週末のNYタイムでは、パウエルFRB議長の発言が注目されました。
12月13日(水)28時に結果が発表されるFOMCに向けて、2日(土)からFRB要人が金融政策に関するコメントを禁じられる期間に入るからです。「ブラックアウト期間」と呼ばれます。
結果的にパウエル議長の発言がきっかけでドル円が急落したのですが、米国10年債利回りの底抜け安値更新が引き金になっています。
ドル円トレードを行うときリアルタイムで、米国10年債利回りの値動きを見ていないというのは、プロでは絶対あり得ないことです。
一方、個人トレーダーの方でどれくらいの方がリアルタイムでチェックしているでしょうか?
「そのチャートはどこにあるの?」と根本的な疑問をお持ちの方も多いでしょう。このブログでお知らせします。
目次
パウエル議長発言の内容
「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早。適切であれば追加引き締めの用意」と、これまで通りのタカ派発言を繰り返しました。しかし「政策金利は抑制的な領域に深く入った」とも述べています。それ以前は「いまは抑制的過ぎる証拠はない」と述べており、ハト派に一段踏み込んだ表現になっています。
これを受けて、「米国10年債利回り急落⇒ドル円連れ安」という構図になりました。
米国10年債利回りとドル円の値動き比較(2023年)
ローソク足が米国10年債利回り、黒い太線がドル円の日足になります。
画像かテキストリンクをクリックすると、より詳細なチャートが別画面で開きます。
週末の終値は下記の通りです。
- 米国10年債利回り(ローソク足) 4.197%
- ドル円(黒いラインチャート) 146.805
これくらい2者の相関が強いということを理解していただければ結構です。
米国10年債利回りとドル円の値動き比較(2022年)
ローソク足が米国10年債利回り、黒い太線がドル円の日足になります。
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ドル円は、2022年10月21日に151.946の高値をつけ、直後に為替介入で6円以上の押し下げがありました。しかし、数日間で元通りというのが通例でした。
ところが、2023年1月13日の安値127.220まで一本調子の急落となっています。その原因は、米国10年債利回りが4.335%のピークから3.321%まで急落したことにあります。
ローソク足と黒いラインチャートの値動きを比較してみてください。一時期を除いて、ほとんど相似形になっています。方向は同じで強弱感が異なる程度の違いです。
2024年はどうなる?
米国10年債利回りとドル円相場は相関係数が高く、同じ方向性であることは変わらないはずです。
直近の安値3.2%レベルを目指した下落を続けるならば、ドル円もじり安あるいは急落で追従すると思います。
ただし、下落の強弱関係で言えば、米国10年債利回りの下落率よりもドル円の下落率が下回る傾向が、直近の値動きから見て取れます。
米国の利下げが開始になるのは2024年5月1日の見込みです。あと半年は5.25-5.50%の最高政策金利が続く訳です。将来を先取りして米国10年債利回りが下落したとしても、米日政策金利格差が大き過ぎるため、急速な円高にはなりにくいと思われます。
2023年末から2024年序盤のドル円の下落は緩やかで、米国の利下げが始まってから下げが加速する可能性はあると思います。
日銀の政策金利については、2024年3月19日に利上げ(マイナス金利解除)となる可能性があり、米日の金利格差は徐々に縮小に向かいます。
【まとめ】米国10年債利回りを必ずチェックしてドル円トレードを行おう!
さきほど掲示したのは、TradingViewのチャートですが、無料版でもローソク足やラインチャートの表示はできます。
「債券」カテゴリーの中から、「米国10年物利回り・TVC」(US10Y)を探して登録してください。同様に、2年債(US02Y)、5年債(US05Y)、日本10年債利回り(JP10Y)も登録して比較するのが良いでしょう。
インベスティング・ドットコム日本版の「国別の国債」では、各国の国債の利回りが一覧になっていますので、「アメリカ10年」のリンク先のチャートをブックマークしておくと良いでしょう。