金の買い取り価格1万円超えが本当に喜ばしいのか?

グローバル資産の代表である金(GOLD)の価格について、NY(ニューヨーク)金先物がベンチマークであることはご存知だと思います。金の本来の価値はドル建て1オンスあたりで把握するのがグローバルスタンダードです。
史上最高値は2020年8月6日の2,075ドル/オンス(下記CFD価格。実際は2,069.4ドル)です。この時点で金の高値を喜ぶのはグローバルスタンダードな視点では当然のことです。当時のドル円レートは105.70程度なので、東京金先物の高値は7,032円/g(国内小売価格は7,769円/g)でしたが、明るい話題になりましたね。

NY金先物は2021年3月には1,600ドル台まで急落しましたが、2023年5月4日に2,017ドルに達し、再び史上最高値に迫りました。しかし直近では1,900ドルを挟んだ高値圏の保ち合いです。ダブルトップ形成で年末に向けて大きく値を崩す可能性もあります。

金の国内小売価格の史上最高値は10,153円/g


上記チャートは、東京金先物チャート週足をベースに、NY金先物(黒の太線)とドル円(赤の太線)を加えたものです。
より詳細なチャートはこちらからご覧ください。

「金の国内小売価格の史上最高値は10,153円/g」は、地金商最大手の田中貴金属工業で2023年9月19日(火)に記録しました。同時に、買い取り価格は10,038円で史上初めて1万円台に乗せました。
小売価格のチャートがないので東京金先物のチャートを使用していますが、史上最高値は同日の9,233円です。

分かりやすく単純化して比較します。
1.2020年8月のNY金の史上最高値2,075ドルに対し、東京金は7,032円(小売価格は7,769円)
2.2023年9月のNY金は1,900ドルの保ち合いに対し、東京金は9,233円(小売価格は10,153円)の史上最高値

着目していただきたいのは、国内で史上最高値をつけた直近の値動きと下記の2つの相場との比較です。
1.NY金先物(黒の太線)がピークアウトして下落中であること
2.ドル円(赤の太線)が150円に向かって急騰していること

NY金の史上最高値より、8%ほど値を崩している現状

国際金相場は2,000ドル台のダブルトップからピークアウトする可能性が高くなっています。史上最高値で沸き立っているのは日本だけです。国際価格は8%下落したのに、国内価格は30%も上昇したのです。
なぜこのような逆転現象が起こるかと言えば、ドル円相場が105円台から147円台まで40%以上暴騰したからです。

国内金買い取り価格1万円超えを喜ぶのは円安を喜んでいるのと同じ

1ドル150円に迫る円安は貿易収支の悪化を招き、石油価格や輸入食料などの生活必需品の暴騰につながる由々しき問題です。今後インフレが加速し、ますます生活が苦しくなるでしょう。

苦しい生活の足しにと、金のアクセサリーなどを史上最高値で買い取ってもらう行為については、2022年から急速に進行した円安に対し、金の現物保有により、ある程度ヘッジが効いて助かったというのが本質です。金地金の場合、NY金の値上がり分は実質プラスですが、アクセサリーの場合、デザインなど付加価値の評価はゼロになるので、購入価格より安くなることが多いと思います。

今後しばらくNY金が1,900ドル水準で安定する前提で、1ドル150円を突破すれば、国内金価格の史上最高値を再更新します。あなたはそれを本当に喜べるのかどうかという問題です。
金が値上がりしたから得られる利益というよりも、為替の変動で発生した利益の側面が大きく、金地金の代わりにドル預金していたのと本質的な違いはありません。

価値あるグローバル資産を保有することは意味のあること

価値あるグローバル資産として保有するのは金でも良いのですが、史上最高値圏から急落の可能性があり、新規買いはおすすめできません。現物を保有している場合には(為替ファクターを除いた実質的な)利益確定売りを考える局面です。

私が金の代わりにおすすめしたいのはデジタルゴールドであるビットコインです。繰り返し述べている通り、現在25,000~27,000ドルの低位相場から、10年後には200,000ドルを目指します。新規で購入する場合、現在の円安ドル高は非常に不利ですが、今後数倍、数十倍という上昇相場が待っているので、全く気にする必要はないでしょう。

金を売却するならば、ビットコインに乗り換えよう!

現物の金をビットコインに交換してくれる業者はたぶん日本にはありませんので、いったん日本円に換金してからの乗り換えになるでしょう。
ここで気づいて欲しいことは、今後下落する可能性が高い金から、10年かけて爆騰する可能性が高いビットコインに乗り換えることに大きな優位性があるということです。グローバル資産同士の交換であり為替は影響しません。交換時だけ為替が絡むので多少手数料はかかりますが、将来的には無視できるレベルです。

金の売却代金を日本円で受け取ったままであれば、国際金価格が高値の今、値上がり益も多少は享受できるでしょうが、円安ヘッジ分の利益を手にするだけで終わりです。私たちが円安インフレで苦しんでいる代償として得られる利益なので、本質的には損益ゼロと考えられます。

最近テレビのニュースなどを見ていると、東京神田あたりの金買い取り店に換金目当ての行列ができていますが、「ああ、日本はこうやって貧しくなっていくんだな」と複雑な気持ちになります。ガラパゴス的な発想を捨て、グローバルな視点から見直したほうが良いですね。

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