【米国長期金利急落】11月の月足は丸坊主陰線でドル売り続く

米国長期金利とは、米国10年債利回りのことです。
2023年12月13日のFOMCでは、3会合連続の現状維持(政策金利5.25-5.50%)になる確率が96.1%です。原稿執筆時のFEDウォッチツールによります。

既にターミナルレート(利上げの最終到達点)に達し、2024年5月1日の会合から利下げに転じる見通しになっています。
短期金利の上限に達したことがほぼ確実であるため、長期金利も下落に転じました。
ムーディーズ格付けAAAのリスクフリーであり、満期保有で元本保証・毎年4%台利回りの10年債はとても魅力的な金融商品です。ようやく見直し買いが入り、利回りが低下に向かっています。

当然のこと、ドル相場は下落に向かう訳ですが、今後の見通しを考察してみましょう。

米国長期金利とドルインデックスの方向は同じ


ローソク足が米国10年債利回り、黒い太線がドルインデックス(DXY)です。
画像かテキストリンクをクリックすると、より詳細なチャートが別画面で開きます。

2023年10月23日につけた5.021%の高値は、2007年7月以来16年ぶりの高水準でした。
キリの良い節目で戻り売りに押されテクニカルな反落から、前述のファンダメンタルズで下げが加速した訳です。11月の月足は、ほぼ「丸坊主の陰線」で引けることが確実でしょう。
直近の安値は11月28日の4.321%です。上昇相場中の高値4.362%(ロールリバーサルのサポート)を下抜いているので、じり安で4.000%の節目を試す可能性が高くなりました。

ドルインデックスは、ドルの相対的な強さを示す指標ですが、対ユーロが57.6%、対円が13.6%など全6通貨バスケットに対する平均です。ユーロの比重が高いので、ユーロドル相場の影響を最も色濃く受けることになります。

相手国の長期金利の動向も当然のこと影響しますが、特別な変化がない場合、ドルインデックスは米国長期金利と比例的に動きます

日本の長期金利は0.7%台で保ち合いが続く

日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)により、日本の10年債利回りは「1.0%が上限の目途」と人為的に決まっていますが、現状では上限を突き抜けるほどのモメンタムには欠けます。
2024年上半期には、日銀の政策金利利上げとYCCの撤廃が行われる見通しなので、日本の長期金利は程度問題ですが上昇することは間違いありません。

参考記事
【日銀の利上げ】2024年3月19日のXデーに向けてタカ派な2会合が続くか?

2024年は米日長期金利格差が縮小する

ドル円相場について、2022年11月21日の高値151.946は33年ぶりの高水準でした。2023年11月13日の高値151.911でダブルトップの反落となっています。
テクニカル的要因とファンダメンタル的要因が噛み合っての下落です。

2024年のドル円相場については、ファンダメンタルな側面から推測するしかありません。米日長期金利格差は確実に縮小しますので、ドル円相場も下落するのが理論的です。
しかし、日銀の利上げ(期待)によって上昇する日本の長期金利は限定的と思われますし、米国と比較して非常に低水準であり続けます。

したがって、152円に肉薄したダブルトップ水準が再来する可能性は低いものの、円高が急激に進行し急落する可能性も低いと思います。

【まとめ】ドル円はじり安推移が想定されるもの円安は続く

輸入物価の上昇に苦しむ私たち日本国民ですが、ドル円レートがどれくらいまで下落すれば、その弊害が明確に和らいでくるでしょうか?
おそらく125円程度であろうと思います。120円~125円のレンジ内に収まるようであれば、わが国のコストプッシュ型インフレもかなり鎮静化すると思います。

ファンダメンタルズの分析だけで相場が決まる訳ではありません。テクニカル的には依然として上昇トレンドの押し安値を探る展開が続いており、中長期保有のスワップポイントを考えたときにも、なかなか下がりにくい構造的な問題があります。

参考記事
【ドル円の下落目途をフィボナッチで推定】短期146.25、中期142.50がターゲット