【サヤ取り最大のメリット】突発的な大暴落でも影響なし

前回の【上野式サヤ取り】確率論に基づいた優位性とは?において、「上野式サヤ取りチャートは、MS Excelなどのスプレッドシートを利用すれば、どなたにも再現可能になります。次回は、その具体的な方法をお知らせしますので、お楽しみに」と述べました。
まずは、こちらをご紹介しておきましょう。

スプレッドシートで作成する「上野式サヤ取りチャート」

2銘柄の終値データの入手先から、どんなスプレッドシートを作成し、どのように読み取ってトレードしたら良いのか具体的に紹介した記事がありますのでご参照ください。
サヤ取り歴17年の専門家が教える【相関係数と確率分布】に基づいた具体的な方法論

記事中にスプレッドシートで使用する関数についての記述がなかったので、補足しておきます。
2銘柄の相関係数を求める関数 =CORREL(銘柄Aの終値データ系列, 銘柄Bの終値データ系列)
標準偏差(σ)を求める関数 =STDEV(サヤのデータ系列)

サヤ取りを行う最大のメリット


このチャートは、2011年3月14日(月)と15日(火)の日本株大暴落を示しています。大暴落の原因は3月11日(金)14:46頃発生した東日本大震災です。
東証の週末大引けの14分前に発生し、当然のこと売り一色になりましたが注文をさばききれず、14日(月)から大暴落、15日(火)に大底をつけた訳です

両外しサヤ取りを行うにあたり、銘柄A(空売り)と銘柄B(買い)の重みをできるだけ揃えておくのが鉄則ですが、銘柄間で株価の差があるのが通常であり、倍率調整して売買の金額を同額に近く調整します。

このチャートの例では、「三井化学3倍」空売り-「住友化学2倍」買いということで、最大公約数的な計算をして重みを調整してあります。
確率分布が分からないので、これだけでトレード判断はできませんが、震災の直前に「縮小狙い」のチャンスであったことは分かります。

同じセクターの大手メーカー同士のサヤ取りですから、相関係数は当然高く、2年間で+0.9を超えていました。こうなると、どんな大暴落がやってきたとしても、同じように投げ売りされますので、ほぼ同額の売買両建てならば、「三井化学3倍」空売りで莫大な利益、「住友化学2倍」買いで莫大な損失ということで、差引の損益はほぼ動かないという結果になります

このケースでは、一時的には空売りした「三井化学3倍」の下落幅のほうが勝ったため、サヤチャートは大きくマイナス方向に縮小しています。縮小のピークで手仕舞いしたとすれば、相当額の利益になっていたはずです。
しかし、突発的なサヤの変動は、たった3日間に留まり、すぐに通常のサヤ分布に戻していったのです

2011年以前には2008年のリーマンショックがあり、2011年以降には2020年のコロナショックがありということで、大暴落は数年に一度は必ずやってきます。
このときに現物の買い持ちだけだと、大暴落以前に戻すまでに相当な時間がかかります。リーマンショックの回復には4年を要しました。

長期投資で取り組んでいるならば大きな問題はないと思いますが、短期トレードとして個別株の売買を繰り返す方には、リスクヘッジを万全にしながら、確率論を基に手堅い利益を得られる「上野式サヤ取り」をおすすめします。

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