目次
本日のテーマ
7月30日(木)に発動されたとされる実弾介入の余波が冷めやらぬ中、
31日(金)のNY市場でも断続的な為替介入が実行された模様で、
相場は完全に日本の通貨当局の制圧下に置かれました。
介入前の高値163.740円から始まった下落は、
31日(金)の大引け直前には前日安値157.953を割り込む157.275まで到達。
特筆すべきは、週末NYタイム午後の
「流動性が極端に薄くなる時間帯」を意図的に狙い撃ちし、
中長期トレンドの分水嶺である200日移動平均線(158円付近)を
強引に下抜けさせた当局の冷徹な手口です。
本日は、この連続介入の裏で動いている「IMFルールの期限」と、
米国が異例の全面協力をせざるを得ない
「米債市場の構造的恐怖」について解説します。
上野ひでのり本日の視点
1.「IMFルール」と週明け3日(月)に向けた大型警戒
日銀当座預金の推計から、
30日(木)の介入規模は約8.45兆円であった可能性が示唆されています。
4月末からの実施分と合わせると今年累計で既に18兆円規模に達し、
過去最大であった2024年の実績をあっさりと上回りました。
ここで大衆は「介入余力はあといくらか」という議論に終始しますが、
クオンツの視点で警戒すべきは、
IMFルールにおける「1シークエンス3営業日」の期限です。
木曜日に始まった今回の介入権限は、8月3日(月)の大引けまで有効となります。
つまり、週明けの東京タイムからロンドンタイムにおいて、
200日線を完全に下へブレイクさせる(あるいは反発の芽を摘む)ための
「追撃・ダメ押し介入」が実行される確率は極めて高い状態にあります。
2.NY連銀の異例行動と、ベッセント米財務長官の「真の狙い」
今回の介入において最も異様なのは、米国側の動きです。
米財務省が複数の銀行に追加介入の可能性を伝達しただけでなく、
NY連銀は少なくとも米大手銀2行に対し
「ユーロ円」のレートチェックを実施したと伝わります。
さらに、ベッセント米財務長官はSNSで、
植田総裁との緊密な連携をわざわざアピールしています。
なぜ、米国はここまで日本の介入を全力で側面支援するのでしょうか。
結論から言えば、これは日本への配慮などではなく、
「米国債(長期金利)の暴騰を防ぐための自己防衛」に他なりません。
日本国内では長年低金利が続き、
生保などの機関投資家は大量の資金を米国債で運用してきました。
もし過度な円安と日本の金利上昇が同時進行すれば、
為替リスクを嫌気した日本の巨大マネーが米国債を売却し、
日本国内へ還流(レパトリエーション)してしまいます。
ただでさえ、先日のウォーシュFRB議長会見による
「利上げをマーケットに丸投げ」姿勢によって、
米30年物国債利回りは19年ぶりの高水準へと急上昇しています。
ここで最大の買い手の一角である日本勢に米国債を投げ売られれば、
米国の債券市場は崩壊しかねません。
米当局は「円安を放置すれば、自国の金利が制御不能になる」
という強烈な恐怖を抱いているのです。
3.ファンダメンタルズの不変と、クオンツ的戦術
日米当局による凄まじい実力行使の一方で、
冷徹な事実も確認しておく必要があります。
31日(金)の日銀金融政策決定会合において、
植田総裁は政策金利を据え置き、
追加利上げを前倒しするような明確なシグナルは出しませんでした。
つまり、日米金利差という「ファンダメンタルズ(基礎的条件)」自体
には何ら変化が起きておらず、円安圧力そのものは構造的に残存しています。
テクニカル面では21日線、100日線、そして200日線を下回り、
短期的には下落バイアスが支配していますが、
ファンダメンタルズとの乖離は極限に達しています。
【週明けの戦略】
当局は「160円」を介入警戒ゾーンとして、
市場に強烈に意識させることに成功しました。
週明け8月3日(月)の大引け(IMFルールの期限)を通過するまでは…
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