いよいよ米国消費者物価指数(CPI)発表。高インフレ率でもドル独歩高にならない可能性も

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いよいよ米国消費者物価指数(CPI)発表。高インフレ率でもドル独歩高にならない可能性も
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10日(木)22:30米国消費者物価指数(CPI)発表

今回予想値は、前年同月比+7.3%(前回+7.0%)

  • CPI(前年同月比)   予想+7.3%(前回+7.0%)
  • コアCPI(前年同月比) 予想+5.9%(前回+5.5%)
先月の+7.0%は予想とピタリ一致した結果(前回は+6.8%)であった。
39年6か月ぶりの数字が発表された瞬間から、事前に結果を織り込んでいた市場は、「噂で買って事実で売る」となり、米国金利下落、ドル売りを加速させた。

今回は、+7.3%の結果の織り込みが進んでいるか?

米国10年債利回りの上昇は、8日(火)に1.970%の高値をつけ、節目の2.0%に肉薄している。
直近の利上げ開始に、より敏感に反応する2年債、5年債は、さらに上昇のペースが速い。

米国10年債利回り日足

画像クリックで、別画面フルHD表示可能

したがって、+7.3%の結果の織り込みは十分に進んでいると考える。

足元ではドル独歩高とはなっていない。なぜか?

実際に、ドルインデックスは伸び悩んでいる。
FOMCのタカ派ショックを受けて1月28日につけた97.441がピークで、その後は急落、予想外の好結果となった4日(金)の米国雇用統計を受けてようやく押し目を固めたが、その後の反発は鈍い。

ドルインデックス(DXY)日足

画像クリックで、別画面フルHD表示可能

欧州圏を中心とした他国の長期金利も急騰中

3日(木)のECB理事会で、タカ派に転じたサプライズで、特にドイツ、フランス、イタリア、スペインなどの長期金利が急騰している。
それは当然としても、それ以外の国もことごとく長期金利が上昇し、金融引き締めにもっとも遠い日本の10年債利回りさえ急上昇中である。
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米国CPIが+7.3%を超える強い結果となったら、ドル独歩高になるか?

米国のインフレ率が上昇すれば、ユーロ圏のインフレ期待も高まる

足元のインフレの加速は、米国だけの問題ではなく、ユーロ圏を始めとする他の先進国でも共通の課題である。
米国のCPIが強ければ、来月発表になるユーロ圏のCPI(直近で5.1%)も上昇する可能性が高いだろう。

米国の強いCPIで米国金利高になっても、他国の金利も追従する

為替相場を動かすドライバーは、2国間の金利差である。
米国の金利が上昇しても、他国の金利も連れ高になれば、極端なドル高にはならない。

今回も「噂で買って事実で売る」のパターンはあるか?

前回は、米国CPI発表直前で、米国金利とドルの独歩高が進行し過ぎていたため、反落の絶好の機会となった。
しかし、今回は、上述の通り全く違う相場つきであるため、米国金利が、織り込み済で伸び悩んだり、下落することがあっても、ドル独歩安になる可能性は低いだろう。

ドル円のみ上昇の可能性

米国債利回りが上昇すれば、日本国債利回りも上昇する相関関係は強くなっているが、日本ではインフレが確認できない(変動の大きいエネルギーと食品を除く)ため、米日の金利格差が広がって、ドル円上昇の可能性はあると考える。
とは言え、116円の壁は厚く、年初来高値116.354に達するような極端な上昇はないだろう。

高インフレ、金融引き締めに対する相場の感応度が下がった

米国はもちろん、ユーロ圏でも、高インフレと金融引き締めを現状では致し方ないことと受け入れ、CPIの発表ごとにサプライズで反応する傾向が弱まっていると思われる。
このようなリスクに最も敏感な株式相場も反応し辛くなっており、為替相場の反応はさらに限定的になりそうだ。

最後まで残るサプライズは、日銀の緩和政策終了、引き締め開始くらいではないだろうか。