世界最大の暗号資産取引所バイナンスの事件については、下記の記事をご参照ください。
【バイナンスUS事業撤退】マネーロンダリング違反を認め司法取引。和解金は43億ドル
世界の暗号資産取引所の売上高(取引額)ランキングは、1位バイナンス、2位コインベース、3位FTXが定位置でした。
2022年11月にFTXが経営破たんし、2023年11月にはバイナンスUSがマネーロンダリング防止法違反で米国市場からの撤退を余儀なくされました。
一連の事件で、海外の取引所は危険なのではないかと心配されているでしょう。
そもそも米国の暗号資産取引所に日本人(日本居住者)が口座を開設することはできませんので、上記の事件に直接的に巻き込まれることはありませんでした。
タックス・ヘイヴンのケイマン諸島やドバイなどに本社機能があるグローバルな暗号資産取引所(オフショア業者)とUSローカルの取引所あるいは日本ローカルの取引所とは分けて考える必要があります。
危険性というのは、主に下記の3点に分類できます。
- ハッキング対策が万全であるかというセキュリティ・リスク、それに伴う補償システム
- 2022年のFTXのような経営破たんリスク
- 今回のバイナンスUSのように行政によって営業停止になるリスク
トップ暗号資産スポット取引所
3.については、バイナンスUSの罰金の支払いや米国撤退が、バイナンス・グローバルに与える影響は大きいと言えます。したがって、米国で事業を行っていないオフショア業者を選んだほうが良いと思います。
ちなみに、バイナンス・ジャパンには行政からの訴訟リスクはありませんし、資産も独立して保全されているので問題ないでしょう。
目次
米国での訴訟リスクはとても恐ろしい
米国は非常に攻撃的な金融管理体制を構築しており、米国の敵が取引や活動を行える市場を開設することを絶対に許しません。行政の圧力、最終的には訴訟によって徹底的に叩き、締め出そうとします。
世界は多様化しており、米国主導のシステムを拒絶する国や会社もありますが、一方で、巨大な米国市場を手中に収めようとすれば、このようなスタンスでは必ず軋轢が生まれます。
バイナンスは、このジレンマを解消できず、米国からの撤退を余儀なくされ、深手を負うことになりました。
米国はオフショア業者には基本的に無関心だが
バイナンスのマネーロンダリング法違反は、バイナンスUSの問題なのか、バイナンス・グローバルの問題なのかという根本的な論点があります。
実際にマネーロンダリングに加担したのは、オフショア業者のバイナンス・グローバルであることが確実です。しかし、バイナンスUSという会社が米国内にあったから、訴訟のターゲットにされたということです。
バイナンス・グローバルについては、ロシアやイランと取引していることが確定的でしたが、米国政府は特段の対抗策を取りませんでした。しかし、今回イランからハマスへの資金提供に加担したことにより、堪忍袋の緒が切れたと思います。
オフショア業者は米国第一主義ではない
世界の勢力図が米国一強から、中国・ロシア・イランなどの対抗勢力の台頭により混沌としています。オフショア業者は必ずしも米国寄りである必要はなく、暗号資産という非中央集権的な金融商品を取り扱うことからも、本来は政治的な立場から一線を引いたニュートラルな存在であることを許されると考えられます。
とはいえ、米国の力は強大かつ好戦的であることから、米国民と関わるオフショア業者は、必ず米国ルールを守らなければならないということです。
サービスの提供国を制限するオフショア業者もある
世界ランク第4位のオフショア業者Bybitでは、「サービスの提供が制限されている国」という利用規約で、下記のような除外区域を設けています。
米国、英国、中国本土、シンガポール、カナダ、北朝鮮、キューバ、イラン、クリミア、ドネツク、ルハンシク、ウズベキスタン、シリア
いかにもという国名が並びますが、政治的なリスクを避け、それ以外の国でのマーケティングに専念するという非常に賢いスタンスだと思います。
2023年に本社をシンガポールからドバイに移転したのも、存続リスクを意識した行動であることが確実です。
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