「為替介入の水準と時期を大胆予測」と「トレード戦略」Part1

レギュラーガソリンが2008年8月以来15年ぶりに1リットル180円を突破しました。
猛暑の電気代負担激増の次は、灯油の高騰で暖房費負担が家計を苦しめ続けます。
果たして円安はどこまで続くのでしょうか?

3回連載記事の結論

1.ドル円150円以下での為替介入の可能性は低い。
2.2022年高値151.946を意識して、150円台乗せで初回の為替介入の可能性は高い。
3.155円に達した場合には、99%の確率で為替介入を行う。
⇒ 日銀金融政策と同期しない為替介入では、5円下落目途でドル円の押し目買いチャンス!

私の率直な意見は下記の通りです。
1.円安物価高の根本原因は政府・日銀の失策だと思うが、日銀に関しては正常化に向かいつつある。
2.2022年の財務省の為替介入は市場関係者の裏をかき大成功であった。
3.円安物価高で私たちが苦しんでいる最大の原因は、史上最高益を上げる日本の大手企業が対外投資を加速する一方、労働分配率を低く固定化していることである。

Part1では、まず正しい現状認識をしておきまししょう。

ドル円147.873で年初来高値更新。翌営業日に植田日銀総裁発言で2円急落

2023年9月6日(水)ドル円が147.819に達し、年初来高値を更新。すかさず神田財務官が口先介入を行い、いったん急落(安値147.018)したものの、8日(金)に147.873で高値を再更新してきました。
週明けの11日(月)に読売新聞の日銀植田総裁インタビューで「条件が揃えば年内にもマイナス金利解除の可能性」を示唆したことから、週明けは大幅な窓開け安値で寄り付き、145.902まで約2円の円高を演出しました。

財務省が行う為替介入と日銀が行う金融政策の引き締めと、どちらが効果があるかは明らかです。前者は一時的な効果しかなく、後者と噛み合わないと単なる時間稼ぎの無駄打ちになります。

どこまで進む円安

7日(木)サントリーHD社長兼経済同友会代表幹事の新浪剛史氏は「政府と日銀がなんの対策も行わなかった場合には、ドル円は170円に達する」という見通しを述べました。

円安ドル高の本当の原因とは?

2022年には「米日金利格差」と「日本の経常収支の赤字」が原因とされましたが、現状では前者はピークアウトしている可能性が高く、後者は解消され経常収支の黒字は拡大しています。
したがって、現在の円安ドル高の原因は、2022年から変化していることになります。

私たち国民は物価高に苦しみ続けていますが、円安効果で、特に海外売上比率が高い日本企業の業績が絶好調です。
「輸出-輸入=経常収支」の黒字が拡大中です。
ちなみに、サントリーの海外売上比率は55%であり、恩恵が大きい企業です。

今後も円安が続く最大の要因は「対外投資の急拡大」

円安効果で史上最高益の更新が続く日本の大手企業は、内部留保金をかなり積み増しています。
しかし、日本円ベースで保有していると、せっかく海外で稼いだ外貨資産を円安効果で目減りさせてしまうので、対外投資を急拡大させています。
対外投資を行うためには、巨額の円売りドル買いフローが発生するため、ドル円の上昇要因になります。

また私たちが将来受け取れるはずの年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用していますが、外国株式・債券・オルタナティブ(その他不動産など)の海外資産割合が50%を超えました

正しい現状認識について、いかがだったでしょうか?

私たちが働く企業の自己防衛や年金の運用利回りを最大化するために、私たちは今、円安物価高に苦しんでいるという皮肉な結果になっています。

さらに、円安物価高に苦しむ個人FXトレーダーが、ドル円のロングを積み増すことによって、自分の首を絞めていることになります。
もちろんトレードに成功すれば、個人的なメリットが上回ります。
という訳で、なかなか悩ましい問題なのです。

Part2では、上記結論(為替介入の水準と時期、トレード戦略)を導く、3つの理由について分かりやすくお伝えしますね。