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FOMC声明文の内容は穏当
量的緩和(QE)は3月上旬に終了
量的引き締め(QT)と利上げを急ぎたいので、2月にも終了するという観測があったが、予定通りということで、安ど感が広がった。
利上げは「soon」で3月を示唆
「the Committee expects it will soon be appropriate to raise the target range for the federal funds rate」
金融市場では織り込み済で、全くサプライズはなかった。
量的引き締め(QT)は利上げ後に開始する
これは順序として当然のことであり、驚きはないが、間髪を置かずQTを実施するのは史上初である。
マーケットは落ち着いた反応
米国金利がじり高に。株価は堅調に推移。
為替は、緩やかにドル全面高に振れた。
記者会見開始後に、パウエル議長がタカ派に豹変
利上げ開始時期は3月のFOMCで検討する
市場では完全に3月を織り込んでいるが、言質は与えなかった。
しかし、以下の発言から、3月開始は確定的である。
FRBのバランスシートは必要以上に大きすぎる
「パンデミック下での金融緩和を過剰にやり過ぎた」ことを問題視する発言である。
利上げ後、早期QT開始が望ましい
3月利上げ、早ければ5月あるいは6月のFOMCでQT開始を決定する可能性がある。
短期中心の米国債やMBSの償還時に再投資せず自然減という方法で行う。
現状では、市場での資産売却までは踏み込んで検討していないようで、その点は市場に安心感を与えた。
残り7回のFOMCで毎回の利上げも可能
記者からの質問に対して、その可能性を否定しなかった。
利上げとQTの同時進行も可能
「とにかくバランスシートの縮小を急ぎたい」という強い決意を表している。
引き締めを開始してもインフレが継続する可能性
引き締めを行えば、インフレを低下させることが可能であると述べつつ、(FRBが関与できない)供給制約や人手不足の問題が大きく、引き締めを行っても、なおインフレ継続の可能性があるとも述べた。
マーケットはリスクオフへ
想定よりもタカ派なパウエル議長の発言に、米国長短金利は急騰、株価は急落、ドル全面安の展開になった。
予め買戻しが進んでいたナスダックはプラスで引けているが、翌営業日以降の続落は避けられない可能性が高い。
金融正常化までのロードマップは不明だが・・・
パウエル議長が記者会見で、今後のロードマップを明確に示すようなことはしないため、手探りで真意を推測するしかない。
2022年は、3月のFOMCから7回連続利上げを織り込むか?
記者からの質問で、その可能性を否定しなかったことから、2022年は0.25%×7回=1.75%までの利上げを織り込みにいく可能性が高いだろう。
QTの規模は過去最大、未曾有のものとなる見通し
FRBのバランスシートは2020年初は約4.1兆ドルであったが、パンデミック対策の量的緩和(QE)により、9兆ドル規模にまで膨らんでいる。
「前回(2017年秋)のQTよりは急速に縮小する」と述べているが、前回はたった0.9兆ドルしか縮小していないため、それとは比べ物にならないほど、急速な引き締めが行われることは、ほぼ確実であろう。
市場関係者は、6月開始、最初の1年間で約1.1兆ドルの縮小になると想定している。
FRBのタカ派は超本気モードで、リスク資産相場への影響は甚大な可能性
最悪のケースでは、ハイテク・グロース株中心のナスダックが一時的にクラッシュする恐れもあり、今後の展開を注視したい。
為替に関しては、ドル高・円高が加速する可能性が高い。