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米国雇用統計の前哨戦が好調過ぎて前回シナリオ修正
週明け10月2日号は、下記の件名でお届けしました。
米国雇用統計が株価暴落のトリガー引くか?政府閉鎖回避でもタイトロープ続く
下記のように述べましたが、この記事で上書きアップデートしておきます。
「今週は、6日(金)21:30に予定通り米国雇用統計が発表されることになりました。急激な雇用市場の悪化が確認されると、利上げの見送り期待でリスクオンに傾くより、米国経済のハードランディング懸念でリスクオフが加速する可能性が高いと想定しています。」
前回9月に発表された米国雇用統計では失業率が顕著に上昇し、労働市場軟化の兆しが見えたので、今回もその延長線で急激に悪化する可能性も想定し、このようなシナリオを提示しました。
しかし、今週前半に発表された雇用関連指標「ISM製造業景況指数(の雇用指数)」「JOLTS求人件数」が事前予想を上回り、相変わらず強い労働市場がサプライズを与えました。
本日、4日(水)には「ADP雇用者数」「ISM非製造業景況指数」が発表されますが、先の2指標と整合的な結果であれば、6日(金)の「米国雇用統計」もかなり強い結果が想定されます。「雇用者数の漸減」+「失業率上昇」+「平均時給の漸減」で労働市場の軟化を確認し、「利上げ停止⇒米国経済ソフトランディング」のシナリオが遠のくことになります。
11月1日のFOMCでの0.25%利上げ織り込みは33.1%まで急増しています。「株価暴落が懸念される中、利上げはできないだろう(しないで欲しい)」という市場関係者の淡い期待から10%台の低率だったのが、堅調過ぎる雇用が確認され利上げの織り込みが急激に進行中です。
利上げ織り込み度の最新情報はこちら(FED Watch Tool)
労働市場が強すぎて景気の過熱が収まらないので、「高金利の状態がより長く継続する(Higher for Longer)」ことになり、米国株などのリスク資産相場が耐えきれず先に大崩れする可能性が高まっています。
米国債利回り急騰が追い打ちで株価暴落懸念高まる
画像かテキストリンクをクリックすると、より詳細なチャートが別画面で開きます。
米国10年債利回り(月足ローソク足)に2年債利回り(黒い太線)を重ねたものです。
FRBが2022年3月開始の利上げで、ゼロ金利を5.25-5.50%まで一気に引き上げた影響で、市中金利である10年債利回り(長期金利)も急騰、2年債利回りは足元の政策金利の上昇に影響を受けやすく、それ以上に急騰しているので、「逆イールド」となっています。
3日(火)のNY市場大引け後のチャートですが、10年債利回りは4.795%、2年債利回りは5.154%です。「逆イールド」はご存知の通り、景気後退のサインです。
10年債利回りは、2007年以来16年ぶりの高水準となり、その後の「サブプライムローンショック」⇒「リーマンショック」暴落の再来が懸念される状況です。
投資家心理はついに「EXTREME FEAR」の17まで急悪化
CNNの「Fear&Greed Index」ですが、前営業日の28から一気に悪化しています。
米国債利回りの急騰に加えて、「米下院がマッカーシー議長の解任動議を可決。米国史上初」という事態に陥り、45日のつなぎ予算は新たな時限爆弾化した可能性が高まっています。
6日(金)の米国雇用統計が強すぎた場合、パニック相場入りか?
相場は次の展開をシナリオとして織り込み先取りして動きますので、米国雇用統計が予想の範囲内で強かった場合には、「噂で買って事実で売る(噂で売って事実で買い戻す)」パターンも想定しておきます。すなわち織り込み済の強い数字ならば新たな材料とはならず、相場が逆回転(反落・反発)する可能性です。
しかし、予想を上回るサプライズになった場合には、織り込み不足で直近のトレンドがさらに過熱するパニック相場になる可能性もあり、注意が必要です。
最新の予想は下記の通りです。
・非農業部門雇用者数 +16.8万人(前回+18.7万人)
・失業率 3.7%(前回3.8%)
・平均時給[前月比] +0.3%(前回+0.2%)
失業率、平均時給が大きなサプライズになる可能性は低いと思いますが、雇用者増が30万人~50万人の衝撃的なビッグナンバーが出てきた場合には、市場のショックは計り知れないと思います。
週明け10日(火)の日経平均株価の暴落注意
あくまで米国雇用統計が強すぎたサプライズによる最悪のシナリオの想定です。
6日(金)に米国株が急落、9日(月)は日本・米国市場が休場、3連休明けの10日(火)の日経平均株価は大暴落、30,000円を大きく割り込む可能性も想定しておくべきでしょう。
もちろんそれ以前に、ドル円150円超えの為替介入は、6日(金)~9日(月)に執行される可能性が高くなります。
前回の記事もご参照ください。
【急落注意】ドル建て日経平均株価のピークはとっくに過ぎている