ソロス・チャートの考え方、算出方法、長期検証、モデルの限界については、上記研究ハブで詳しく解説します。
この月報では、中央銀行のマネタリーベース比率だけを使い、4つの主要通貨ペアについて実勢為替との現在地を定点観測します。
| 通貨ペア | 実勢値 | ソロス理論値 | 水準差 | 12か月変化 |
|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 157.58 | 100.46 | 1.57倍 実勢値>ソロス理論値 | 実勢 +4.52% 理論 -10.45% |
| EUR/USD | 1.1528 | 1.3947 | 1.21倍 実勢値<ソロス理論値 | 実勢 +0.98% 理論 +7.16% |
| EUR/JPY | 181.67 | 140.12 | 1.30倍 実勢値>ソロス理論値 | 実勢 +5.56% 理論 -4.03% |
| GBP/USD | 1.3482 | 1.2871 水準調整後 | 1.05倍 実勢値>ソロス理論値 | 実勢 +2.08% 理論 -2.07% |
目次
1. 総評|4通貨ペアから見る今月の構造
今月のソロス・チャートを4つの主要通貨ペアで横断的に確認すると、実勢値とソロス理論値の上下関係において、USD/JPY、EUR/JPY、GBP/USDの3ペアで実勢値が理論値を上回っています。一方、EUR/USDのみ実勢値が理論値を下回る配置となりました。
実勢為替と理論値の12か月変化方向に着目すると、EUR/USDは実勢と理論値がともに前年比で上昇し、方向が一致しています。しかし、残る3ペアでは実勢が上昇する一方で理論値が低下しており、大半のペアで実勢と理論値の変化方向が逆行する構造が目立っています。
各中央銀行のマネタリーベース前年比を確認すると、USDが-3.76%、JPYが-13.82%、EURが-10.19%、GBPが-1.73%となり、4通貨すべてが前年比で縮小しています。中でも日銀の縮小ペースが最も大きく、これが円絡みのペアにおいて理論値を押し下げる一因となっています。
前月からの水準差の変化では、USD/JPYおよびEUR/JPYで倍率差が縮小に転じたのに対し、EUR/USDおよびGBP/USDでは水準差が拡大しました。今月は円絡みのペアと欧州通貨・ドル間のペアで、水準差の変化傾向が分かれている点が特徴的です。
2. USD/JPY|ドル円の現在地
USD/JPYの現在地を確認すると、実勢値は157.58円、ソロス理論値は100.46円となっています。現在の関係は実勢値がソロス理論値を上回る状態にあります。
両者の水準差は1.57倍です。過去12か月間の変化方向に着目すると、実勢値は前年比で+4.52%と上昇しているのに対し、ソロス理論値は-10.45%の低下を示しており、実勢と理論値の方向が明確に逆行しています。
この背景となるマネタリーベースの変化を見ると、FRBのマネタリーベース前年比が-3.76%であるのに対し、日銀は-13.82%とより大きな縮小ペースを記録しています。両国のマネタリーベース供給量の相対的な変化が、理論値を低下させる方向に働いています。
前月からの水準差の変化を確認すると、倍率差の変動は-0.027となり、水準差は縮小しました。現在のUSD/JPYは、12か月ベースでは実勢と理論値の方向逆行が継続しているものの、直近1か月の動向としては水準差がわずかに縮小する構造を見せています。
3. EUR/USD|ユーロドルの現在地
EUR/USDの現在地を見ると、実勢値は1.1528、ソロス理論値は1.3947となっています。4つの通貨ペアの中で唯一、実勢値がソロス理論値を下回る配置にあることが特徴です。
実勢値とソロス理論値の水準差は1.21倍となっています。前月からの変化を確認すると、倍率差の変動は+0.003となり、水準差は小幅に拡大しました。
12か月の変化方向に着目すると、実勢値が前年比+0.98%、ソロス理論値が+7.16%といずれもプラス圏にあります。他の3ペアが逆行を示す中で、EUR/USDは実勢と理論値の方向が一致している点が特徴的です。
基となるマネタリーベースの動きを見ると、ECBの前年比が-10.19%、FRBの前年比が-3.76%となっており、ともに縮小傾向にあります。現在のEUR/USDは、実勢値が理論値を下回る配置を保ちながら、両者が同じ方向へ向かって推移する構造となっています。
4. EUR/JPY|ユーロ円の現在地
EUR/JPYの現在地を確認すると、実勢値は181.67円、ソロス理論値は140.12円となっています。現在の関係は、実勢値がソロス理論値を上回る状態にあります。
両者の水準差は1.30倍です。12か月の変化方向を見ると、実勢値が前年比+5.56%と上昇している一方で、ソロス理論値は-4.03%の低下を示しており、方向の逆行が観察されます。
背景となるマネタリーベースの動きでは、ECBの前年比が-10.19%であるのに対し、日銀は-13.82%となっています。日銀の縮小ペースが上回っていることが、EUR/JPYの理論値低下に寄与しています。
前月からの水準差の変化を確認すると、倍率差は-0.025となり、水準差は縮小しました。現在のEUR/JPYは、12か月ベースで実勢と理論値の逆行が続く一方、前月比では水準差が縮小に転じる構造となっています。
5. GBP/USD|ポンドドルの現在地
GBP/USDのソロス理論値は、英国と米国の絶対規模の違いを調整し長期的な変化を比較可能にするため、固定係数による水準調整後の値を使用しています。今月の水準調整後のソロス理論値は1.2871です。
現在の実勢値は1.3482であり、実勢値がソロス理論値を上回る配置にあります。現在の水準差は1.05倍となっています。
GBP/USDにおいてより重視すべき12か月の変化方向を見ると、実勢値が前年比+2.08%と上昇しているのに対し、理論値は-2.07%と低下しており、両者の方向は逆行しています。
中央銀行の動きを確認すると、BOEのマネタリーベース前年比が-1.73%、FRBが-3.76%となっています。また、水準差の前月変化は+0.020となり、水準差が拡大しました。現在のGBP/USDは、実勢値と理論値の変化方向が逆行しつつ、両者の水準差が拡大する構造にあります。
6. 本レポートについて
「ソロス理論値」は、各中央銀行のマネタリーベースの相対量から算出したモデル値です。適正価格、均衡為替レート、将来の到達水準を示すものではありません。通貨ペアごとに実勢為替との関係は異なります。GBP/USDは長期的な変化比較のため、事前に定めた固定係数による水準調整を行っています。算出方法、長期検証結果、モデルの限界については研究ハブで詳しく解説します。
数値計算と検証はPythonで行い、検証済みデータをもとにLLMを文章化支援に使用しています。
最終的な分析内容の確認・監修および文責は上野ひでのりが負います。







