こんばんは、上野ひでのりです。
世界最大の資産運用会社ブラックロック社のビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust」のティッカーシンボル「IBTC」がNASDAQの清算会社DTCC(預託信託清算公社)のリストに掲載されたことが原因で、ビットコインが急騰したことは既にお知らせしました。
清算会社とは、日本でいう「ほふり(証券保管振替機構)」のような機関です。
その後、DTCCのリストから削除されたり、サーバーがダウンしたり、リストに再掲載されたりとドタバタが起きる度に、ビットコイン相場には小さな乱高下がありました。2024年1月までにSEC(米証券取引委員会)が承認を与えるのは、ほぼ確実視される中、急反落とはならず底堅い値動きが続きます。
なぜここまで、ビットコイン現物ETF上場が、ビットコイン相場にポジティブなインパクトを持つのか考えてみましょう。
目次
現物ETF上場でなぜビットコイン相場が上昇するのか?
その理由をまとめると、下記の通りになります。
- ETFの運用主体であるブラックロック社が、ビットコイン現物を裏付けに証券化することにより、ビットコイン現物が市場から購入されるから
- 暗号資産であるビットコインは盗難リスクなどもあり管理に工夫が必要だが、ETFという証券は安全にサーバー管理されることにより買いやすくなるから
- 株式や債券と同列の投資対象となることで、大口の投資家(年金ファンドなど)や個人も買いやすくなるから
- 売買益に関する税制が株式と同じで分離課税になるから(日本の場合)
どれくらいの上昇が見込まれるのか?GOLD現物ETFの例
OANDA証券のGOLD CFD(XAU/USD)の月足チャートです。
画像かテキストリンクをクリックすると、より詳細なチャートが別画面で開きます。
GOLD(金地金)価格の変動に概ね連動することを目標とした投資信託(ETF)について、2004年9月にブラックロック社の「iShares Gold Trust(IAU)」がニューヨークのNYSE Arca取引所に初上場しました。
それ以前のGOLD価格は概ね200~300ドル台(1オンス)の推移で安定していました。上場が承認されると450ドル程度まで急騰し、上場の日を迎えました。上場直後は利益確定売りに押される訳ですが、押し目は浅く、ほぼ一本調子で上昇を続け、2011年9月には1,921ドルの高値をつけました。
史上最高値は2023年5月の2,067ドルですが、上場の日からちょうど7年で、ほぼ同水準まで急騰した訳です。
2000年以降の最安値は252ドル、上場から7年で1,921ドルの高値ですから、7.6倍になった計算です。
ビットコインの直近安値は、2022年12月の15,479ドルです。GOLDと同じペースで上昇したとすれば、上場から7年後に117,640ドルになる計算です。
私は「10年後までに最低20万ドルに達する」という見込みを信じています。その理由は、GOLDにはない「半減期」という希少性を増すイベントが4年に一度やってくるからです。
「10年後までに20万ドル説」の詳細は下記のページを参照してください。
ビットコインうねり取り専科【上野ひでのりクリプトマイスター】
ビットコインの半減期(halving)とは?
ビットコインのマイニング(採掘)報酬が半分になるイベントです。ビットコイン・ブロックチェーンにおいて、ブロック数が210,000に到達する毎(約4年毎)に、マイナー(採掘者)への報酬として付与されるBTC量が半減するように定められています。
半減期は、インフレを防ぐため、ビットコインの発行量をコントロールするために設計されました。ビットコインの発行総量は2,100万枚という上限があり、半減期イベントは計33回行われ、新規ビットコインの発行が終わります。
需要が一定水準あるならば、時間の経過とともにビットコインの発行を減らすことにより、価値が上昇する可能性が高まります。インフレによって価値が下がるのが通常である法定通貨とは大きく異なる点です。
最初の半減期は2012年、2回目が2016年、3回目が2024年です。過去2回のイベントではいずれも、大きく相場が上昇しています。
2024年はビットコイン現物ETFが上場する年であり需要が大きくなるのに、それに反比例して発行数が半減する訳ですから、その希少性から上昇に拍車がかかると思います。
【まとめ】ビットコインの上昇は2024年に加速する
「ビットコインのような暗号資産は実体のない怪しいものだから、そのうちこの世から消えてなくなる」という都市伝説を信じている人は少なくありません。
ETF化によりビットコインが急騰する可能性が高いのは、このような人々が証券会社で扱う上場金融商品であれば安心して買えると思うからです。
「ビットコインはブロックチェーン上に実体のないデジタルで存在するだけなのに、現物とはこれいかに?」ということですが、法定通貨も金兌換を放棄した時点で実体のないものになっています。
紙幣や硬貨の物理的な価値と通貨の価値は釣り合いません。1万円札の製造原価は約22円と言われます。
ビットコインが上昇するのは、米国の証券取引所に上場することによる実体性の付与によるところが大きいと思います。
「イーサリアム(ETH)の現物ETFが米国に上場する可能性は?」という疑問を持つ方が多いと思いますので、現状の見込みをお伝えします。
SEC(米証券取引委員会)のゲンスラー委員長は、ビットコインは明確に「商品」であると認定しています。したがって、現物の商品を基に設計されたETFの発行が可能になる訳です。
一方、ETH(イーサ)には証券性があり、「商品」「証券」のどちらか正式に認定していないので、商品を前提とした現物ETFの発行は現状では不可能です。