2024年の為替介入差益が、翌年度一般会計に3.2兆円計上された仕組み解説

本日のテーマ

パリで開催されていたG7(財務相・中央銀行総裁会議)が閉幕し、
昨日のドル円は日米財務相の発言で一時的に上下に振らされました。

ベッセント米財務長官が「過剰な為替変動は望ましくない」と牽制し、
日本の片山財務相が「断固たる措置をとる時はとる」
と介入の可能性をアピールしましたが、
結局は一過性の反応に留まりました。

市場は「口先介入」にはもう怯えなくなっています。

トランプ大統領がイランへの攻撃を見送ったことで原油高は一服しましたが、
ドル円は160円台を再度うかがう底堅い展開が続いています。

本日は、このドル高の背景にある「米国の強烈な金利上昇」と、
一方で日本国内で再び動き出す可能性がある「高市トレード」、
そして日本の強力な武器である
「為替介入の隠された錬金術」について解説します。

上野ひでのり本日の視点

止まらない米国の金利上昇と「利上げ」の織り込み

昨日、米国の30年債利回りは2007年以来となる5.179%という
驚異的な水準まで急騰し、
長期金利のベンチマーク10年債利回りも4.687%まで上昇しました。

中東の和平合意への期待が出ているとはいえ、
先週の米インフレ指標で確認された「インフレの再加速」の事実は消えません。
市場は「エネルギー価格が落ち着いても、
米国のインフレ圧力はしばらく沈静化しない」と冷静に判断しています。

その結果、「FRBの次の一手は利下げではなく、利上げである」
という見方が根強く、
「Fed Watch Tool」では年内の米利上げ確率を61.3%まで織り込んでいます。
この「5%に迫る長期金利」こそが、ドル円を下支えする最強のエンジンです。

「高市トレード」の復活と補正予算の財源

一方、日本国内に目を向けると、
「高市トレード」復活の兆しが見え始めています。

高市首相は電気・ガス料金補助の再開を表明し、
片山財務相に補正予算の編成を指示しました。

市場では
「3~10兆円規模の財政出動が行われ、
追加の国債発行(赤字国債)で賄われるのではないか」という観測が飛び交い、
これが日本の長期金利上昇や株価の変動要因として意識されています。

しかし、私は、
「この補正予算の財源は、わざわざ新規国債を発行しなくても、
為替介入の「実現益」で十分にカバーできる」と考えています。

2024年の為替介入で生み出した「3.2兆円」のボーナス

メディアは「為替介入で外貨準備(国民の財産)が減る!」
と騒ぎ立てますが、実態は全く逆です。

日本の外貨準備の母体である外国為替資金特別会計(外為特会)は、
約1.4兆ドルという巨大な規模を維持しています。
ここで重要なのは「簿価と時価の差額」です。

過去に1ドル=100円〜110円台という円高時代に
コツコツと買い集めたドル資産を、
「1ドル=155円〜160円」の超円安局面で市場に放出(ドル売り円買い介入)
したわけですから、
そこで数兆円規模の莫大な「為替差益(利益)」が確定します。

実際に、2024年4〜5月に行われた「約10兆円」の巨大介入の裏側では、
この為替差益と、米国債(利回り4~5%)から得られる巨額の利子収入が
外為特会にドッと流れ込みました。

そして、その剰余金の中から、
介入の翌年、令和7年度(2025年度)の一般会計(国の予算)に対して
「約3.2兆円」もの巨額のキャッシュが、国庫納付金(税外収入)として
ボーナスのように還流していたのです。

以上、財務省の一次資料を読み込んだ上でのファクトです。

2026年4月30日~5月6日の為替介入観測については、
まだファクトとしては確定していません。
財務省の発表待ちです(2026年5月29日19時予定)。

したがって、ここからは、「10兆円規模の為替介入を実施済」という
大手メディアの観測に基づく、私個人の見解です。

つまり、高市政権が検討している数兆円規模の補正予算は、
増税や赤字国債に頼らずとも、
今回行われたとみられる為替介入が前回と同規模、同収益だと仮定すれば、
「為替介入が生み出した3.2兆円のボーナス(錬金術)」を使えば…

この続きは、有料メルマガでお読みください。
「上野ひでのり本日の視点」の続き、「相場概況」「本日のおすすめトレード」の記事が掲載されています。