【イスラエル・ガザ戦争20日間を総括】イスラエルの暴走を止めねば世界経済危機の可能性も

こんばんは、上野ひでのりです。

10月7日(土)に勃発したイスラエル・ガザ戦争ですが、20日の節目を迎えました。
ハマスが音楽フェス会場を襲撃し、イスラエル人(一部外国人)250人以上の遺体が発見され、100人以上が拉致されました。
この時点では、非常に過激なイスラム教原理主義者集団であるハマスは、何てむごいことをするのだと、イスラエルに同情的な第一印象でした。

しかし、イスラエルは即時反撃を開始し、お互いの死者数は1,000人程度に至りました。その後は、イスラエル優位で戦闘が続き、イスラエル側の死者は1,400人に対し、パレスチナ側は7,000名まで激増しました。
20日間で増えた死者は、ほとんどハマスと関係のない一般のパレスチナ人(子供3,000人含む)ということもあり、イスラエルの暴走を止めるため停戦を求めるという国際世論に変化しています。

国連のグテーレス事務総長は24日(火)に、イスラエルによる空爆と封鎖が続くガザ地区で「国際人道法違反」が見られるとの認識を示しました。これに対し、イスラエルは事務総長の辞任を要求しています。

イスラエル人の信条は、「やられたら10倍返し、20倍返し、100倍返し」なのです。しかし、ガザ地上侵攻を開始し、パレスチナ人の死者が数万人規模になれば、さすがにイランも黙ってはいません
イスラエル軍がガザへ大規模地上侵攻を開始すれば、「抵抗運動の指導者たちがガザを占領軍兵士の墓場にする」などとイラン政府高官が連日発言を繰り返しています。

以上、あなたも連日の報道でご存知のことばかりだと思いますので、世界経済に関して懸念される状況を整理しておきます。

レバノンのヒズボラなどイラン代理勢力との本格戦闘に突入懸念

イラン軍が直接攻めてくることはありませんが、代理勢力との戦闘によりイスラエル人死者が激増した場合には、イスラエルの攻撃はさらに激しさを増すでしょう。

泥沼の戦局になった場合、イランに核ミサイルを撃ち込む可能性さえあります。イスラエルは地上発射弾道ミサイル50基、航空機搭載兵器30機の計80発の核弾頭を保有しています。やられたら「10倍返し、20倍返し、100倍返し」の国をさらに怒らせれば、何が起こっても不思議ではありません。

「大規模地上侵攻開始」のヘッドラインが流れた瞬間の相場の反応は?


典型的な反応は下記の通りですが、必ずしもそうなるとは限りませんので、割り引いて考えてください。

  1. WTI原油先物が100ドルに迫る暴騰
  2. 安全資産である米国10年債の価格上昇=利回り(長期金利)低下
  3. 基軸通貨である米ドル上昇
  4. 避難通貨であるスイスフラン・日本円の上昇
  5. 安全資産のGOLD暴騰
  6. 株価暴落
  7. ビットコインは中立(GOLDと株価とどちらに連動するか不明だが、後者の可能性が高く下落見込み)
安全資産である米国債は買われるのがセオリーですが、以前からお伝えしている通り「不健全なタームプレミアム」の問題があるので、GOLDやスイスフランに資金が集中するかもしれません。
米国債が買われて利回りが低下しても、もちろんそれを好感することはなく、株価暴落は間違いないところです。

参考記事
【米長期金利が株価暴落のトリガーになる?】有事でも金利上昇!不健全なタームプレミアムとは

イスラエル人の恐ろしさを思い知った20日間

戦力が圧倒的に勝るイスラエル軍がハマス幹部と関連施設のみせん滅し、パレスチナ民間人の犠牲者はさほど増えないだろうと想定していましたが、甘かったですね。
現状の金融相場は最悪の事態を全く織り込んでおらず、相変わらず冷淡な反応ではあります。

イスラエルが国際世論を無視してパレスチナでの殺戮を繰り返す事態が続いても、相場は動きません。
しかし、イランを怒らせたら終わりという恐怖が拭えないですね。最終的に怖いのはイランではなく、イスラエル人の信条なのですが、米国もイスラエルとは一定の距離を取り始めていますね。
中東の複数の米軍基地が、イランの代理勢力による無人機やロケット弾で攻撃を受け続けています。イランとの直接対決は避けたいでしょうし、イスラエルを全面支援することはないと思います。

【まとめ】地政学的リスクは計算できない。最悪のケースも想定

常に最悪のケースを事前に想定し、事前に対策できるなら念のために行いましょうというスタンスです。
リスク資産買いオンリーのポジションはリスキーなので、安全資産を合わせ持つなどの一定のヘッジをかける必要はあるでしょう。

売買両建てのサヤ取りに徹するという手もありますね。
【サヤ取り最大のメリット】突発的な大暴落でも影響なし