日本の暗号暗号資産取引所は、金融庁の監督下にあり登録を要します。
2023年11月1日時点で、29社がリスティングされています。
暗号資産取引所も、証券会社やFX会社と同じく、第一種金融商品取引業者です。
米国の暗号資産取引所は、SEC(米証券取引委員会)の管理下にはありません。
Binance US、Coinbase、Krakenの米国トップ3は全てSECから訴訟を提起されています。
罪状は、米国証券取引法違反です。ブローカー、証券取引所、またはクリアリング機関としてSECに登録しておらず、議会が設定した証券市場の情報開示制度を回避しているということです。
ビットコインは証券ではなく商品であるとSECが認定していますが、商品ならば商品先物取引委員会(CFTC)の規制を受けるということになります。Binance USは商品取引所法や規制に違反していると訴訟を提起されています。
日本では暗号資産として一括で金融庁の規制を受けますが、米国では暗号資産の中に商品(ビットコインなど)と証券(それ以外のアルトコイン)が混在しています。したがって、商品はCFTC、証券はSECの規制を受けるべきというのが、訴訟のポイントです。
影響力が大きい米国内トップ3に関しては、SECおよびCFTCと徹底的に争う姿勢です。別件(マネーロンダリング防止法違反)でBinance USが5年以内に米国からの撤退を余儀なくされているので、少し立場的に弱いかもしれません。
主にCoinbaseの係争をベースに、論点を整理したいと思います。
SECに提訴された取引所が米国に留まるか否かは私たち日本人にとって関係のないことです。しかし、SECが証券と認定した暗号資産(トークン)は、米国での取引が実質的にできなくなる可能性があり、世界最大市場で取引されないトークンの価値は大きく下落するという点で注意が必要です。
目次
Coinbaseに上場している暗号資産はSECの管轄外と反論
Coinbaseの反論は下記の通りです。
「SECの権限は証券取引に限定されている。すべての資本の分離が利益を期待するものとは限らず、コインベースでの取引は『投資契約』が関与する場合にのみ証券取引となる。ここで問題となっている取引はそうではない」
SECが証券の枠を超えて、すべての投資活動について管轄権を主張し、自身の権限を急激に拡大していると批判している訳です。
SECが証券と認定した暗号資産(アルトコイン)
これを受けて、人気トレーディングアプリのロビンフッド(Robinhood)は、ADA、SOL、MATICを上場廃止にしました。
レイヤー1としてWeb3をけん引している主要トークンなので、影響は大きいです。
SECが裁判で勝った場合、米国撤退の可能性も
Coinbaseが米国を撤退するということは、オフショア業者になるということでしょうが、米国市民に対するサービス提供はできなくなります。
米国市民は、証券でないと認定されたビットコインなど限られた暗号資産しか取引できなくなる可能性があります。
もっとも、ビットコインという商品は、2024年に現物ETF(上場投資信託)としてNASDAQに上場し自由に売買できる見込みなので、暗号資産取引所の撤退は大きな問題にならないのかもしれません。
【まとめ】米国の規制によりアルトコインの価値減衰の可能性
Coinbase、Krakenのような米国の主要取引所が、SEC(証券)およびCFTC(商品)と和解しその規制を受け入れるならば、上記のアルトコインが生き残る道もあろうかと思います。
しかし、証券と名指しされたトークンの取引所上場の再審査が必要になると思われ、証券性の問題をどうクリアするかが焦点です。
一朝一夕に解決に至る可能性は低く、係争は数年継続するかもしれません。私たち日本人も、上記アルトコインには手を出さないほうが賢明だと思います。
イーサ(ETH)については、Web3の屋台骨であるため、SECも証券か商品かの判断を保留しています。大き過ぎ、重要過ぎてつぶせないトークンだと思われますので、「PoS=証券」としているSECの判断の例外になるかもしれません。
世界最大の資産運用会社ブラックロックが、イーサの現物ETFのNASDAQ上場申請を行ったくらいなので、勝算ゼロではないと思います。
ビットコインは2024年以降、さらなる飛躍的価値の上昇が見込まれますが、イーサ以外のアルトコインは米国訴訟リスクが大きいので、手を出さないほうが良いと思います。