【FXのサヤ取りってなに?】プロは絶対やらない意味不明な手法

「サヤ取り=裁定取引=ヘッジファンド=ユダヤの億万長者の手法」という連想は間違いではありませんが、「サヤ取り」という名前が独り歩きして、高額なスクリーニングツールが多数販売されたり、FXにも応用できるとか・・・個人投資家を食い物にする罠がありますので、今回は警鐘を鳴らすために記事を書きます。

当然のことですが、ヘッジファンドは個人投資家のように単純な「両外しサヤ取り」など行いません。AIの手を借りてもっと複雑なヘッジ(株式・債券・コモディティ・クリプト・為替の現物・先物・オプションの混合)をかけたポジションを動かしています。
個人投資家が日々こつこつ取り組むには個別株の「両外しサヤ取り」くらいがちょうど良く、堅実な資産形成につながることは事実ですし、億り人を目指すことも十分可能です。しかし、スクリーニングツールにコストをかけるのは本当にもったいないです。

また「FXのサヤ取り」という記事もよく見かけるのですが、プロは絶対にやらない意味不明な手法なので、一刀両断させてもらいます。
大手金融サービスの記事でも推奨している場合がありますが、口座開設アフィリエイトの手数料稼ぎ目的です。あわよくば2社分の報酬を得ようという狙いであり、読者の不利益お構いなしです。

このブログでは、読者の方に本当に役に立つ情報だけをお知らせしますのでご安心くださいね。

個別株式の「両外しサヤ取り」まとめ

15年ほど前から、確率論をベースにした「上野式サヤ取り」の模倣サービスがブームになり、主に日本の個別株を対象とし「相関係数」「確率分布」を軸にスクリーニングを行うツールが続々と誕生しました。
例えば「東証プライム」「相関係数+0.9以上」「±2σ以上に乖離」等の条件設定で絞り込めば、最適ペアを順に並べてくれるアプリやクラウドサービスです。ボリンジャーバンドの分布状況も一目で分かるメリットがあります。

月額5,000円~20,000円程度で利用できるのですが全く不要だと思います。優位性が高い(安定的にサヤ取りに取り組める)銘柄ペアの探し方は、同業種で探すのが基本であり、Excelの手作業で試行錯誤しながら、お気に入りのペアを5種類くらい確保すれば十分過ぎるからです。
スクリーニングの結果を基に、毎回良く知らない銘柄ペアをとっかえひっかえで行う「両外しサヤ取り」がうまくいくほど、相場は甘くありません。

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「FXのサヤ取り」には2種類ある

個別株式の「両外しサヤ取り」と同様に、通貨ペアを1銘柄とみなして、2銘柄(2通貨ペア)の組み合わせで行うサヤ取りです。15年前から大人気だったのは「AUD/JPY」と「NZD/JPY」で行うサヤ取りです。相関係数は通常+0.9を超えるので理想的です。

もうひとつは、政策金利30.0%のトルコなどを対象に、同ロットのトルコリラ円の売買両建てを別のFX会社間で行い、スワップポイントの差額を利益にしようというアイディアです。

「AUD/JPY」と「NZD/JPY」で行うサヤ取りについて


「両外しサヤ取り」として非常に優位性が高い理想的なペアになります。したがって、15年前には私も投資助言業のお客様にすすめていました。
しかし、クロス円×クロス円の売買両建てというのは、分数の掛け算をしていただければ分かる通り、「JPY」という分母が消えるので、単に「AUD/NZD」という通貨ペアの売買を行えば良く合理的です。

実はその当時、国内のほとんどのFX会社は基本の7通貨ペア(ドル円と主要クロス円)+α(ユーロドルなど)だけで、多くても12通貨ペア程度しか提供していませんでした。「AUD/NZD」という通貨ペアは存在しなかったのです。

したがって、「AUD/JPY」と「NZD/JPY」を売買両建てにし、「両外しサヤ取り」として「縮小狙い」「拡大狙い」を繰り返していた訳です。数年後には外資系のFX会社から「AUD/NZD」が提供されるようになり、売買両建ての必然性は徐々に薄れていきました。
しかし、それでも継続していた個人投資家(一部のプロも含む)が多かった理由は、「AUD/NZD」のスプレッドが8~10pipsなど、とんでもなく広くて法外な手数料だったからです。

現在、プロの私がメイン口座としている【ヒロセ通商(LION FX)】(PR)には、なんと54種類の通貨ペアがあります。もちろん「AUD/NZD」も人気通貨ペアとしてラインアップされており、スプレッドはたった1.8pipsです。政策金利は豪州が4.10%、NZが5.50%という差しかないので、中長期のサヤ取りでもスワップポイント負担はさほど気になりません。

という訳で、「AUD/JPY」と「NZD/JPY」の売買両建て問題は完全解決した訳ですが、いまだに過去の因習で売買両建てで取り組む個人トレーダーは数多く存在します。最大手のGMOクリック証券の26種類の通貨ペアの中になぜか「AUD/NZD」がないのも一因と言えるでしょう。他の大手でも未対応が多いのが不思議でなりません。
私と同様に、業界4位の【ヒロセ通商(LION FX)】(PR)でトレードすることをおすすめします。

結論です。「AUD/NZD」という通貨ペアは、既にサヤ取りペアとして完成しており、これを売買することで確率論に基づいた「上野式サヤ取り」を簡単に実現することができます。しかし、全てのFXは通貨ペアでの売買になるので、「AUD/NZD」だけをサヤ取りとして区別することはありません。
最後に、「AUD/JPY」と「NZD/JPY」の売買両建てはコストが2倍かかり、指値や逆指値も設定できず不合理極まりないため、「これがFXのサヤ取りだ」として初心者に教えるのは、よほどの無知かモラルに欠ける人だと思います。

「AUD/NZD」のサヤ取りは自動売買がおすすめ

ちなみに、「AUD/NZD」のサヤ取りを自動売買で無限に繰り返してくれるマネースクエアの「トラリピ」というサービスもあり、これは究極のFXシステムトレードだと思います。
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FX会社によって異なるスワップポイントを利用した姑息なサヤ取り


トルコは政策金利が30.0%ですから、トルコリラ円を買い持ち(ロング)していれば、毎日高額なスワップポイントが支給されます。ただし、高金利の国の通貨は暴落リスクがあるため、金利で得しても、それ以上に売買損失が出ることが多いです。
逆にショートにすればスワップポイントは大きく払い出しになりますが、暴落のタイミングをピンポイントで狙えば大きな売買益になります。

超高金利の国は国債の格付けが非常に低く、デフォルト(債務不履行)などのカントリーリスクが高いです。したがって高金利にしないと対内直接投資を呼び込めないし、ハイパーインフレ体質を改善するためにも政策金利を高くするしかないのです。
まず、こういう国の通貨をトレード対象とすることは、ギャンブル的要素が強くなりますので、分かりやすい暴落局面で超短期のショートなど、関わり方は限られるでしょう。

さて、スワップポイント稼ぎの具体的な手法について説明します。
政策金利や長期金利(国債利回り)は一元的に決まっているのですが、FX会社が設定するスワップポイントは、主に客寄せ目的で戦略的に異なります。トルコリラ円を1社のみで取引する場合、買いスワップはプラス、売りスワップはマイナスと決まっています。そして買いと売りのスワップポイントを足すと必ずマイナスになります

それはなぜか?仮にプラスになるようにスワップポイントを設定してしまうと、同ロット売買両建てのポジション(損益ゼロ)を持てば毎日のスワップポイントがプラスになり、安定的な金利収入を顧客に提供することになるからです。

ところが、前述の通り、FX会社によって多少スワップポイントが異なりますので、目ざとい人は「A社の買いスワップポイント+B社の売りスワップポイント>0」という組み合わせを探してくるのです。これが2番目のFXのサヤ取りの類型です。
太古の昔から、市場間(地域間)で完全な一物一価にならないギャップを埋めようとする(安い市場で買って高い市場で売るだけで利ザヤが稼げる)アービトラージ(arbitrage)というトレードがあります。これを金利取引に応用しようという訳です。

大幅な円安が進行中の現在であれば、ドル円、クロス円の何を選んでも、それなりに大きな買いのスワップポイントが得られます。この絶対値が大きければ大きいいほどアービトラージの値幅の期待値も増えますので、やはり高金利の国が有利でしょう。しかし、カントリーリスクが高いトルコ(政策金利30.0%)より、安定したメキシコペソ(政策金利11.25%)が選好される現状です。


メキシコペソ円において、「A社の買いスワップポイント+B社の売りスワップポイント>0」になる組み合わせは実際にあり、10万通貨あたり30円/日のサヤが発生するケースもあります。現状のレートで計算してみたら、年間の利回りは0.6%となりました。
この0.6%の金利収入を得るために行うことは、A社とB社に口座を開設し、同額の資金を入金し、同ロットでA社は買い・B社は売りとする訳です。

25倍までのレバレッジをかけられますが、メキシコペソ円の変動率の高さを考慮して、レバレッジは極力低くするのが肝要です。0.6%に10倍のレバレッジをかければ年利6.0%になります。しかし、それでは売買どちらかの口座で強制ロスカットになる可能性が非常に高いです。限界値は2~3倍レベルだと思います。

すなわち、絶対安全とは言い切れないレバレッジ2~3倍で年利1.2~1.8%を狙って、こんな面倒なアービトラージを行う意味があるのか否かということです。海外のFXブローカーでは、このような取引は契約上禁止されています。日本では現在のところ問題なさそうです。
「FXサヤ取り 違法」というキーワード検索の件数が多く、心配している個人トレーダーが多い証拠ですね。

このアービトラージは、A社とB社のスワップポイントが改定になり、30円/日のサヤが消滅した時点で終わりです。毎日の変化をよく監視しておかないと逆転して損失となる可能性さえあります。
あなたは、こんな姑息で不安定な「FXのサヤ取り」に取り組んでみたいですか?

せっかく相場を学ぶなら、もっと優位性が高い手法に目を向けたほうが良いですね。