シグナル判定用のインジケーターのダマシに注意!【MT4講座】

トム・デマークのTDシーケンシャルがトレンド転換を判断する最強インジケーターと呼ばれるのはご存知ですか?
私は同じロジックをMT4に組み込んでいますが少なからずダマシが発生します。
どんな優れたインジケーターもダマシは当たり前。過去の重要な高値・安値の把握を完璧にしてから使おう。


単独のインジケーターが発するシグナルはダマシだらけ


MT4版「上野式精密水平線トレード専用チャート」NYダウ先物の直近10年強の月足チャートです。あえて極端な例示をするために持ってきました。

【徹底解剖】「ディナポリチャート(手法)」のインジケーターを全搭載したMT4

ここに、至高のテクニカル指標として名高い「TDシーケンシャル」のロジックを参考にして数字を表示しています。

トレンド系の指標ですが、サイクル理論をベースとして相場の天底を掴むことを目的としています。主に逆張りのアプローチに使用されます。

  • 「9」が点灯したら短期のトレンド転換。小反発で押し・戻りを形成
  • 「13」が点灯したら中長期のトレンド転換
こんな分かりやすいシグナルが出るのが人気の秘訣ですが、かなり精度も高いと評判です。

ところが、NYダウ先物は基本的に上昇しっぱなしの相場なので、カウントが13で止まらず26まで振り切ってしまう展開まであり、全く役に立ちません。
もちろん月足に適用したことも間違いと言えるのですが、どんな優れたインジケーターであったとしても銘柄の特性によってはダマシのシグナルを出し続けることもあるという一例としてご理解ください。


次に、これをサヤ取り向きの代表通貨ペアであるUSD/JPYの日足に適用してみます。
2020年10月までのチャートで、コロナショックによる乱高下もカバーしています。

大きな「9」の数字が出たら短期的なトレンド転換というロジックに、ほぼ完璧に当てはまっています。
コロナ暴落の安値圏での揉み合いで「13」が点灯してから、急激に反発していきました。

「TDシーケンシャル」のロジックは、為替のサヤ取りとの親和性は高いようなので、MT4版「上野式精密水平線トレード専用チャート」の日足、週足、月足に採用しています。

ここで強調しておきたいのは、どんなに優れたロジックであったとしても単独のインジケーターが万能ではないということです。
対象銘柄とのフィッティングを考慮しないと、ダマシのシグナルを垂れ流す結果になるので、注意が必要です。

インジケーターのシグナルは、最低限トレンドの強弱とレジスタンス&サポートを確認してから使用しよう!


2020年10月22日欧州タイムから23日オセアニアタイムにかけてのGBP/USDの5分足です。

これは、MT4版「上野式精密水平線トレード専用チャート」ではなく、あえて個人トレーダーの方がよく設定しがちなチャートをMT4で再現してみました。
メイン画面に表示しているのは、5分のローソク足とボリンジャーバンド(±2σのデフォルト設定)のみです。
サブ画面には、RCIの3本版(パラメータは9、26、52)で、オシレータ系のインジケーターとしては大人気であり、このインジケーターを主体としたトレード手法をテーマに何冊か書籍化されているくらいです。

実は、MT4版「上野式精密水平線トレード専用チャート」にも「ディナポリ・ストキャスティクス」の代わりにサブ画面2に採用しています。ただ、どんな相場展開でも全面的に信頼している訳ではなく、オシレータ系が不得意なボラティリティが低い時間帯では精度が低くなります。

さて、ローソク足以外には、トレンド系代表のボリンジャーバンドとオシレータ系代表のRCI3本版ですが、悪くないセットアップだとは思います。
しかし、最大の問題はキリの良い単位の水平グリッドが引いていないので、有力なリアクションポイントが分かりにくいということです。

プライスレベルの手掛かりがないので、チャートパターンだけで勝負となります。こんなトレードを行っている個人トレーダーは本当に多いですね。

ただ、このチャートには、それなりに優位性はあり、ボリンジャーバンドとRCI3本版の丸で囲ったタイミングでは、相場が下抜ける可能性が示唆されています。

ボリンジャーバンドは本来、バンドが拡張していく際のトレンドを追いかける目的で作られたトレンド系のインジケーターですが、これをオシレータ系と組み合わせて、直近の安値下抜け狙いの根拠にするのは間違いではないと思います。


MT4版「上野式精密水平線トレード専用チャート」5分足(メイン画面のみ)では、このような表示になります。

当日の高値レベルからの押し目1.31169ですが、ここから反発して再度当日の高値レベルを試してからの下落なので、いったんは押し目でサポートされてから小反発、3×3DMAオレンジラインや1分足の一目均衡表の雲でレジスタンスを受けるのも想定内で、2回目のチャレンジで下抜ける可能性は非常に高かったと言えます。

ボラティリティが高くトレンドが発生しやすい欧州タイム前半の17:55の足で押し目1.31169をブレイクダウンし、18:00の時報から下落が加速しています。

以上のようなプライスの節目を意識した分析ができていれば、インジケーターのシグナルに頼るより、かなり精度が高いトレードシナリオを立てることができます。

いくら人気があるからと言って、RCI3本版のシグナルだけで売りを仕掛けるのは、確たるトレード根拠に著しく欠けていると言わざるを得ません。


どんなに優れたインジケーターであっても、ダマシを避けることはできないので、過信は禁物だよ。プライスの節目とレジスタンス&サポートを意識しよう!

上野ひでのり