【高市首相の異例の円安牽制】JOLTSの罠と過小評価される介入リスク

本日のテーマ

ドル円はいよいよ160円の大台に急接近しました。
現状のところ本日の高値は159.990止まりですが、
一部の取引プラットフォーム(EBS)では午前中に160円を記録した
との情報も飛び交うなど、緊張状態にあります。

しかし、この160円目前の張り詰めた空気の中で、
相場を一時的に押し下げたのは財務官でも財務相でもなく、
なんと、首相からの異例の口先介入でした。

本日は、この要人発言が示す当局の苛立ちと、
ドル高を牽引している米国の「見せかけの経済指標」、
そして市場が陥っている「介入リスクの過小評価」について解説します。

上野ひでのり本日の視点

高市首相の異例の牽制と、一瞬で戻る相場

本日午後、高市早苗首相は参院本会議の答弁において、
実需に基づかない投機的取引が相場に大きな影響を与えていると指摘し、
「為替については必要に応じ、いつでも適切に対応する」と語りました。

トップである首相が先陣を切って、国会の場で直接為替を牽制するのは
非常に珍しい展開です。
この発言にアルゴリズムが最も強く反応し、
発言前に159.90台で推移していたドル円は一時159.548まで急落しました。

さらにその後、17:30の植田日銀総裁発言開始のタイミングで
159.362まで下押ししました。

植田総裁の発言の要旨は下記の通りです。
「物価の上振れリスクが高まれば、
利上げの是非についてしっかりと議論する必要がある」

しかし、18時台には早くも159.877まで値を戻しています。
日本のトップ2人が連携して牽制をかけても、
下値の滞空時間は極めて短く、
すぐさま買い戻されてしまうのが現在の相場のリアルです。

JOLTS求人数の強さに隠された「離職率」の矛盾

足元のドル高のエンジンは何か。
それは昨日発表された米国の「JOLTS求人数」が
予想外に強い内容だったことです。

しかし、この数値を額面通りに受け取ることはできません。
JOLTS求人数という指標はそもそも振れが大きく、
信頼性にばらつきがある指標です。

何より重要なのは、同時に発表された「離職率」が
市場予想を下回っているという事実です。

仮に労働市場が本当に急速に強まっているのであれば、
より良い条件を求めて「自発的な離職」が増えるのが自然であり、
離職率の低下は全く整合的ではありません。

とはいえ、このヘッドラインの強さは、
就任直後のウォーシュ新FRB議長にとって新たな悩みの種になるでしょう。

新議長は現実主義として利下げを志向する余地を探っていると思われますが、
FOMC内のタカ派委員たちはこのデータを
「労働市場の底堅さを示す追加的な証拠」として利用し、
利下げ慎重姿勢を強硬に主張してくることが予想されます。

ボラティリティ低下の罠。「日銀待ち」の慢心

160円近くに張り付くドル円ですが、
オプション市場では1週間物のボラティリティが
全体的な低下に追随して落ち込んでいます。

これは、市場が160円接近の中での
「為替介入リスク」を過小評価…

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