FRBのデュアル・マンデート(2大責務)とFOMCで決定される金融政策の関係【基礎編】

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FRBのデュアル・マンデート(2大責務)とFOMCで決定される金融政策の関係【基礎編】
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FRBのデュアル・マンデート(2大責務)

声明文の書き出しに毎回明確に示される

2021年12月15日のプレスリリース
The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.
米連邦準備制度理事会(FRB)は、この困難な時期に直面した米国経済を支援するため、あらゆる手段を駆使し、「雇用の最大化」と「物価の安定」の目標を達成すべく推進していく責務を託されています。

FRBの責務は「雇用の最大化」と「物価の安定」であり、これを「デュアル・マンデート(Dual Mandate)」という

FRBの特徴は「雇用の最大化」を掲げていることであり、米国雇用統計が最重要なマクロ経済指標とされるのは当然である。
ECBでは「物価の安定」だけを責務とする「シングル・マンデート(Single Mandate)」である。

「雇用の最大化」は達成しつつあり、「物価の安定」は危機的な状況

1/7(金)発表の米国雇用統計(12月)では、失業率3.9%とほぼ完全雇用に改善

コロナ渦発生前の2020年2月の水準まで一気に改善した。
これにより、「物価の安定」の責務に集中できる環境が整った。

1/12(水)発表の米国消費者物価指数(12月)は前年同月比+7.0%で、39年6か月ぶりの歴史的高水準

変動率が大きいエネルギーと食品価格を除いたコアCPIも、前年同月比+5.5%と危機的な水準に達し、昨年秋まで「物価上昇は一時的」としたFRBの見解を覆すものとなった。

2022年度のFOMCでは、絶対にインフレを抑え込まなければならない

理由1
消費者信頼感指数の急低下に、米国民のインフレに対する不満が高まっていることが明らかである。
理由2
米国民の不満によるバイデン政権の支持率の低下を、インフレ抑制により向上させなければならない。
現状の支持率では、11月8日の中間選挙で民主党の惨敗が確実であるからである。
理由3
3月に任期を迎えるパウエルFRB議長を再任したバイデン政権から、インフレ改善圧力が高まっているからである。

2022年のFOMC開催スケジュール

計8回開催され、四半期ごとに「経済見通し」を発表

第1回
1月25~26日
声明文、パウエル議長記者会見
第2回
3月15日~16日
声明文、経済見通し、パウエル議長記者会見
第3回
5月3日~4日
声明文、パウエル議長記者会見
第4回
6月14日~15日
声明文、経済見通し、パウエル議長記者会見
第5回
7月26日~27日
声明文、パウエル議長記者会見
第6回
9月20日~21日
声明文、経済見通し、パウエル議長記者会見
第7回
11月1日~2日
声明文、パウエル議長記者会見
第8回
12月13日~14日
声明文、経済見通し、パウエル議長記者会見
  • 全て火曜日~水曜日開催
  • 開催の2週間前の土曜日からFOMC関係者が金融政策についてコメントできないブラックアウト期間入り
  • 結果発表は水曜日の日本時間28時(サマータイムは27時)
  • パウエル議長の会見は日本時間28時半(サマータイムは27時半)に開始
  • 「経済見通し」には、FOMC参加者の考える利上げペースがドッドチャートで示される。

「経済見通し」を発表する月に利上げを行いやすい

市場関係者の織り込み度合い

  1. 3月、6月、9月、12月に0.25%ずつ利上げ・・・4回、1.00%
  2. 3月に0.50% 6月、9月、12月に0.25%ずつ利上げ・・・4回、1.25%
2のパターンでは、実質年5回利上げということになるが、直近では、こちらを織り込む動きが加速しつつある。