目次
本日のテーマ
中東を巡る地政学リスクの再燃、
そしてFRB高官のタカ派発言というダブルの衝撃波が、
今夜の最重要指標を前にマーケットを直撃しました。
昨夜のNY為替市場は、イラン情勢の急緊迫化を受けてドル高が優勢となり、
ドル円は一時162円台半ばへと上昇。
市場がCPI(消費者物価指数)を前に「ドル高ピークアウト」を織り込み始めていた矢先、
まさに急転直下の展開となっています。
本日は、今夜21時30分に発表を控える米CPIの予想データと、
その直前に急浮上したインフレ再燃シナリオの深層について冷徹に解剖します。
上野ひでのり本日の視点
1.【イラン港湾封鎖】トランプ政権の強硬策と原油79ドル突破
為替市場に再び「ドル高・インフレ懸念」の猛烈な逆風を吹き込ませたのは、
トランプ大統領による決定的な強硬策のリークでした。
米軍が東部時間14日16時(日本時間15日午前5時)に
イラン港湾の封鎖を実行すると報道。
これに留まらず、トランプ大統領は
「ホルムズ海峡を通過するその他全ての貨物について20%の対価を支払うよう求める」
という常軌を逸した要求を突きつけています。
ホルムズ海峡の安全保障と通航権を巡り、米・イラン両国の緊張は一気に沸点へと到達。
この地政学的激震を受けて原油相場は急騰し、
WTI原油先物の高値はバレルあたり79.14ドルに達しました。
2.ウォラー理事の「早期利上げ」言及と、復活する金利の幻影
この緊迫した需給環境の隙を突き、
市場に「利上げの幻影」を急激に再インストールしたのがウォラーFRB理事の発言です。
ウォラー氏は「今夜のCPIの結果次第では、早期利上げが必要になる」と言及。
この急進的なタカ派発言が直接の引き金となり、
市場で後退しつつあった利上げ期待が一気に蘇りました。
最新のFedWatch Tool(先物市場の織り込み)のデータは、
以下のように劇的な変貌を遂げています。
・今月(7月)の利上げ確率: 43.3% へと急騰
・年内1回の利上げ確率: 90.2%
・年内2回の利上げ確率: 57.7%
イラン情勢の悪化というベースの上に、
ウォラー氏の「インフレが過熱する兆候があれば、早めに手を打つべきだ」
というAIを絡めたインフレ再燃への警戒論が重なったことで、
市場の利上げ期待は極めて最悪なタイミングで増幅された格好です。
しかし、冷静なクオンツの視点からすれば、
これはウォラー氏一人の意見で市場がパニック的に過剰反応しているに過ぎません。
FRBの意思決定を支配するウォーシュ議長やウィリアムズNY連銀総裁という
本物のコアメンバーは、依然として「早期インフレ鎮静化」を想定する据え置き派です。
ウォラー氏の過激なタカ派論が、
FRB全体の公式路線を即座に動かすものではないことは見極めておく必要があります。
3.運命の米CPI:注目は「エネルギーの第二次波及効果」とコア指数
この極限の不確実性の中で、今晩、「運命の米CPI」が発表されます。
注目の事前予想データ(ローデータ)は以下の通りです。
【今夜21:30発表:6月 米消費者物価指数(CPI)事前予想】
・総合(前年同月比):3.8% (前回:4.2%)
・コア(前年同月比):2.9% (前回:2.9%)
・総合(前月比):-0.1% (前回:0.5%)
・コア(前月比):0.2% (前回:0.2%)
総合指数に関しては、これまでの原油価格下落の影響が反映されるため、
前回4.2%から「3.8%」へと大幅な低下が予想されています。
問題は、横ばい(2.9%)が予想されているコア指数、
そして「エネルギー価格上昇の第二次波及効果
(原油高が他の財やサービス価格へ転嫁される動き)」が
基調インフレにどれほど及んでいるかです。
米国とイランの紛争が始まって以降、
実質的なコアインフレの上昇は僅かに留まっており、
本日もコア指数が予想通り穏やかな内容に収まれば、
FRBの利上げ観測は再び急速に後退するはずでした。
しかし、港湾封鎖報道とウォラー発言により、
「もしコア指数がわずかでも上振れ(3.0%以上を記録)すれば、
FRBは即座に早期利上げに動く」という最悪のシナリオが
市場の最前面に突きつけられてしまったのです。
4.【結論】いずれにしても米CPI発表後はボラティリティ急騰の可能性
今夜のCPIは、単純なインフレ測定の場から…
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