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本日のテーマ
昨晩発表された8月の米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)は、
市場の勢力図と「見えざる壁」の存在をこれ以上ないほど鮮明に浮き彫りにしました。
発表直後、アルゴリズムと大衆の条件反射的なドル買いが殺到したものの、
上値は強烈な実需の売りに完全に抑え込まれました。
本日は、この「雇用統計の罠」から紐解く次期FOMCの展望と、
一部メディアがいまだに捨てきれない「円安妄信」の危険性について、
クオンツの視点から解説します。
上野ひでのり本日の視点
1.雇用統計の罠:上振れを全戻しした強烈な実需の売り
昨晩のNFPは予想+5.5万人に対し、結果は+16.2万人と大幅な上振れ。
さらに前回分も(-2.2万人から+2.1万人へ)上方修正されるという、
ドル買い材料としては申し分のない「強い結果」でした。
これを受け、発表直後にドル円は156.751まで急騰しました。
しかし、そのわずか20分後には155.344まで猛烈に叩き落とされ、
当日の安値(155.284円)に迫る急落を見せました。
大引けにかけて一時的に買い戻されたものの、
最終的には156.235円と上値の重さを露呈して週の取引を終えています。
この値動きが証明しているのは、
「米国の強い経済指標」という単発のノイズ(起爆剤)をもってしても、
機関投資家のレパトリ(国内資金還流)や円キャリーの巻き戻しという
「構造的な円高フロー」はもはや覆せないという冷徹な事実です。
156.75の節目は、実需が待ち構える「コンクリートの天井」として機能しました。
2.IMMポジションの錯覚と「織り込めない」金利先物市場
ここで、大衆が陥りやすい2つのデータの錯覚を指摘しておきます。
一つは、昨日発表されたシカゴ投機筋(IMM)のポジションです。
円の売り越し枚数が先週の6.33万枚から9.22万枚へ増加していますが、
これは9月1日(火)の大引け時点での集計です。
その翌日から発生した「158円割れに伴う強烈な円買い戻し(ストップロス)」は
一切反映されておらず、単なる過去の残像です。
もう一つはFedWatch(金利先物市場)の動向です。
これだけ強いNFPが出たにもかかわらず、
9月16日のFOMCでの利上げ確率は50.2%から59.4%への上昇にとどまりました。
債券市場は、平均時給の伸び縮小など、
「数字の表面ほど基調的なインフレや実質賃金は強くない」と見透かしており、
利上げシナリオを完全には織り込めていません。
3.FOMC展望:ウォーシュ議長「据え置き」の公算とドルの命運
本日より、FRB高官が金融政策に関する発言を禁じられる
ブラックアウト期間に入りました。
事前のガイダンスがない中、次回のFOMCにおいて、
私は「政策金利の現状維持(据え置き)」をメインシナリオとして想定しています。
現在、ウォーシュ議長は板挟みの極致にあります。
トランプ大統領からはSNSを通じ「高金利は許さない」「FRBはもっと賢くなれ」と
露骨な利下げ圧力を受け、政治的緊張が高まっています。
この状況下で、前のめりで追加利上げを強行するハードルは
極めて高いと言わざるを得ません。
市場との対話を制限するウォーシュ氏が、
WSJ紙(ニック・ティミラオス記者)を通じた観測気球のリークを使うとも考えにくく、
仮に「据え置き」となれば、現状の59.4%の利上げ織り込みを覆す
サプライズ効果は大きく、ドルは支えを失い、
一段の急落(円高)リスクに直面することになるでしょう。
4.ベッセント財務長官の引導:「リフレの終焉」とメディアの妄信
米国側のスタンスはすでに明確です。
G20閉幕後、ベッセント米財務長官は「アベノミクス(リフレ政策)は終わった。
日本は成功の結果を受け入れ、リフレ政策をやめるべきだ」と公言しました。
これは、米国として日本の過度な円安・低金利を
これ以上容認しないという公式な引導です。
一部のメディアやアナリストのコラムでは、
いまだに「日米双方の信認回復により、年末に向けて160円付近に落ち着く」
といった牧歌的な円安回帰シナリオが語られています。
しかし、これは…
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