準にとどまればECBは金融引き締めに踏み切ると述べた。ただ、現時点ではそうした展開になる公算は小さいとした。
(ロイター)
ECB理事会後のユーロの値動き予想
ラガルド総裁の公式な見解
今後も量的緩和を継続予定であり、2022年中の利上げの可能性を強く否定することは間違いない。
金融市場の織り込みは別の観点で進行する
しかし、上記のように、インフレに関する文言を変えることにより、足元のインフレ率の高進が、結果的に早期利上げに繋がると市場の織り込みが一層加速する可能性がある。
毎度のECBのハト派姿勢に対し、失望のユーロ売りの可能性は低い
ラガルド総裁がハト派姿勢を崩さないことは百も承知なので、インフレの事実認識が前回よりも踏み込んだものになりさえすれば、利上げ近しの観測で、ユーロ上昇につながる可能性が高いと考える。
客観的なメインシナリオ
もちろん、ラガルド総裁が明言する訳ではないが、2023年3月頃に量的緩和終了、その後2回以内のECB理事会で利上げを決定くらいが妥当なところだろう。
ただし、インフレ率の高進が行き過ぎた場合には、前倒しを余儀なくされる。