2013年4月から始まった日銀の異次元緩和により、企業への貸出金利や住宅ローン金利が劇的に下がりました。低金利が当たり前になっているので、あまりありがたさを感じないとは思いますが、メリットは大きかったのです。
参考記事
2024年【日銀利上げでどうなる?】短期プライムレートと住宅ローン変動金利が上昇で苦しい
一方、副作用もありまして、2022年から急激に加速した円安です。コロナ渦⇒ウクライナ戦争勃発で、エネルギー・食料品価格が暴騰し、コストプッシュ型のインフレも急速に進行しました。
米国は、コロナ渦で給付金をばらまき過ぎ、働かなくても食っていける人が増えたので、労働市場のひっ迫を招きました。時給を上げないと人手を確保できないので、賃金インフレになった訳です。
コストプッシュ型のインフレも加速し、2022年6月の消費者物価指数は前年同月比+9.1%のピークに達しました。
これらのゆがみを解消するために、米国FRBは1年で5%も利上げを行った訳です。
日本でも、徐々に労働市場ひっ迫(人手不足)になりつつありますが、平均時給の伸びは緩やかです。厳しいインフレが進行中なのに、収入はそれに比例して増えていないということです。
そこで、日本の将来の宝(老人たちの年金を負担する人柱?)である若者たちが、この閉塞感を嫌い、海外に出稼ぎに出るという流れが加速しています。あわよくば永住を目指すということですが、彼らの人生を考えれば良い選択であろうと思います。
余談です。ホノルル国際空港で、32歳の日本人女性が一人で観光目的の入国をしようとしたところ、拒否され強制送還させられたという報道がありました。2023年9月1日の出来事ですが、若い日本人女性が強制送還される事例が増えています。
売春目的の出稼ぎを疑われている訳ですが、東南アジア諸国で「中国人相手、日給30万円、1週間200万円」を提示するエージェントもあり、手っ取り早く稼げると人気のようです。
こういう違法な出稼ぎは論外ですが、真面目に将来を考えている有能な若者が海外に流出してしまう我が国の現状は由々しきことですね。
この記事では、ワーキングホリデー制度で最も人気が高いオーストラリアの事情を紹介します。
目次
ワーキングホリデー制度とは?
出典:ウィキペディア
ワーキング・ホリデー (英語: Working Holiday)とは、2国間の協定に基づいて、青年(18歳~25歳・26歳・29歳・30歳)が異なった文化(相手国)の中で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために一定の就労をすることを認める査証及び出入国管理上の特別な制度である。
原則として、各相手国ごとに一生に一度しか利用できない
期限は1年、一部の国では半年となっています。
一番人気は豪州、次にカナダ
現在、ワーキングホリデーを利用して海外渡航する日本人は約2万人、うち7割が女性です。
日本が最初に協定を結んだのは1980年の豪州であり、半数以上が行き先として希望します。
豪州ではすぐに職は見つかり、英語力も不要
いちばん簡単なのは、日本人が経営する日本食レストランで働くことです。従業員もほとんど日本人で、バックヤードで働くなら仕事で英語は不要です。
時給の目安は30豪ドル(約2,850円)、忙しい週末の時給は60豪ドル(約5,700円)が相場で、フルタイムで働けば月収5,000豪ドル(約47.5万円)にも達するそうです。
英語で接客できるようになれば、時給はさらに上がり、チップ収入も加算されます。
UberEATSと契約をするのが最も簡単らしく、職が見つからないリスクは非常に低いそうです。UberEATSでも「10豪ドル×4件」程度の時給は見込めるとのこと。
日本のコンビニの時給は1,100円程度、居酒屋で1,200円程度が相場だと思います。日本のサービス業に対する要求水準は世界一高いので、従業員にストレスがかかる割には時給は安過ぎですよね。
豪州は物価が高いので高収入でも生活は楽ではない?
外食産業で稼いだ給料を、毎日外食で使い果たせば散財となりますが、自炊で堅実に生活する人が多いそうです。レストランならば賄いの食事もありますし、食費が生活を圧迫する心配はいらないようです。
住居費については、最も安いシェアハウスや学生寮で月額1,200豪ドル(約11.4万円)以上になります。実際には15万円程度に抑えている人が多い印象です。
という訳で、ギリギリまで切り詰めなくても、思ったより生活費はかからないようです。
月に30万円の貯金は十分に可能
これといったスキルはなく英語も話せない若者が、1年間、豪州で楽しい生活を送り、360万円の貯金ができるということです。
この実態がもっと知られてくれば、ワーキングホリデーの希望者は今後さらに増加すると思います。
豪州ではワーキングホリデーから永住権を獲得する人も少なくない
「一時的技能不足ビザ(サブクラス482)」を目指す人が多いです。「技能職リスト」記載の職種であって、豪州企業から推薦申請がなされれば3年間就業し、永住が可能となる雇用主指名制度(サブクラス186)の申請を行う流れになります。
専門職が対象になりますが、様々な職種があるので、日本で正社員として働き、英語力がある人は、豪州企業に採用される可能性は高く、永住権を取得できると思います。ネイリストとかスポーツインストラクターで永住権を得た人もおり、ワーキングホリデーが入口になっています。
45歳未満の若きエリートの場合、永住ビザの取得は簡単
技術独立永住ビザ(サブクラス189)が最も一般的な豪州の永住ビザです。専門性の高いホワイトカラーで、一定の英語力があれば推薦者がなくても申請可能です。
年収400万円程度で深夜までこき使われている日本のエンジニアは、英語力を磨いて、サブクラス189に応募するのが良いと思います。豪州に渡れば年収1,000万円以上は確実でしょう。仕事は定時で終わり、長いバカンスがあり、パワハラ被害とも無縁で、豊かな人生を送ることができるでしょう。
【まとめ】若者に逃げられない日本になれるか?
ベビーブーマー、第2次ベビーブーマー世代の人口は多いですが、平均的に優秀で世界で突出した才能は生まれにくかったと思います。
一方、Z世代の若者の人口は減少していますが、大谷翔平・三笘薫などのプロアスリートやオリンピックの金メダリスト、世界的なアーティストなど一芸に秀でた特別な才能が、ベビーブーマー世代よりも確実に増加していると実感します。
このような世界的な才能は、ほとんど海外に流出してしまいますし、日本企業の発展を支える有能な技術者なども、その気になれば豊かな豪州に移住することができます。
2024年春闘で大幅な賃上げを勝ち取っても、社会保険料負担はさら増し、増税ラッシュも時間の問題で、可処分所得が大幅に伸びる見込みはありません。
こんな日本では、優秀な人材から先に海外流出してしまいますね。選挙対策で老人に有利な政策が主体になっている現状では、優秀な若者に見捨てられても致し方ないでしょう。
老人は老人で、若者からの補助なく、いかにして生き延びるのか真剣に考える必要があり、「投資家マインド」を磨くべきと思います。
いつでも好きな時間に、欲しいだけのキャッシュをグローバルマーケットから引き出すスキルを習得できる。
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