【米長期金利4.99%・FOMC利上げ確率87%】でも超えられぬドル円154円台の天井

本日のテーマ

昨晩発表された8月の米消費者物価指数(CPI)は、
食品とエネルギーを除くコア前月比が事前予想の+0.2%を上回り+0.3%となりました。
発表直後にドル買いが殺到し、ドル円は一時154.480まで急伸しました。

しかし、その後の値動きが相場の冷徹な現実を物語っています。

急騰の直後から強烈な売りに押され、
発表前の水準を割り込むと下げ足を速めて153.232まで垂直落下。

大引けにかけても153.75の節目で頭を抑えられ、
153.454で週末の取引を終えました。

米長期金利が節目となる5%にあと1bp(一時4.99%)まで迫り、
原油高や財政懸念という「インフレ燃料」がこれでもかと投下される中で、
なぜドル円は、当日の戻り高値(154.612)すら抜けず、
154円台半ばで叩き落とされたのか。

本日は、短期金利市場が突きつける極端な歪みと、
来週のFOMCが孕む「巨大な罠」について解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.「金利4.99%・原油高・CPI上振れ」でも買われないドルの黄昏

昨晩の市場には、ドル高を正当化する強力な材料が揃っていました。

(1)米10年債利回りが一時4.99%まで急騰:
節目となる5.0%の大台へ肉薄。
トランプ氏による「国民1人あたり5000ドル支給」という
1兆ドル超のバラマキ公約も加わり、財政悪化懸念から米国債売りが加速。

(2)WTI原油の高止まり:
サウジアラビアの東西パイプライン停止報道など、
中東緊迫化によるエネルギーインフレ圧力が継続。

(3)CPIコア指数の上振れ:
前月比+0.3%を受け、FRBによる引き締め長期化観測が台頭。

通常であれば、ドル円が155円台を軽々と奪還していてもおかしくない材料です。

それにもかかわらず、154.50円手前で失速し、
153円台前半へと叩き落とされた事実は、
市場の「構造的なドル売り・円買い圧力」が
依然として支配的であることを雄弁に物語っています。

2.IMM買い越し転換の真実と「第2幕」への移行

昨夕(日本時間早朝)に公表されたシカゴIMM通貨先物(9月8日時点)のデータでは、
投機筋の日本円ネットポジションが、10万枚超の大幅な買い越しへと急転換しました。

これは、先週の200日移動平均線割れに伴い、
積み上がっていた円売りポジションが歴史的なロスカット(強制買い戻し)
を巻き込んだ痕跡です。

ただし、内訳を見ればレバレッジド・ファンドには依然として売り越しが残っており、
個人投資家による逆張りロング(買い建玉)も高水準で滞留しています。

一方的な円売りショートカバーによるドル円急落の「第1幕」は一巡しましたが、
相場は決して円安方向へ反転する兆しは全くありません。
ここからはいよいよ、日米金融政策の真偽を問う「第2幕」へと移行します。

3.FedWatch「利上げ確率87.3%」が孕む非対称な罠

現在の短期金利市場(FedWatch)を見ると、
来週9月16日(水)のFOMCにおける利上げ確率は「87.3%」に達しています。
年末までに2〜3回の利上げを織り込む動きも7割を超えました。

大衆は「これだけ市場が織り込んだのだから、FRBは利上げせざるを得ない」
と信じ込んでいます。

しかし、クオンツの視点から見れば、
ここに極めて危険な「リスクの非対称性」が生じています。

仮に利上げが行われた場合:
すでに9割近く織り込み済みのため、ドル買いの余地は極めて限定的。
事実買い(材料出尽くし)となり、154円台後半~155円は格好の戻り売り場となる。

仮に見送り(据え置き)となった場合:
87%もの織り込みが一瞬にして剥落し、米金利急低下とともにドル全面安の波が直撃。
152円台はおろか、150円の節目を一気に突き破る
壊滅的なドル急落を引き起こす可能性があります。

4.ウォーシュ議長の板挟みと「見送りサプライズ」の蓋然性

ブラックアウト期間に入り沈黙を守るウォーシュFRB議長ですが、
その足元は政治的・経済的な板挟みの極致にあります。

トランプ大統領は「高金利は許さない」「FRBはもっと賢くなれ」
と露骨な利下げ圧力をかけ続けており…

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