【イーサリアム現物ETF上場申請で急騰!】ビットコインより筋が悪いので避けるのが無難

2023年11月9日(木)にETH(イーサ)が急騰しました。10月12日(木)の安値1,522ドルから、11月10日(金)には2,136ドルに達しました。
40.3%の暴騰で、直近の2か月で48.2%暴騰したビットコインの騰勢を上回ります。
しかし、4月16日の年初来高値2,138ドル手前で戻り売り圧力にさらされ、ビットコインのように年初来高値を大きく更新するような状況とは全く異なります。


ローソク足がETHUSD、黒い太線がBTCUSDの日足チャートです。
画像かテキストリンクをクリックすると、より詳細なチャートが別画面で開きます。

イーサ急騰の原因は、ブラックロック社が「iShares Ethereum Trust」というイーサ現物ETFをNASDAQに上場申請する見通しが報道されたからです。ビットコイン現物ETFの上場申請と同じ準備(デラウェア州での登録)が行われたことにより確実視されました。

その後、NASDAQ経由で、SEC(米証券取引委員会)に上場申請されました。しかし、ビットコインと比べて承認の可能性が低いので、注意してください。
今回は、その理由を解説します。

SECはイーサが商品であるか証券であるか判断を保留している


ビットコインについては、以前より明確に「商品」であると認定しているため、GOLDと同じカテゴリーで現物ETF化が承認される可能性が高いのです。
「証券」という判断をされれば、今までSECの規制を受けずに運営を続けてきたことが違法とされる可能性があります。

イーサに関しては、SECゲンスラー委員長が「PoS系仮想通貨が証券該当の可能性」を指摘しています。
ここでは「PoS(Proof of Stake)」の詳細な説明は省くので、調べておいてください。

ビットコインは「PoW(Proof of Work)」で、マイニング報酬として新規のビットコインを発行しています。一方、PoSでは保有量が多い参加者が報酬を受け取りやすい仕組みになっています。

イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンもビットコインと同じくPoWだったのですが、2022年9月15日にPoSに移行しました。

SECゲンスラー委員長は「PoSは全て証券である可能性が高い」と発言

2022年9月15日の米上院の公聴会での証言ですから、ほんの数時間前にPoSに移行したイーサリアムを念頭に置いていたことは間違いありません。

Stakeという行為(Staking)は、特定の暗号資産を一定期間預けてロックすることにより、報酬を受け取ることです。ゲンスラー委員長は「ステーキングは融資に酷似」と発言しました。要するに「SECの規制を受けずに、勝手に証券まがいのことをしてもらっては困る」という意味です。

ゲンスラー氏の考え方は下記の通りであり、暗号資産業界を敵視しています。
「この業界の多くの人々が現在、国際的な制裁やマネーロンダリングの法律を守っておらず、悪質な行動に仮想通貨を使用していると考えてみてほしい」
「もし詐欺師が法律に適合していないなら、なぜ私たちは彼らを市場に入れたいと思うのだろうか?」

暗号資産業界はロビー活動でSECに対抗している

2023年4月18日
米下院委員長、ゲイリー・ゲンスラー氏にイーサの証券判断を追及

米国下院金融サービス委員会議長のパトリック・マクヘンリ氏は、監督審査でSECとその指導者に対する暗号資産に関する批判を展開した。

という記事ですが、興味がある方はご一読ください。
SECが議会で激しい追及を受ける背景としては、暗号資産業界(取引所など)がSECの横暴許すまじの姿勢で、多額のロビー活動費を突っ込んでいるからです。

ゲンスラー氏は、議会で追及を受けましたが、イーサが「商品」「証券」どちらに該当するか、明確な回答をしませんでした

SECは裁判で負け続けている


2023年7月13日、米国ニューヨーク南地区連邦地方裁判所は、SECが2020年12月にリップル社とその創業者等を相手取って提起した訴訟の対象となっている暗号資産XRPは、連邦証券法上の有価証券である「投資契約」には該当しないとするリップル社側の主張を一部認める決定を下しました。
個人向けの販売は証券ではないという判決でした。

2023年10月23日、D.C.巡回区控訴裁判所は、グレイスケール社の現物ビットコインETF申請の却下を撤回することをSECに対して事実上命じる最終判決を下し、SECとグレイスケール社との間の係争を終結させました。

SECの態度は徐々に軟化している

SECは議会で責め立てられ、裁判には負け続けるということで、2022年までの強硬な態度が軟化し始めています。

そこで出ていたのが、上記裁判でSECが敗訴した「グレイスケール社の現物ビットコインETF」の上場承認近しの報道です。
さらに、「ブラックロック社がイーサ現物ETF上場申請」というヘッドラインです。

ビットコイン現物ETFの上場承認は確実

グレイスケール社が早いか、ブラックロック社が早いか分かりませんが、どんなに遅くとも2024年1月には、ビットコイン現物ETFは承認されるでしょう。

イーサ現物ETFの上場承認まではまだ遠い道のりか?

ビットコインは、もともと「商品」であると明確に認定されていたのに、SECはグレイスケール社の申請を却下したのです。本質的なところではなく「恣意的で気まぐれ」だったのかもしれません。

イーサについては、SECは「商品」であるか「証券」であるかの結論を保留しています。このような状況で、ビットコインでさえ却下された現物ETF化が、イーサについてすんなりと承認されるとはとても考えられません。
SECに却下されれば、グレイスケール社と同じく、ブラックロック社もSECを提訴するのでしょうか?しかし、現状では全面勝訴を勝ち取るのは難しいように思います。

【まとめ】BTC現物ETFでさえ上場承認待ちなのにイーサ期待は時期尚早

万が一、ビットコイン現物ETFの上場を認めなければ、議会で責め立てられ、裁判を起こされ、また敗訴するでしょう。したがって、2024年1月までの上場承認はほぼ確実です。
ビットコインは暗号資産のアイコンなので、そのもの自体に問題がなくても、ちょっと嫌がらせをしてみたかったのだと思います。

一方、イーサについては、これを早々に「商品」と認めて現物ETFの上場を認めてしまうと、ゲンスラー委員長とSECという政府機関の面目丸つぶれなので、当面のあいだ却下が続くことになるでしょう。
したがって、上記報道だけで、イーサを買い上げるのは非常にリスキーだと思います。