【ベッセントの対日最後通牒】G20で埋められた日銀利上げの外堀と160円の真実

本日のテーマ

先週末のジャクソンホール会議におけるウォーシュFRB議長のタカ派発言を受け、
一時160.197円まで急伸したドル円ですが、
週明けのNY為替市場では戻り売りに押され、
159円台半ば(安値159.471円)へと伸び悩む展開となりました。

市場の一部からは「7月末の介入による下落幅(163.982円→155.220円)
の半値戻し水準(159.601円近辺)に達したに過ぎず、160円台の介入警戒感は薄れた」
「実質金利差から見てまだ上値余地がある」といった楽観論も聞かれます。

しかし、これは大局を見誤る錯覚だと考えています。

本日は、米アッシュビルで開幕したG20の舞台裏で、
ベッセント米財務長官が放った「対日最後通牒」と、
日銀の9月18日追加利上げが不可避となったと思われる構造的力学について解説します。

上野ひでのり本日の視点

1.160円突破からの反落と「半値戻し」の錯覚

確かに、ウォーシュ議長がインフレ高止まりを理由に追加利上げに含みを持たせたことで、
米金利先物が織り込む9月利上げ確率は65.4%まで跳ね上がりました。

米実質金利の高止まりを背景に、
押し目でのドル買い・円売り需要が根強いのも事実です。

しかし、160円台に乗せた途端に強烈な戻り売りに押された現実は
何を物語っているのでしょうか。

「160円という絶対的な水準」ばかりに目を奪われがちですが、本質はそこではありません。
水準論の裏で、日米通貨当局による「円安・米金利高の相互連鎖を断ち切る包囲網」が、
より実効的な段階へと移行した点を見落としてはなりません。

2.G20の核心:ベッセント長官による「対日最後通牒」

8月31日に米ノースカロライナ州アッシュビルで開幕した
G20財務相・中央銀行総裁会議において、
ベッセント米財務長官は、米メディアCNBCのインタビューを通じて
極めて踏み込んだメッセージを突きつけました。

「日本政府や日銀が円高につながる措置(利上げ)を講じると信じている」
「リフレ政策だった『アベノミクス』はおそらく終わりを迎えた」
「無秩序な円相場の動きは米国の家計や企業の借り入れコスト(長期金利)を押し上げる」

連邦債務が40兆ドルを突破し、年間1兆ドルを超える利払い費に苦しむ米国にとって、
日本の円安放置とそれに伴う米国債売却リスクは、自国の経済安全保障を脅かす死活問題です。

ベッセント氏の発言は、単なる希望的観測ではなく、
日銀と日本政府に対する明確な「政策修正の要求」に他なりません。

3.日銀と高市政権の挟み撃ち:植田総裁の「フリーハンド」獲得

この米国の強烈な外圧は、日銀の政策決定に決定的な影響を与えます。

これまで高市政権が掲げる「責任ある積極財政」に配慮せざるを得なかった日銀ですが、
ベッセント氏の「アベノミクス終了宣告」と利上げ支持により、
9月17(木)~18日(金)の金融政策決定会合における
追加利上げへの大義名分を手に入れました。

先週、日銀の氷見野副総裁が講演で、
「物価上振れリスクと為替の影響」を強調して利上げの地均しを行い、
タカ派の田村審議委員をジャクソンホールに派遣した布石が、
ここへ来て、きれいに整合したと考えます。

短期金融市場が9月利上げを実に91%の高率で織り込む中…

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