【ベッセント・プットの限界】ドルの信認低下と日銀9月利上げ8割織り込みの現実

本日のテーマ

先週のドル安局面が一巡し、ドル円は159円台前半まで買い戻されて推移しています。
しかし、160円の手前では依然として強い膠着状態が続いており、
上値は非常に重くなっています。

米財務省が米国債バイバック(買い入れ消却)の拡大に
「財務省一般勘定(TGA)」を活用する案まで浮上したものの、
米10年債利回りは4.7%近辺へ逆戻りしました。

対症療法を連発する米当局と、
それをあざ笑うかのように金利を押し上げる「債券自警団」の攻防が、
この神経質な膠着を生んでいます。

本日は、日米当局がひた隠しにする「通貨同盟の裏の顔」と、
オプション市場が警告するドルの構造的脆弱性について解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.神通力を失う「ベッセント・プット」とドルの信認低下

本来、「たった1日で相場は変わらない」ことを誰よりも知る
グローバル・マクロ投資家(ソロス・ファンド出身)であるベッセント米財務長官が、
なぜ日々の債券市場にこれほど介入せざるを得ないのでしょうか。

その理由は、米国の財政が限界に達しているからです。
米連邦債務は40兆ドルを突破し、
イラン情勢に伴う戦費拡大と年1兆ドルを超す利払い費が財政を激しく圧迫しています。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、
そしてJPモルガンなどの米金融界からも、
「国債市場への介入は一時しのぎ」「真の財政健全化が必要」
と厳しい批判が噴出しています。

米財務省が強権的な利回り管理(YCC的措置)を強めるほど、
市場はそれを「米財政が自力では持続不能になったサイン」と受け止めます。

結果として、金利抑制の代償として「米ドルの信認低下(ドルのディベースメント)」
という根本的なリスクが台頭し始めているのです。

2.日米通貨同盟の真意=「長期金利暴騰の相互防衛」

「日米通貨同盟」の真意は、困った日本を助ける美談などではありません。
「日米で長期金利の急騰を防ぐための相互防衛」です。

中国が米国債の保有を半減させる中、
最大の買い手である日本に米国債を売らせないための
「FIMAレポファシリティー」の供与。

そして、日本への支援の絶対条件として米国から突きつけられたのが
「日銀の利上げ加速」です。
短期金融市場ではすでに「9月利上げ」の織り込みが80%超に達しており、
拡張財政を掲げる高市政権も、
米国の圧力の前に利上げ容認へと追い込まれています。

3.オプション市場の警告:なぜ利上げ8割で「159円台」なのか?

ここで一つの【市場のパラドックス】が生じます。
日銀の9月利上げが8割も織り込まれているのに、
なぜドル円は急落せず159円台を維持しているのでしょうか?…

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