週明けのドル円相場は、相変わらず149.50を挟んだ保ち合いに終始し、強烈なボラティリティで150円を突破するイメージは持てない相場に変わりつつあります。先週末の高値149.828をピークとして、反落する可能性も高くなりました。
為替介入の大義名分となる「急激な変動」「投機的な行動」は、ファンダメンタルズを無視した投機筋のマネーゲームを指しています。しかし、そもそもドル円の1日の取引額は8,700憶ドルもあるので、投機筋の資金がトレンドを加速させることはあっても、方向を変えることは不可能です。
【参考】
【為替相場一日の取引量ランキング】1位ユーロドル、2位ドル円、3位ポンドドル
2023年10月31日(火)の日銀金融政策決定会合、翌日の11月1日(水)のFOMCがきっかけで、円安ドル高のボラティティが高まる可能性はあるかもしれませんね。
目次
米日金利格差の拡大による円安ドル高にはなりにくい
近い将来に、米国10年債利回り(長期金利)が13年ぶりの高水準である年初来高値4.887%を更新する可能性は低いでしょう。どちらかと言えば4.5%台までの反落が想定されます。この環境下で、投機筋がどんなに円売りを頑張っても、ドル円の高値更新は難しいと思います。
有事の日本円買いはいまだに健在
地政学的リスクがクローズアップされる環境下では、基軸通貨の米ドルと避難通貨(Safe Haven)である日本円は、どちらも買われます。これだけ円売りトレンドが進行している環境下でも、米ドルより日本円のほうが強いですね。
2023年10月13日(金)の地政学的リスクが高まった週末相場では、米ドルより日本円が強く、ユーロ、ポンド、豪ドル、カナダドルなどは売られました。主要通貨ペアの動向で言えば、ドル円はじり安、クロス円は全面安の総崩れとなりました。
こんな状況でドル円が150円を急激なボラティリティで上抜くことは考えにくく、他の通貨に対しては明らかな円高なので、為替介入の大義名分も主張しにくいでしょう。
1ドル150円突破には地政学的リスクが和らぐことが必須
地政学的リスクについて、さほど悲観的な見通しが続くとは考えていないのですが、そのスタンスを裏切るような戦況の大幅悪化も、念のためリスクシナリオとして想定しておきましょう。
地政学的リスクに関する基本的な考えは下記の記事の通りです。
市場のテーマは変わる【イランとの全面対決が最悪シナリオ】利上げ見送りは織り込み済
イスラエル・ハマスの戦争が激化の一途をたどれば、さらに投資家心理を冷やす事態も想定されます。しかし、この材料がさほど長続きするとは思えず、月末までには地政学的リスクが低下する状況になると考えています。
したがって、円高の進行もそれほど長くは続かないということです。有事の円買いが一気に反転して、再び円売りトレンドが再開される可能性が高いと思います。
次回FOMCはニュートラルなイベントか?
11月1日(水)のFOMC結果発表について、現状維持になる確率が現状93.8%(FEDウォッチツールによる)です。パウエルFRB議長の発言が想定外のタカ派になる可能性も低く、米国債利回りはやや低下が想定されます。したがって、ドル高にはなりにくいということです。
金利相場、為替相場に対しては、比較的ニュートラルなイベントになると、現状ではイメージしています。
日銀金融政策決定会合のほうが鬼門
10月31日(火)の日銀会合の結果発表および植田総裁会見において、前回9月22日(金)のスタンスが変わる可能性は低いと思われます。
ただ、その直前で円安ドル高が極端に進行していたとすれば、前回同様、事前にタカ派的なリーク記事を書かせることはあるかもしれません。
しかし、具体的に示せるフォワードガイダンスもないはずです。2024年の春闘での賃金増を見届けないとゼロ金利解除はないと見透かされているので、日銀イベントは結果的に円売りのきっかけとなることが多いのです。
【まとめ】10月31日(火)の植田日銀総裁会見終了後が要注意か?
仮に「米国債利回りが高位安定」「地政学的リスクによる円高が収束」という条件が揃った状態で、日銀会合の日を迎えてしまったならば、その日が1ドル150円突破、為替介入のXデーになる可能性が高まると思います。
それ以前に、148円を割り込むような押し目をつけたならば、買いのチャンスになりそうです。地政学的リスクが急激に高まるような事件が勃発したとすれば、もっと押し目は深くなるでしょうが、詳細な見通しについては、また後日、続報をお届けします。
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