【他資産に連動しないはずのビットコイン】とナスダック100の相関係数が急速に高まった!?

ビットコインは希少性があるから他の資産の相場に影響を受けないと聞いて、コツコツ積み立て投資をしているんだけど、最近株価の暴落に完璧に連動しているみたいで心配です。
確かに、2022年初からの世界的な株価暴落と連動してビットコインも下落していますね。
2021年初に、米国で計2,000ドルの給付金が支給されて、それがリスク資産相場に一斉に流入したことと関係がありそうです。
特にナスダック100とビットコインが人気だったようで、急に相関が高まったようです。
そこで、さっそく相関係数を計算し今後の展開を予測してみました。

上野ひでのり


米国ミレニアル世代が給付金を投資資金に

ミレニアル世代とは?

1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代であり、2021年1月の給付金600ドル(続いて1,400ドル追加給付)を元手に、レバレッジ投資を一斉に始めました。
ちょうど1年ほど前に「ロビンフッダー」という投資家集団が「ゲームストップ(GameStop)騒動」を引き起こしたことで注目を集めました。
ロビンフッダーが主導したゲームストップ騒動とは?

個別株だけでなく「レバナス」などのインデックス投資も活発化

「レバナス」は日本で有名な金融商品ですが、「ナスダック100」に約2倍のレバレッジをかけて連動するファンド(投資信託)です。
参考 ついに登場!! 楽天レバレッジNASDAQ-100(愛称:レバナス) | 楽天証券楽天証券

ロビンフッダーたちも「NASDAQ100」連動のETFを2倍のレバレッジで買っていたようで、全く同じ投資パターンでした。

2021年 ナスダック100とビットコイン相場の比較

ナスダック100指数は、ほぼ押し目もつけず急騰

ナスダック100 週足

画像クリックで、別画面フルHD表示可能

  • 03月の押し目12211.7
  • 11月の高値 16771.1
  • 37.3%上昇
2倍のレバレッジをかけていたのなら、最高でなんと37.3%×2=74.6%の利回りになります。

ビットコインはダブルトップを形成

BTC/USD 週足

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  • 04月の史上最高値64895.22
  • 06月の大暴落安値28600.00
  • 11月の史上最高値69000.00
  • 01月の大暴落安値32950.72
ダブルトップを形成していますが、4月の史上最高値を11月には更新し、6月の大暴落の押し目に対して、今年1月の安値はレベルを切り上げています。
かなり値動きは荒いですが、高値と安値を同時に切り上げる「ダウ理論でいう上昇トレンド継続」と考えることもできます。
しかし、史上最高値を更新した後の押し目は、半値以下になっているので、なかなか厳しい相場です。

ビットコインとナスダック100の相関

直近6か月の相関係数は0.668

2021年8月下旬から2022年2月下旬までの相関係数です。
完璧な正の相関係数は1.000となりますが、0.668という数値は、相関関係は認められるが、さほど強くはないというレベルです。
「何となく、ビットコインとナスダック100って、同じような値動きだよね~」と感じる程度です。

2022年1月のみの相関係数は0.957

2022年1月は、年明けからリスク資産相場が大崩れで、米国株式の主要3指数は全て急落しました。
中でも下落幅が大きかったのがナスダック総合指数でした。
高値15852.14 ⇒安値13094.65 ▼2757.49 ▼17.4%の暴落

ナスダック100(CFD)でも、ほとんど同程度の下げ幅でした。
高値16574.2 ⇒安値13717.2 ▼2857.0 ▼17.2%の暴落

ビットコインの高値、安値は下記の通りです。
高値47586.58 ⇒32950.72 ▼14635.86 ▼30.8%の大暴落

相関係数が0.957と、正の完全相関に近くなっていますが、これはたまたま起こった事象と考えられます。

  • ナスダック100は、市場最高値圏の保ち合いから急落している
  • ビットコインは史上最高値からの暴落末期である
前出のチャートを見比べれば一目瞭然ですが、両者の1月の相場は、下げ方の値動きは非常に似通っていたものの、それぞれの相場全体の中での展開としては全く異なっていたのです。

2022年初2か月間の相関係数は0.652

2月に入ると、ビットコインは底入れして反発に転じています。ただし上値は非常に重いです。
ナスダック100は、いったん反発しましたが、その後安値を大きく割り込んでいます。

どちらも弱い相場であることは間違いありませんが、値動きは全く異なります。
ということで、相関係数は0.652と、直近6か月の0.668に限りなく近づいていきました。

【結論】ビットコインは他資産の値動きに連動しにくい

2022年1月のようなリスク資産相場の全暴落では連れ安する

ビットコインは年初の高値47586.58の時点で、市場最高値69000.00から31%も下落していましたが、他の資産相場に連れ安して一段安になりました。

史上最高値⇒暴落⇒史上最高値⇒暴落という値動きはユニーク

ビットコイン暴落のきっかけは、テスラの車がビットコインで買えなくなったり、イーロン・マスクの大量売り逃げ観測が流れたり、中国当局が売買規制を発動したりなど、新興リスク資産であるビットコインの存在意義を問うような命題に直面したときになります。

ナスダック100の値動きとは何となく似ている時期もあるだけ

一方、世界を代表するハイテク・グロース株100種は、世界経済の動向そのもので明確な実体価値を伴っているため、同じリスク資産でも全く性質が異なります。
たまたま、ロビンフッダーの嗜好として、レバナスとビットコインが人気になり、同じ投機的アイテムのカテゴリーに入ったことから、ある程度値動きが似てしまったと推測します。

賢いビットコインの買い方

ナスダック100と連れ安しているときを狙って買う

コツコツ積み上げて資産形成する手法として、ドルコスト平均法がありますが、史上最高値更新したときから数か月は積み立てを見送り、リスクオフでナスダック100が暴落しているタイミングで厚めに買うことをおススメします。
0.6台の相関係数は暴落時にさらに上昇しますので、押し目買いのチャンスになります。

史上最高値の半値を割り込んだら買う

年に一度は、史上最高値の半値を割り込むイメージなので、阿鼻叫喚の総悲観時に厚めに買い集めましょう。
大量買いの勝負に出る訳ではなく、高値でスキップした回数分を割り当てるような考え方で良いでしょう。