【ベッセントの奇策】FIMAレポとEUR/JPY介入に秘められた米国の冷徹なリアル

本日のテーマ

週明け3日(月)の東京市場では、
朝方のトランプ大統領による協調介入への言及、
片山財務相の「更なる協調介入も躊躇しない」との牽制、
そして9:27からの実弾と思われるドル売り円買いによって、
ドル円は一時155.220まで急降下しました。

本日4日(火)の足元では、157円台の揉み合いに落ち着いていますが、
160円台の手前に強固な重石が打ち込まれた構造変化は明確です。

なお、介入の「正確な日時や金額」に関する公式発表は、
後日のデータを待つ必要がありますが、
7月30日(木)・31日(金)の動きはNY連銀のレートチェックを含め
「日米協調」のもとで行われたとみて間違いないでしょう。

一方、昨日8月3日(月)の急降下については、
その協調シークエンスの一環としての追撃か、
あるいは米国の了解のもとで日本当局が単独で打ち込んだものか、
いずれの可能性も考えられます。

本日は、市場の「油断」と、
その裏で動くベッセント米財務長官の冷徹なリアリズムについて解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.「IMF3日ルール」という大衆の油断とベッセントの影

市場の一部では、
「IMFの慣例上、1シークエンスは3営業日(木曜開始なら月曜で終了)だから、
火曜日以降はもう安全だ」といった甘い見方が漂っています。

しかし、今回の作戦を主導するベッセント米財務長官は、
かつて英ポンド危機やLTCMショックを投機筋の当事者として経験し尽くした
元ヘッジファンドマネージャーです。

当局による市場コントロールの威力を知り尽くした彼が、
硬直的な「3日ルール」に縛られるはずがないと思います。

今回の介入は、今年1月にベッセント氏が
「円安と日本国債売りが同時発生する
シックスシグマ(100万回に3、4回の確率)級の異変」
と警戒して以来、半年以上にわたり準備されてきたものです。

米国財務省の主導で動いている以上、月曜でひと区切りがついたとしても、
今日・明日に再び協調または単独での追撃介入が放たれる可能性は、
十分に残されていると考えます。

2.「FIMAレポ」と「ユーロ円介入」に透ける米国のリアル

今回の介入で打たれた最大の「奇策」は、FRBのFIMAレポ・ファシリティの活用と、
米国側によるユーロ円のレートチェックです。
ここには、米国の徹底した自国益優先(リアリズム)が透けて見えます。

米国債市場の保護(FIMAレポ):
日本は1.1兆ドル超の米国債を保有する最大保有国です。
介入資金捻出のために日本が米国債を市中で売却すれば、
米長期金利(30年債5.2%超)が跳ね上がり、住宅ローン金利などを直撃します。
米国債をFRBに担保として預け、ドル現金を調達するFIMAレポを使うことで、
「米国債の投げ売り」という米国の悪夢を回避させたと推測されます。

「米国売り」を避けるユーロ円介入:
米当局がドル売り・円買いではなく「ユーロ売り・円買い」で介入したのも、
自ら「ドル(米国)売り」に加わってドルの信認を傷つけることを避けるためでしょう。

つまり、トランプ大統領が「友情の証し」と呼ぶ裏には、
「自国の金利上昇とドル信認の低下を絶対に防ぐ」という
米国の極めてシビアな計算が存在していると考えます。

3.金曜「米雇用統計」に向けた実践的戦術

日米金利差という「ファンダメンタルズ」が存在する以上、
ファンド勢によるドルの底堅さは残ります。
しかし、ベッセント長官と片山財務相によって「160円」が
明確な絶対防衛ライン(警告ゾーン)として設定されたことは動かしがたい事実です。

7日(金)には7月の米国雇用統計発表を控えており、
指標結果と米金利の動き次第では、再び上下に激しいボラティリティが発生するでしょう。

【実践的なリスク管理】
「3日を過ぎたから介入は終わった」
「金利差があるから買えば戻る」といった安易なロングエントリーは…

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