2023年12月8日(金)発表の米国雇用統計は、非常に好調で労働市場の悪化を示唆するデータとはなりませんでした。
当然のこと、米国債利回りは上昇し、ドル高の反応になります。
先月までであれば、米国債利回りの上昇を嫌気し、株安の反応になったはずです。
「悪い数字のほうが金利が下がってありがたい」を「2024年の景気後退が深刻化するリスクが怖い」が逆転したと言えます。
12月13日(水)のFOMCの2024年度の利下げ判断に対しては、米国雇用統計の好調はプラス要素ではありません。
利下げ時期がやや遠のく可能性があります。「Higher for Longer」です。
それでも、マーケットとしては、2024年に向けての景気が底堅いというデータを欲しているのだと思います。
今後もこの傾向が続きそうですね。
目次
米国雇用統計の結果
- 非農業部門雇用者数 +19.9万人(予想+18.0万人)
- 失業率 3.7%(予想3.9%)
- 平均時給 +4.0%(予想+4.0%)
米国の労働市場は堅調であり、景気が減速しているシグナルはありません。
12日(火)発表の米国消費者物価指数(CPI)について
原油高がけん引したコストプッシュ型のインフレは完全に鎮静化しています。
見るべきところは、雇用統計と関連する賃金インフレ継続の観点です。
コアCPIは、粘着性が強くなかなか下がりにくい指標ですが、構成の3分の1強を占める住居費の伸びが鈍化しています。
住居費に含まれるホテル代が下落しただけでなく、持ち家を借家とみなして計算する帰属家賃も減速しました。
総合CPIの予想は3.1%(前回3.2%)、コアCPIの予想は4.0%(前回4.0%)です。
賃金インフレに関連する項目は高止まりが続いていますが、全般的にディスインフレの傾向は顕著で、FOMCのタカ派判断に直結するような結果にはならないと思います。
13日(水)のFOMC結果発表について
政策金利は現状維持で動かないことが確実です。
四半期に一度の「経済見通し」において、2024年末の政策金利の見通し(中央値)が4%台半ば(4.5~4.7%)程度まで低下していれば、リスク資産マーケットにはポジティブです。
【まとめ】FOMC通過後の経済指標は強い数字に素直に反応しそう
ディスインフレの傾向が継続する限りにおいて、2024年3月あるいは5月から、FRBが利下げフェイズに入る可能性は高いです。
その前提条件が揺るがないのであれば、GDPはもちろん、小売売上高、製造業・非製造業PMI(ISMを含む)、消費者信頼感指数などの好転は、通常通りリスクオンにつながり、リスク資産相場の押し上げに寄与すると思います。
重要経済指標について、多少悪い数字のほうが、金利の低下につながって望ましいというスタンスは既に過去のものになったと、今回の雇用統計が証明してみせました。