2023年11月21日(火)のワシントン州シアトル連邦裁判所での審議にあたり、バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏の出頭、司法省が提出した裁判資料の公開、司法取引による和解という流れが一気に進みました。
当然のこと、ビットコインを含む暗号資産相場は売り一色となりましたが、あっという間に決着がついたことにより、その影響は軽微に留まりました。ビットコインの安値は35,686ドルで、押し目買いのターゲットである35,000ドルを割り込むことはありませんでした。
世界最大の暗号資産取引所バイナンスは、米国内で主に3件の訴訟を抱えていましたが、言い逃れができない最もクリティカルな問題で米国市場を追い出されることになりました。
目次
2023年バイナンス訴訟の詳細
- 03月27日:CFTC(商品先物取引委員会)がバイナンスに対して訴訟。取引不正と市場操作など7件の罪状
- 06月05日:SEC(証券取引委員会)がバイナンスに対して訴訟。米国の顧客に対し未登録の証券販売、顧客資産の分別管理ルール違反など13件の罪状
- 11月14日:DOJ(司法省)がバイナンスに対して訴訟。マネーロンダリング防止法違反およびテロリスト集団との取引容認の罪状
司法省との訴訟は電光石火の和解
司法省の提出した裁判資料は、11月21日(火)のシアトル連邦裁判所の審議で公開されました。バイナンスのマネーロンダリング検知・防止プログラムが有効に機能せず、経済制裁対象国であるイランやシリアの個人が米国民と取引できる環境にあったことが明らかになりました。
本件はバイナンスUSおよび創業者兼CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏に対する訴訟であり、バイナンス・グローバルやバイナンス・ジャパンが対象ではありません。米国内での取り付け騒ぎを起こさぬように秘密裏での司法取引で、異例の早期決着となりました。
CZ氏が法令違反を認めて43億ドルの罰金を支払うことで合意
司法・金融当局にバイナンス社が支払う43億ドルの罰金は過去最大となりました。CZ氏個人も不正を認めてCEOを辞職し、5,000万ドルの支払いで合意しました。
アルカイダやイスラム国(IS)、ハマスなどのテロ組織やランサムウエア(身代金要求型ウイルス)、児童ポルノなどに関与した疑いがある10万件を超える取引の報告を故意に怠ったとされました。
バイナンスUSの存続は決定するも5年以内に撤退を求められた
CZ氏が司法省との全面対決を避け、即和解・司法取引に応じたことから、現状のところ2022年11月のFTX破たん時のような取り付け騒ぎは起きていません。
しかしながら、今後は事業撤退に向けたサービス業務主体となり、商品先物取引委員会および証券取引委員会との裁判は継続します。
勢いづくSEC(証券取引委員会)
「未登録の証券販売」の罪状は、PoWのビットコインは商品であるのに対し、PoSのイーサリアム以下ほとんどの暗号資産が証券であるというSECの認識に基づきます。
暗号資産の運営母体であるDAO(分散型自立組織)は、中央集権的な組織でないため管理者は存在しません。リップル社(XRP)のような母体がはっきりしている場合には訴訟対象になりますが、そうでない暗号資産は米国の取引所での取引を禁止されるという形で姿を消す可能性があります。
【まとめ】SECに商品と認定されたビットコインのみを取引対象としよう!
イーサリアムはPoSなので証券である可能性が高いです。しかし、Web3を支える屋台骨であるため米国内での売買が禁止される事態になるとは思いません。
しかし、存在価値の低い暗号資産の取り扱いは米国で停止になる可能性があります。米国で取引停止されたからと言って、存在自体が消える訳ではありませんが、世界最大の市場から締め出された暗号資産の価値は低くなるのは当然のことです。
訴訟リスクのない安全な暗号資産はビットコインしかありませんので、ビットコインのみを対象に2024年の大相場にチャレンジするのが良いと思います。
補足情報として、下記のショートムービーもご覧ください。
イーサリアムは絶対買うな!
要注意!暗号資産業界の天敵・ラスボス SECゲンスラー委員長